以前までは、日本文明をシナ文明から枝分かれした「衛星文明」だと考えれていました。
しかし最近では、日本文明は一個の独立した文明であるという見方が、優勢になっています。
日本文明とは、どのような文明なのでしょうか。

●世界最古の石器と土器

日本列島に日本人類の文化が芽生えたのは、3万5000年前です。
後期旧石器時代の初めに、局部磨製石斧(きょくぶませいせきふ)が出現しました。
これは、刃先を磨いた石斧で、狩猟や伐採などに使われていました。
日本で見つかった磨製石器は、世界最古のものであり、
群馬県の岩宿遺跡から最初に発見されて以来、全国100以上の遺跡で見つかっています。

続いて、縄文土器の出現により縄文時代が始まります。
日本で土器が出現して縄文時代が始まったのが、1万7000年前です。
これは、単なる盛り付け用ではなく、汁物の煮炊きや液体の貯蔵に使われました。
青森県の大平山元Ⅰ遺跡で出土した土器は、世界最古級のものであり、
人類で最初期に調理をしていたことになります。

●縄文人の高度な社会

縄文都市が営まれたのが、5900年前から4300年前の1600年間です。
栗の木を計画的に植林したり、協力して大規模な建物を建築していました。
住居の跡は、3000棟以上になると推定され、大規模な墓地もつくられました。
これらは、青森県の三内丸山遺跡の大規模集落跡からわかりました。

富士山を意識した配石遺構がつくられたのが、4000年前です。
静岡県の千居遺跡から、東北にそびえる富士山を神聖視していたことがわかりました。
この縄文人の営みに、万物を神と捉えるアニミズムの原点がみられます。
自然崇拝と先祖崇拝が融合して、現在の神道につながるのです。
日本列島では独自の「日本文明」が、世界最初期に形成されていたのです。