カメラマンの撮影ワークフローに27インチ4KモニターのSW271を使ってみたらとても快適だった話
SW271を使いこなすための実際のワークフロー
今まで高嶺の花だった27インチ4K広色域、ハードウェアキャリブレーション対応という高スペックモニターながら一般の人でも購入できるレベルになったコスパ抜群のBenQ SW271。前回はモニター単体でのレビューを行いましたが、中には「4Kはスゴそうだけど私に使いこなせるのかしら?」という人もいるでしょう。
そこで今回は私がSW271を普段どのように使っているのか、設置環境作りから、写真のセレクト、レタッチ、プリント、etcまで実際のワークフローをもとに紹介してみようと思います。
モニターの紹介だけでなく、LightroomとPhotoshopを連携したレタッチの手法なども紹介していますよ^^
本日のコンテンツ
- まずはモニターを使うための環境作り
- 大画面とモノクロモードはセレクトに便利
- 4Kだから細かなレタッチが楽ちんだよ
- カラーマネジメントモニターだからプリントの色も合う!
- まとめ
*本記事はBenQさん提供のタイアップ記事です
まずはモニターを使うための環境作り
写真編集用にしっかりしたモニターを使うならまずは編集作業を行うための環境に気を配りましょう。普通に写真を楽しむ程度なら厳密にすることはありませんが、少し気を遣うだけでモニターの性能をしっかり引き出せるようになりますよ。
モニターフードは付けておく
モニターの画面に外からの光が反射してしまうとモニター側でいくら正確に色を出していても見え方が変わってしまうことがあります。そのため、まずは画面への反射を少なくすることを考えましょう。
SW271には最初から本格的なモニターフードが付いているため特に理由がなければ常に付けておくことをオススメします。しっかりした作りで反射も少なくとても良いフードです。
他のメーカーだとモニターフードは別売りとかそもそも用意されておらずサードパーディーのものを使うしかないという状況になるのですが、追加コストがかかるので結構使っていない人が多いんですよね。フードなしだと結構見え方が変わるので正確に見たいならフードは付けておきましょう。
上の設置状況の写真の左側にあるサブのSW2700PTはSW271と干渉してしまうためフード付けていないのですが、良く見ると画面右下と左側の色がちょっと違いますよね。左側はデスクライトやシーリングライトの光が反射しているのでそう見えます。陰になっている右下の色は中央のSW271とほぼ同じ色をしています。
自分の後方に明るい光源を置かない
モニターの上方や左右の光はモニターフードで遮ることが出来ますが、モニターの前方(自分の後)からの光は遮ることができず画面で反射し、目に入ってきます。そのため、モニターの設置は自分の背後に明るい光源がない場所にするのが良いです。
例えば、自分の背後に窓があるといった条件は結構最悪です。。背後に窓がある状況を避けられないなら遮光カーテンなどを準備しましょう。これだけ気をつけるだけでも画面の見え方はずいぶん変わります。
デスクライトとシーリングライトの色を揃える
作業環境にデスクライトを設置している場合は、デスクライトと部屋のシーリングライトの色も揃えておきましょう。蛍光灯の場合は一般的に昼光色(クール色、約6500K)、昼白色(ナチュラル色、約5500K)、電球色(ウォーム色、約3000K)の3段階で色が寒色→暖色と分かれています。
例えば、シーリングライトは電球色、デスクライトが昼白色で、モニターの白色点を6500K(昼光色相当)なんてちぐはぐな環境で使っていると正しく色を見ることが非常に難しいです。
