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カムツ語 ‘ram’ についての考察

概要と発見について

本稿は2018年初頭に発見された異世界の呪術者を名乗るアムフォ(amu-fo)によって話されている言葉カムツ語(kamutu)の単語ramに関する研究報告である。本研究が提案するのは、次の二点である。⑴’ram’が動詞であること。⑵’ram’は「〜と〜で〜である」、「を送る」、「やる(行う)」、「つづく」などの意味をもつこと*1

先行研究について

カムツ語解読のもっとも初期の研究は2018年1月11日木曜日にSashimi Fafsによって投稿された「ミズダ語(カムツ語らしい)解読(できません) #1」およびその1日後に投稿された「カムツ語解読(できません)#2」である*2。前者はアムフォの最初の動画の字幕に基づいて単語の解析を行っており、多くの重要な発見が記されている。後者は前者より分量の点では劣るものの、アムフォのTwitterを解析しており、動画資料以外のもの扱う必要性を提示している。これらが現在のカムツ語研究の唯一のものとなる。本稿でも、意味の解読をこの研究の成果に全面的に負っている。

使用する資料について

カムツ語に関しては、この世界で確認できるカムツ語の唯一の話者であるアムフォによってアップロードされた4本の動画が確認されており*3、またSNSであるTwitterにおいてもアムフォ本人と思われるTweetが散見される*4。本来ならばこれらのすべてを参考にすべきであるが、その分量の問題、および、動画とそれ以外の扱いに関する問題、そしてこれらの資料の系統だった研究手法が未だ確立していないことから、本稿ではアムフォの最初の動画のみを一次資料として扱い、次に、前掲のSashimi fafsの研究を二次文献として研究を行う。

本論

カムツ語はどのような構造の言語であるかはいまだ謎が多いが、基本的なコプラである’hyu’ あるいはその変化系と思われる’hyut’が確認されており、それらは概ねSVOの語順を想像させるような形で文中に位置している。
たとえば、

#1-2(番号付けはfafsに基づく). imi hyu amu-fo
私の名前は アムフォ
1-5.imi minoki hyu amu-fo
私の名前は アムフォ
1-8.beno tine nontu-mita hyut ems omta fotp n~
もう貴族ではないので姓はないです
1-10.hotu mizuda hyu inemi
出身はミズダ王国
1-13.nociho hyu ficram hyu tinetu kamtu ns hovirus kamrus
特技は音楽と 異世界語の読解です。
1-19.donon hyu be-necnom hyut amara kn!
呪術師は必修なんですが、すっごく難しいん[見切れていて読めない]

などから、⑴’hyu’が用いられる文は、おおむね「AはBである」という文と意味的に対応すること、そしてそこからこれは繋辞であると予想される。次に、⑵’hyu’は、平叙文では、おおむね「A is B」という文と形式的に対応している。ゆえにSVC(1, 2, 10, 13)のVにあたる。⑴と⑵から、⑶カムツ語は、SV、SVO といった英語に似た文型の言語であるように思われる。

⑶から、ramがもし動詞であるならば、それはSV、あるいはSVOのVの位置にあるはずである。それでは例を見てゆこう。

6.amu hovi fo ram amu-fo n
アム(想う)とフォー(風)でアムフォです
11.beno omra be[bi:] kosom ns kam edoru hoturus ru fic wo kamtu wor ram nyo yomi Nt~
今はそこの北との国境のエドルの街からお送りしています~
12.yomi hop Kamfotu be nyo ram rus/ douga? ns komerann? nyo hovirus
お便りがあればここに手紙を送るか 動画?のコメント欄?にお願いします
15.Yomi amu wic? amu?
音楽聞きたいですか?
16.fu-nu nom nya ram fic
フフーンじゃあ後でやります
18.nec bec turanom ns ho ns kampas ru tinetu nyo tu ramom ems omtan ns kamtu n
ときどきよくわからない機械や本がこちらに流れ着くんですが
[ramomのあと]そこで使われている言葉のことですね
21.ram non
つづく*5

以上から、’ram’は動詞であり、⑴「〜と〜で〜である」(6)⑵「を送る」(11, 12; 18*6)⑶「やる(行う)」(16)*7⑷「つづく」(21)などの意味をもつように思われる。

結論

カムツ語の動詞については前掲の'hyu’が唯一高い確度で明らかになっている。本研究では、その知見から’ram’もまた動詞であること、そして「〜と〜で〜である」、「を送る」、「やる(行う)」、「つづく」などの意味をもつことを明らかにすることで、カムツ語動詞研究に一定の寄与を行なったと言える。

展望

カムツ語研究はその産声をあげたばかりであり、カムツ語そのものの全容もいまだ明らかではない。しかし今後資料の発見とともに、解明が行われるにつれ、アムフォがそこに生きているという異世界についても多くのことが明らかになってくるであろう。

本稿の発見はいまだ微々たるものであり、その確度も低いが、カムツ語研究の進展にわずかなりとも寄与できることを願う。

*1:なお筆者は言語学の専門家ではない。たんにカムツ語に惹かれた者のひとりである。

*2:http://lineparine.blogspot.jp/?m=1

*3:https://www.youtube.com/channel/UCRtI9u0ddHldLWB27ZgxtdQ

*4:https://mobile.twitter.com/iminyaminokikam

*5:太字強調は筆者。

*6:また推測の域を出ないが、ramonはram-onと分解でき、「送る」の現在分詞形を意味するように思われる。

*7:ficramが音楽を意味し、fic-ramと分解できるとすると、「音」を「行う」と解することができる。ficが単体で音を意味するかどうかはいっさい実例がないため即断は禁物である。すると「言葉」を意味する’turam’も同様にtu-ramと分解できなければならないが、tu がなにを意味するかは判明ではない。