【シリコンバレー=中西豊紀】米アマゾン・ドット・コムは18日、新設予定の「第2本社」について候補地をニューヨークやシカゴなど北米の20都市・地域に絞り込んだと発表した。今後さらに提案内容を精査し、2018年中に最終的な地域を決める。同社は第2本社建設に50億ドルを投じて5万人の雇用を生むとしており、全米で誘致合戦が繰り広げられていた。
アマゾンは17年9月に本社があるシアトルとは別の地域に第2本社を開設する計画を発表した。米国のほかカナダ、メキシコなど238地域から立地提案が寄せられており、今回これを20カ所に絞り込んだ。米国以外の都市ではカナダのトロントが含まれている。
今後数カ月かけて各自治体と直接協議し、提案内容を詳しく調べる。アマゾンは5万人に加え間接的にさらに数万人規模で雇用を創出するとしており、今後も20の自治体による激しい提案競争が続くとみられる。
今回絞られた候補地は米国東部が比較的多い。ニューヨークなどの大都市のほか、インディアナポリスやピッツバーグなど製造業の衰退で勢いを失ったかつての工業都市も含まれる。トランプ米大統領はこうした地域への雇用拡大を公約しており、アマゾンの判断が注目を浴びそうだ。
米国での民間企業による地域経済への貢献では、アップルが17日に第2拠点を設け2万人を雇用すると約束したばかり。各社ともトランプ氏の「米国第一」政策に基づく判断かどうかを明らかにしていないが、成長が続くIT(情報技術)企業を中心に積み上がった利益を還元する動きが相次いでいる。
20カ所の候補地は以下の通り(アルファベット順)
(1)アトランタ(ジョージア州)(2)オースティン(テキサス州)(3)ボストン(マサチューセッツ州)(4)シカゴ(イリノイ州)(5)コロンバス(オハイオ州)(6)ダラス(テキサス州)(7)デンバー(コロラド州)(8)インディアナポリス(インディアナ州)(9)ロサンゼルス(カリフォルニア州)(10)マイアミ(フロリダ州)(11)モンゴメリー郡(メリーランド州)(12)ナッシュビル(テネシー州)(13)ニューアーク(ニュージャージー州)(14)ニューヨーク市(ニューヨーク州)(15)北バージニア(バージニア州)(16)フィラデルフィア(ペンシルベニア州)(17)ピッツバーグ(同)(18)ローリー(ノースカロライナ州)(19)トロント(カナダ)(20)ワシントンDC