時間によって色が変わる太陽の光がモロに差し込む部屋も適しませんのでキチンと色を見たいときはカーテンを閉めるなどの工夫をする必要があります(ふつうの作業時はそこまで気にしなくてもOK)。
手軽にはじめるなら6500Kコース
基本は作業環境を昼光色(6500K)または昼白色(約5500K)に合わせる事です。
なかでも6500KはSW271の初期設定にもなっていますし、普通のモニターやパソコンの画面も6500K付近に設定されることが多く、照明機器も昼光色相当のものは選択肢が豊富なので6500Kで揃えるのが一番簡単で低コストでしょう。
色評価用光源を使いたいなら5000Kコース
もう少し色にこだわりたいなら、デスクライトに色評価用光源を使いたいと言う場合もあるでしょう。一般に手に入る色評価用蛍光灯は5000Kなので、この場合はシーリングライトも昼白色(約5500K)にしましょう。もちろんSW271の白色点も5000Kに合わせます。厳密にやるならシーリングライトも色評価用蛍光灯にしなければなりませんが、そうなると本格的な電気工事が必要なので、そこはあまり気にしなくても大丈夫です。
ただし、色評価用の蛍光灯は現在入手が難しくなってきており、それを取り付けるデスクライトも入手性が悪く高価になっています。。今から新規に色評価用光源を揃えたい場合は色評価用LEDを選択する方が良さそうです。
私も昨年末から山田照明のZ-80PROIIBという色評価用LEDに切り換えましたがなかなか快適です。
Z-LIGHT LEDデスクライト 高演色LED ブラック 上締めクランプ付き Z-80PROIIB
LEDを使う場合は演色性に注意
最近増えてきたLED光源を使う場合は「演色性」に注意しましょう。演色性とはモノの色がどれだけ正確に見えるか?という指標です。プリントを見るときは部屋の明かりの反射光を見ているわけなので、演色性の悪い光源でプリントを見ても本来の正しい色が見えない場合があります。
LED光源を使う場合は「高演色」と謳っているものを選びましょう。安いLED光源の場合は演色性が非常に悪いモノもあります(最近はずいぶん良くなったけど、何年も前に買ったLEDは要注意)。
演色性はRaという単位で示されますが、Ra90以上なら良い感じです。そこまでこだわらないならRa85以上でもいいでしょう(普通の蛍光灯はRa85くらい)。激安LEDとかだとRa70以下の酷いものもあります。。
ただし大半の照明器具にはRaが示されていないので見分けるのがなかなか難しいです。とりあえず、「高演色」と謳っている(怪しくないメーカーの)LEDならRa85以上はあると思います^^;
大画面とモノクロモードはセレクトに便利
私は撮影後の写真はすべてLightroomで取り込んでからセレクト、現像をします。先日、夕焼けから夜景までの撮影をしてきたのですが、半日撮影しても900カット近くありました。良い写真がたくさん撮れたので満足だったのですが問題は900カットの写真をいかに効率的にセレクトしていくか、ですよね。
4Kのフルパワーだと一気に777枚表示可能
SW271の4K UHDの解像度をフルパワーで使うとLightroom上では最大で777枚(37×21)のサムネイルを一気に表示できます。さすがにここまで小さく表示して使うことは少ないと思いますが、今回撮影した写真の大半を1枚の画面で確認することができる驚異の枚数です。
画素密度も高いため紙プリントしたコンタクトシートを見る感じで全体を俯瞰して眺めることができて快適です(もう少しサムネイルサイズを大きくすれば)。
上の写真だと豆粒のように見えて写っているものも分かりませんが、実際は目の前の27インチに表示されており、表示も精細なのでこのサイズでも何が写っているのかは結構分かります。
