就活を見据えてインターンシップ(就業体験)に応募する学生が増えている。ただし社会人と接するための「マナー」に自信のない人も多いのではないだろうか。マナーはインターンの選考面接や、実際のインターン中にも必要な必須スキル。しっかりとした立ち居振る舞い、爽やかなマナーを身に付けていたら、好感度は確実にアップする。自信を持って振る舞えるマナーの基礎を井垣利英さんに聞いた。
レッスン1: 感じがいい「基本のしぐさ」
まずは基本の立つ、座る、お辞儀、話すといった動作を、感じよく見せるコツをマスターする。
【1】立つ姿勢
頭の上を糸で吊られているイメージで
キレイな姿勢で立つには、「頭の上を糸で引っ張られていて、体に芯が1本入っている」とイメージするとわかりやすい。「このイメージで背すじを伸ばすと、自然に肩が落ち、胸が開いてスッキリした姿勢になります」(井垣さん)
ただ、真っすぐな姿勢を意識しすぎると、肩や腰に変な力が入ったりすることも。硬くなってしまうと、相手にも緊張感を与えるので、体に芯が通っていることにだけ気をつけて、手や腕はゆったり構えよう。
■背すじは真っすぐ腕はゆったり
横から見て、耳・肩・腰・膝の横・くるぶしが一直線になるのがベストだが、意識しすぎない程度に。肩の力を抜き、手は自然に横に下ろすか、前で軽く重ねる(図1中)。
【2】お辞儀をする
ちゃんと立ち止まって腰から折るように
お辞儀の一番のポイントは、「きちんと立ち止まってから、頭を下げること」。歩きながら頭を下げるのでは、いい加減な印象を与えてしまう。また、頭を下げるときは、頭だけペコリはNG(図2)。背すじを伸ばしたまま腰から、体を2つに折り曲げるイメージで上体を傾けると、丁寧なお辞儀になる。
■首は曲げずに腰からお辞儀
上半身は腰から傾けて、呼吸2つ分で頭を上げる。視線は自分の足元ではなく、相手の足元に落とす(図1左)。
【3】座る姿勢
背すじを伸ばし手と脚にも気配りを
座っているとき上半身は、立った姿勢と同じように背すじを伸ばす。背もたれからこぶし1つ分くらいのスペースを空けて座ると、姿勢よく座りやすい(図3)。
手は指先をそろえて、太ももの上で軽く重ねよう。両脚はきちんとそろえて体の正面に。斜めに流したり、脚を組んだりするのはNGだ。
【4】話し方
顔の筋肉をフルに使って表情豊かに話そう
話すときに大切なのは、顔の筋肉、表情筋をきちんと使って話すこと。表情はもちろん、声のトーンも変わってくる。
「図4のように、頬の筋肉がうまく動いていないと、声がこもりがちに。口だけが動いていて目が笑っていないと不機嫌な印象を与えます。顔の筋肉は、自分が思っているほどは動いていないもの。電話で話しているときに、顔を鏡でチェックすると、よく分かります」(井垣さん)
表情豊かに話をするには「あいうえお」の口をしっかり開けるように心がけること。「こんなに大きく口を開けていいのかと思うくらいで、ちょうどいいんです」(井垣さん)
表情豊かに話すためのレッスン
●「い」「う」体操で笑顔の練習
普段から表情が硬い人は、「い」と「う」を30回くらい交互に続けると、表情筋のトレーニングになる。コツは、首に筋ができるくらい思い切り「いー」、これ以上すぼめられないくらい思い切り「うー」の表情を繰り返すとよい。
●顔の筋肉を動かすと目もイキイキ
頬にタコ焼きのような膨らみをつくるイメージで、頬全体の筋肉を動かして話すと、イキイキした表情に。目も自然に笑った表情になる。
【5】話す目線
基本は相手の目を見て。上手なそらし方も覚えよう
話すときはきちんと相手の目を見ることが基本。でも、考えるときなど、常に相手の目を凝視したまま話すわけにもいかない。
そんなときは、「相手の顔の、目の高さと喉元のへこみとを結んだ逆三角形のゾーン」の中であれば、目線を動かしても相手には「目を見ながら会話をした」という印象を与えることができる。
レッスン2:実践・面接の流れとマナー
実際の面接で慌てないよう、面接の流れに沿って、気をつけたいポイントを解説。予習はこれでバッチリ。
【1】入室
面接が行われる部屋に入る際、ノックは部屋の中にいる採用担当者に聞こえるくらいの大きさで、人さし指か中指の第2関節で軽く2度たたく。手を握ってドンドンはNG(図6右)。
ドアを開閉するときは、片手でノブを握っていきなり開けるのではなく、もう片方の手をドアに添えて静かに開け閉めすると、丁寧な印象に(図6左)。
【2】挨拶とお辞儀
入室したら、正面を向いて立ち、まず笑顔で相手とアイコンタクト。相手が複数並んでいるときは、全員の顔をざっと見渡す程度でOK(図7)。
面接は最初の印象が肝心。うつむき加減で入室したり、視線を合わせずあいさつしたりするのは暗い印象になるのでNG。
【3】自己紹介
第一声は、とにかく元気にを心がけて。「○○大学の●●と申します。よろしくお願いいたします」と明るい声で言おう。
面接で気になる3つのこと Q&A
Q.かばんを持ち込む場合、どこに置いたらいい?
A.バッグは床に置く
かばんは足元の「床」に置くこと。かばんは「土足」と同じと覚えておこう(図8)。机の上や隣の椅子の上に置くのはNG。また、バッグを持って入室する際、肩にかけたまま部屋に入ってはダメ。バッグの持ち手を握って入室するのが礼儀。
Q.身だしなみで特に気をつけることは?
A.体の先と足の先に注意
部屋に入った瞬間、採用担当者の目にパッと飛び込んでくるのは、体の先と足の先、つまり髪形と靴。特に靴は、意外に相手の目に付きやすいアイテム。靴先が擦り切れていないか、ヒールの底が減っていないか、かかとの革がささくれ立っていないかなど、事前にチェック(図9)。しっかり磨いておこう。
Q.敬語がちゃんと使えるか不安……
A.よく使う言葉だけで言い換えを
面接の会話の中でよく出てくる以下の言葉だけでも、ビジネス用語に言い換えられるよう、練習しよう。
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