懐かしの日本語ソフト「一太郎」健在 官公庁の「排除」の動きに「頑張れ」コール
1980~90年代に日本中を席巻した日本語ワープロソフト「一太郎」(いちたろう)。とっくになくなったと思った人も少なくないのではないか――。
ところがどっこい、官公庁という意外な場所でしっかり活躍していた。その役所のひとつが「一太郎」をやめて「ワード」に統一しようという動きを見せたことから、ネットユーザーの間で「頑張れ!一太郎コール」が起こっている。
「一太郎!! お前、農林水産省で生きていたのか」
きっかけは、時事通信が2018年1月13日付で報じた「文書作成、ワードに統一 農水省、効率化で働き方改革」との記事。それによると、農林水産省は現行、文章作成ソフトをジャストシステムの「一太郎」とマイクロソフトの「ワード」を併用してきたが、ワードに統一する方針を決めたという。
これまでは一太郎の使用頻度が高かったが、一太郎の操作経験がない若手が増加。「ワードに統一して」という強い要望があった。ワードだとスマートフォンで閲覧しやすく、外出先でも仕事ができるため、業務の効率化と残業代の削減につながるとしている。
この記事には、ネットユーザーから、
「いつの時代の話だ。20年前に終わった話だろ」
「Officeの導入なんて働き方改革と言わない」
というツッコミとともに、
「一太郎!! お前、農林水産省で生きていたのか!!」
「大学生の時、MSを買うカネがなくて一太郎を使っていた」
「今の高校生は知らないだろうが、細かい操作は一太郎のほうが上なので、使い慣れると楽なんだが」
などと、懐かしむ声が相次いだ。
一太郎は、ジャストシステムが1985年から販売している日本語ワープロソフト。1980~90年代にはトップシェアを誇ったが、ウィンドウズの普及とともにワードを使う人が増え、シェアは減った。
しかし、公文書によく見られる多くの罫線で仕切ったフォームを作成する時に適しているため、官公庁ではまだ使うところがあるようだ。あるネットユーザーは、
「文部科学省は長らく一太郎の牙城だったが、外部の先生方に文書を頼むとワードなので、いちいち変換しなくてはならない。最近、本省もワードでの提出を認めるようになった」
と明かしている。
官公庁が、一太郎からワードに切り替える動きに対しても、
「日本企業の日本語による文書作成ソフトを捨てて外国企業のソフトだけになったら、働き方改革ではなく売国改革だ。誤字脱字が増えて公文書がさらに乱れる」
「国産品奨励で全省庁がワードをやめて、一太郎にしようよ」
「かつて国産OSトロンが見捨てられたように、一太郎も見捨てられる運命のようですね」
といった批判的な声も寄せられている。