サムネイルサイズは大きくすることもできるため、一度にたくさんから1枚をじっくりまで様々なサイズの表示で写真を向き合うことが出来ます。
SW271とSW2700PT、24インチFullHDの見え方を比較
上の例はかなり極端なのでサイドパネルを出すなどしてもう少し実際の使用環境に応じた見え方を比較してみましょう。次のスクリーンショットは上からSW271(27インチ、3840×2160)、SW2700PT(27インチ、2560×1440)、24インチ1920×1200の画面にLightroomのグリッド表示をしたところ。サムネイルサイズはすべて最小に設定しています。
こんなに違うんですよね。一度に俯瞰できる情報量が桁違いです。24インチでは最大でも一度に75枚(15×5)しか見ることができませんでした。
Lightroomのグリッドサイズは簡単に調整でき、画面のサムネイルスライダーを調整してもいいですが、キーボードの「,(コンマ)」が縮小、「.(ピリオド)」が拡大になりますのでショートカットで操作するとより簡単です(Windowsの場合は半角モードにしてから)。
スケーリング設定もできる
普通のモニター設定(スケーリング100%)のまま4Kディスプレイを使うと、画面の文字も小さくなってしまい、慣れていないと見づらくて作業がしにくい問題がありますが、Lightroomの場合はアプリケーション側でスケーリング設定が可能です(Windowsの場合)。
編集 > 環境設定から、「インターフェイス」タブに行くとパネルの項目で「フォントサイズ」を選べます。小と中は100%表示(フォントサイズだけ僅かに違う)で、150%、200%、250%まで選択可能です。FullHDから移行する場合は200%、SW2700PTのようなWQHDから移行する場合は150%にすると以前と同じ大きさの環境で作業が可能です。(OS側のスケーリング設定より優先される)
Macの場合はOS側で一括してスケーリング設定するため、システム環境設定 > ディスプレイ でデフォルトのスケーリング設定を設定します。
SW2700PT(WQHD)から移行した私の場合、Lightroomの見え方を同じにすべく150%で使っていますが、最近は4Kの小さな表示にも慣れてきたのでより写真を大きく使える100%表示でもいいかもしれない、と思ってきました(すでにPhotoshopは100%で使ってる)。
アプリケーションに頼らず一発でモノクロ化
もう一つ便利なのはモノクロセレクトのとき。カラーで撮影した写真をモノクロに仕上げたいと思った場合、慣れていないとなかなかモノクロに合いそうな写真を見つけることは難しかったりします。
ではアプリケーション側で一旦すべてをモノクロ化してセレクトするかというと、なかなかそうはいきませんよね。SW271ならモノクロモード(DICOM)にするとモニター表示だけをモノクロ化できるためセレクトが非常に捗ります。
通常画面とモノクロ画面画面の見え方はこんな感じで違います(画面をカメラで撮影)。中央のスライダーを左右に動かしてみて下さい。
ボタン一発で目の前のカラー情報をモノクロ化してくれて便利。
例えば次の3枚の観覧車の写真、時間帯や角度を変えながら撮影してみましたが、カラーとモノクロでまったく違う表情になります。
SW271側でモノクロにすると。。
こうなります。こういう結果は慣れてないとなかなか想像しにくい。
ちなみに同じ写真をLightroom側でモノクロにするとこんな感じ(こちらはスクリーンショット)。
Lightroomの結果とだいたい同じですよね。ざっくりと仮セレクトくらいまでなら使えちゃいます。
ホットキーパッドに登録しておこう!
