三菱UFJニコスで2017年末に大規模なシステム障害が発生した。利用代金の二重引き落としや、コンビニでの納税データが自治体に届かないといった被害が広がっている。被害状況をまとめた。
Q システム障害の概要は。
A ニコスが発行する「ニコスカード」のシステムで、加盟店からの売り上げデータを加工した情報を保存しておくハードディスクが故障した。機器は交換したが情報の連携の遅延が解消するのは1月末になる見込み。ニコスは遅延で、データの消滅は否定している。
Q ニコスカードの利用者にはどんな影響が出るのか。
A 17年12月26日~18年1月5日にニコスカードを利用した案件の一部で、二重引き落としが発生している。ニコスは29日の引き落とし日までに、二重引き落としになる可能性がある人に個別に連絡し、二重に引き落としになる額を事前に入金し、利用者の資金繰りが悪化しないようにする。
ニコスカード以外でも被害がでている。ニコスの加盟店で、ニコス以外のクレジットカードやデビットカードを使った場合でも252件の二重引き落としが起きた。カードの支払いの請求の遅延も発生し、ジャパンネット銀行やジャックスなどもホームページにニコスの障害の影響を掲載。スーパーのヤオコーは注意喚起をしている。ニコスはカード各社に協力を要請し損失分の補償を進めるという。
Q カード利用者以外への影響もあるのか。
A 同社が手がけるコンビニ収納代行で、税金や保険料の支払いデータが自治体や事業者に届くのが遅れている。影響は9日時点で最大57万件に達した。愛知県瀬戸市では納税などのデータ約9500件、約1億2千万円分を確認できていなかった。同市では確定申告で使う納税確認書類の送付が遅れるという。他にも小牧市や犬山市でも一時、収納データを確認できなかった。いずれの自治体もすでにニコスからデータを受け取ったという。
Q 加盟店への影響は。
A ニコスがシステム障害を発表した9日時点では約3万5千店への支払いが遅れていた。カード払いは店舗にとっては掛け売りで、入金の遅れは個人商店などの資金繰りを圧迫する。ニコスは支払いが遅れる加盟店には概算払いに応じているという。(水戸部友美)