海上4カ所に油膜と中国 上海沖タンカー沈没
イランから韓国へ向かっていたパナマ船籍のタンカーが上海沖で香港船籍の貨物船と衝突し、沈没した事故で、中国当局は18日、流出した油が4つの油膜に分離し、広さ100平方キロを覆っていると明らかにした。
タンカー「サンチ(Sanchi)」は6日、上海から約260キロの沖合いで貨物船と衝突し、1週間にわたり燃え続けた後に爆発し、14日に沈没した。タンカーの乗員32人は全員、死亡が確認されたか死亡したとみられている。
これまで衛星写真から、油膜は2カ所とされていたが、17日に周辺を確認した中国の国家海洋局によると、油膜は4つになった。それぞれ48平方キロから5.5平方キロと、面積は異なる。
タンカーが運んでいた原油と、タンカーが燃料として積んでいた重油が流出したことで、周辺の生態体系に大被害をもたらすおそれがある。
タンカーの積荷の原油は軽質の「コンデンセート」で、油の海洋流出でしばしば問題になる重く黒い原油とは性質が異なる。
コンデンセートは有毒で天然ガス液とも呼ばれ、通常の原油よりも爆発しやすい。
ほとんどのコンデンセートは無色で、海上からは見えにくいが有毒の油膜を水面下に作る。
中国交通運輸省は17日、沈没タンカーを水深115メートルで発見したと発表した。水中ロボットを送り込んで周辺を探索する予定。さらに、海警局の巡視船が現場海域に到着し、油の流出を食い止める方法を検討し始めたという。
(英語記事 Sunken tanker Sanchi: Four oil slicks seen, says China)