この便利なモノクロモード(DICOM)、使いそうな人はホットキーパッドに設定しておきましょう。
私は1番にメインの広色域設定、2番にsRGB用設定、3番にモノクロモードを登録しています。超便利なのでまだ使っていない人はぜひ使ってみて欲しい。
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ということで、モノクロモードで良さげな写真見つけてLightroomでモノクロ化して仕上げてみました。カラーのままだとスルーしてしまいそうなカットでしたがモノクロにすると自転車の金属感とか、逆光で生じた被写体の輪郭のハイライトとか良い雰囲気に仕上がったかな?と思います。
カラーの状態がこんな感じ。
個人的には今までモノクロで仕上げることは少なかったので、これからモノクロ化のレベルも上げていきたいですね。
4Kだから細かなレタッチが楽ちんだよ
続いては4Kを生かした細かなレタッチについて。全体の色味や明るさの調整、ある程度の部分調整はLightroom側でやってしまうことが多いですが、もっと細かなレタッチはPhotoshop側でじっくりやった方がやりやすいので、これは!と思った写真はPhotoshopでレタッチして仕上げることも多いです。
今回はこの写真を仕上げてみたいと思います。夕日に照らされる東京ゲートブリッジを超望遠で撮影し、圧縮効果で飛行機が飛んでくるシーンを絡ませました。
これが撮って出しの状態。ちょうどタイミング良く飛行機が飛んできた時はあいにく太陽が雲に入っており、少しコントラストが弱い感じです。まずはベースを整えるためにLightroomで全体調整をしました。
少しトリミングして、基本補正と切り抜き後の周辺光量補正、かすみの除去(+10)を調整。これだけでもずいぶん印象が変わりましたね。ただ、もうちょっと橋の部分に鉄骨感を感じるメリハリが欲しいです。基本補正でいじったパラメータはこんな感じ。
ここからLightroomの補正ブラシをゴリゴリ使って細かく調整してもいいのですが、鉄骨や飛行機の非常に細かな部分を個別に調整したい場合はPhotoshopの方が便利です。
Lightroomで現像後にPhotoshopで編集したい時は、写真を右クリック > 他のツールで編集 > Adobe Photoshop CC 2018で編集 と進めばシームレスにPhotoshop側で編集できるようになります(Lightroomの設定でTIFF 16bitに書き出されてそれを編集することになる)。
Photoshop側で上書き保存するとLightroomに結果が反映されます。
橋と飛行機、雲を別々に補正する
今回は調整レイヤーのトーンカーブを使って橋、飛行機、雲を別々に補正(覆い焼き、焼き込み)してみようと思います。まずは補正したいぶんだけ調整レイヤーのトーンカーブを作っておき適当に名前を付けておきます。
で、それぞれのレイヤーマスクを黒で塗りつぶしておきます。続いて、明るくしたいレイヤーはレイヤーモードを「覆い焼きカラー」に設定。(暗くしたいレイヤーは「焼き込みカラー」や「乗算」にセット)
つづいてドーンカーブのカーブを調整ざっくり調整しておきます(下図は明るくしたいとき)。
この状態でレイヤーマスクを選択し、白のブラシで明るくしたいところをゴシゴシ白くすればそこに覆い焼き効果が入ってきます。ツールパレットから直接覆い焼きを選んで塗っても良いのですが、あちらは元に戻るのが大変。調整レイヤーを使うこの方法なら後でいつでも再調整が可能です。
例えば飛行機だとこんな感じでレイヤーマスクを調整しています。
白くなっている部分だけ覆い焼きがかかる感じです。
拡大して画面を注視するときは4Kが疲れにくい
上の飛行機の部分は300%に拡大してレイヤーマスクを編集しているのですが、このように等倍以上に拡大して細かな作業をするときは画面を注視するのでドットが荒いモニターだと結構目が疲れてくるんですよね。
4Kだと画素密度があるので等倍以上の表示でも目が疲れにくいです。
例えばこれなんて500%に拡大して細かくマスクを調整しました。(マスクがかかっている部分は緑になるように表示しています)
こんな感じで別々に調整を加えた結果がこちら。
ちょっと写真が小さくて伝わりづらいかもしれませんが、橋の側面に太陽の照り返しっぽいハイライトをいれつつ、飛行機もわざとらしくならないようにやや明るくし、色も少し変えています。あと、橋を走る車の細かなハイライトとか、雲のディティールもわずかに強調してみました。
こんな感じで手元に4Kモニターがあると細かな写真の補正がとっても楽しくなります。
ペンタブレットがあるとさらに楽ちん
ちなみに、Photoshopで細かな補正をしたいならペンタブレットがあると楽です。昔はintuos4のA4サイズ使ってたのですが写真のレタッチようだと手に余るようになったので、思い切って小型のintuos DrawのSサイズ(CTL-490/W0)に変えてみました。安いですし+3,000円くらいで無線化もできるのでデスクスペースを圧迫せず気軽に使えるようになりました。個人的には補正用途なら小さいので十分かなと思ってます。
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カラーマネジメントモニターだからプリントの色も合う!
