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愛知オシドリ保護の伊藤さん逝く 寒狭川を有数の越冬地に
設楽町田峯の寒狭(かんさ)川(豊川)でオシドリの保護に打ち込んできた伊藤仙二さんが今月十四日、老衰のため亡くなった。九十五歳だった。守り続けた約九百メートルの流域は、今では日本有数のオシドリ越冬地になっている。 川の近くで製材工場を営んでいた伊藤さんは、越冬に飛来するオシドリを眺めるのが何よりの楽しみだった。しかし一九六五年ごろから密猟で数が激減し、ほとんど姿を消してしまった。 伊藤さんは七九年、地元住民らと「オシドリ愛護会」を結成。県に働きかけ、一帯の鳥獣保護区指定を実現させた。八四年からは餌付けも始め、鳥たちは徐々に戻ってきた。現在は五百羽前後が川面で群れ遊ぶ。 足腰が弱り、二〇一四年から新城市の病院で入院生活。保護活動は、神奈川県からUターンした長男の徹さん(67)が引き継いだ。病床で徹さんに「鳥は来たか」「お客さんは喜んでくれているか」と口癖のように尋ねていたという。 製材工場跡に立つ小屋にはオシドリに関する膨大な書籍や写真が並び、伊藤さんの足跡を物語る。「清流を守ろう」と取り組んだ設楽ダム建設反対運動の関係資料も多い。 十六日に葬儀を済ませ、徹さんは餌まきや見学者の案内に忙しい。「オシドリを愛する皆さんに支えられ、おやじは頑張ることができた。遺志を継ぎ、私も体が続く限り守っていきます」と話した。 (鈴木泰彦)
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