撮影ワークフローの最後はプリントですね。写真プリントの永遠の悩みはモニターとプリントの色が合わない。。ということですが、SW271はハードウェアキャリブレーションでモニターの色を高いレベルで管理できるので、プリントとの差を最小限にしてくれます。
また、インクジェットプリンターが出力可能な色はsRGBの範囲を超えているため、より広い色域を表示できるSW271はプリントにも有利なわけです。
SW271が表示できる色域の詳細は前回記事をどうぞ!
何はともあれキャリブレーターを用意したい
SW271は出荷時にキャリブレーションされていますし、劣化の少ないLEDバックライトなので購入からしばらくは無調整でも正しい色を表示できるのですが、色が合わないなど、何か困ったときに色の状態を定量化できるキャリブレーターがあるとそれだけでずいぶん解決が早くなります。
また、環境光と同じモニター表示に調整したいなど、モニターの細かな設定をいじりたいときにはキャリブレーターは必須です。これが無ければプリント出来ないとまでは言いませんが、正確な色を表示させてプリントと色を合わせたい場合はキャリブレーターは持っておいて損は無いはずです。
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SW271やSW2700PTのハードウェアキャリブレーションの方法やLightroom、Photoshopでのプリント設定などは以前の記事に詳しくまとめていますのでこちらもどうぞ!
実際にプリントしてみよう!
さて、実際に写真をプリントしてみましょう。詳しいプリント設定なども上記リンクに記載してあるのでここではLightroomを使った要点のみ紹介し、実際にプリントしたときの見え方を見てみましょう。
ソフト校正で事前にシミュレーションしておこう
Lightoomの場合、現像が終わりプリントする段階でいきなりプリントせず、ソフト校正を使ってプリントのシミュレーションをしてみましょう。
モニターとプリンターでは表示可能な色域やコントラストが違うため、モニター側でプリンタープロファイルを元に仕上がりをシミュレーションすることでよりプリントしたときの結果に近づいて見えます。ソフト校正した状態でさらに現像を追い込んでプリント用に保存(校正刷りを作成)しておいても良いでしょう。
ソフト校正にチェックを入れると、ヒストグラムの下に校正に使うプロファイルを指定する欄が出てきます。ここで指定するのはプリント時に使うプリンタープロファイル。プリンターメーカーから提供されているドライバーをインストールすれば入っているはず。
今回はEPSON PX-7Vをつかいました。使うプロファイルは「PX-7V Photo Paper(G) Blue」。この意味は「PX-7Vで純正の写真用紙(Glossy=光沢)を使い、青インク使用」と言うことですね(機種やメーカーにより表示は異なります)。
また、紙とインキをシミュレートにもチェックを入れておきましょう。プリントのコントラストはモニター表示よりも低いのでこのチェックを入れることで色だけでなくコントラストまでシミュレートできます(若干眠い感じになりますがこれで正常)
ここの表示を見ながらさらに現像を調整する事もできます(校正刷りが作成される)。もちろん元に戻って(ソフト校正のチェックをはずして)現像を調整しても良いです。
プロファイルを指定して、ドライバーでは補正無し
実際にプリントするときはプリントモジュールの「プリントジョブ」に着目。画面通りに出力したい場合はここで「プリンターによって管理」を選択してはいけません。必ずお使いのプリンターと用紙に合ったプリンタープロファイル(ソフト校正で使用したもの)を自分で設定して下さい。
また、画面左下の「用紙設定」からプリンターのプロパティに進み、
色補正をオフ(色補正なし)にして下さい。この画面はプリンターメーカーや機種によって異なります(色補正オフの場所も違う)。
この状態でプリントすればLightroomが正しい色変換を行い、プリントしてくれるためモニターと同じ色が出てくれるはずです(純正用紙、純正インクを使い、モニターのキャリブレーションがキチンとされていれば)。
詳しくは下記リンクをご覧下さい。Macの設定例やPhotoshopの設定例もありますよ
プリントと比べてみよう!
今回の撮影で良い感じに撮れたものを数枚プリントしてみました。広色域モニターとsRGBモニターの違いも見ていただきたく、GamutDuo機能でPBP表示をし、画面の下に実際にプリントした2L版の写真を置いてカメラで撮影したものです。
さっきレタッチした夕焼けの写真、モニター表示(左上)とほとんど同じ色合いになっていますよね!
sRGB色域だとプリント可能な色が見えない
ここでもう一つ着目したいのは右上のsRGB表示とプリントの色の違いです。sRGBモニターだとプリンターで出力可能な色よりも狭い色しか表示出来ないため、これだけ違いが出てきます。
特にLightroomはProPhotoRGBというAdobeRGBより広い色域を内部で使用しているため、sRGBモニターでは見えない色まで編集してしまうと、(特に高彩度の写真においては)画面とプリントの色が違う(プリントが鮮やかになる)といことが起こりえます。
プリントするときにインクジェットプリンターに近い色域を表示出来る広色域モニターを使うと良いよというのはこれが理由です。(sRGBモニターでもPhotoshop等で作業色域をsRGBに指定し、モニタープロファイルを作ってプリントすれば画面と同じ色で出力出来るけど、プリンターの能力を使い切れない)
もう少し写真をみてみましょう。イルミネーションを多重露光してみた写真がこちら。
これをプリントしたときの比較がこんな感じです。
LEDや花火に含まれる緑成分は非常に彩度が高いのでsRGBモニターと広色域モニターでは特に違いがハッキリ出る色です。これもモニターとプリンターでだいたい同じ感じですね。(写真はsRGBに変換していますが、元画像を広色域モニターで見ると緑色がもっと濃く鮮やかに見える)
冬らしい真っ青な青空を細かな枝と共に撮った写真。
プリントしたのがこちら。
濃いめの青空はsRGB表示もなかなか健闘しています。ここからもう少し明るい青色になってくると広色域モニターのほうが良い発色になるはず。
フェンスが外れた東京駅で止まった車と動いている車の光跡を対比させてみました。
プリントしたのがこちら。
駅舎のレンガや光跡の色合いなんかもキチンとプリントに再現できていますね。背景のビルの窓明かりはプリントの方がちょっと青めに出ているかも。
キチンとキャリブレーションしておけばプリントの色は合う
ということでキチンとモニターをキャリブレーションしておき、正しい設定でプリントすればモニターとほぼ同じ色合いで出力することが可能です。
僅かに異なる部分もありますが、このくらいの差ならOKと言う人は多いのでは。さらに少しLightroomで追い込めばよりイメージに近づけられるかと思います。これ以上再現性を求める場合はプリンタープロファイルを自分で作るといった作業が必要になるでしょう(かなり大変です)。
また、冒頭で言ったようにプリントは環境光を反射して目に入ってくるものですので、モニターの白色点と同じ色の、演色性の良い光源を使うことも重要です(同じ色に出力できていても目に入る色が違ってくる)。
まとめ
ということで、とある1日の撮影を行ったときに私がどうやってSW271を活用しているのかをご紹介してみました。
自分で現像やレタッチ、プリントをやりだすと、ファインダーを覗いている時間よりも遙かに長い時間をモニターの前で過ごすことになります。しっかりとした作品作りをしたいならそれに見合った性能のモニターを使うことは大事なわけです。
厳密な色を出すことだけが写真ではありませんが、少なくとも普段の撮影ワークフローの中で、効率や色の再現性に悩んでいるのであればSW271のような高性能モニターを導入する検討をしてみても良いのではないかなと思いますよ!
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SW271の単体レビューはこちらです!
提供、取材協力:ベンキュージャパン株式会社(http://www.benq.co.jp/)