新たな「部落地名総鑑」を徹底糾弾し鳥取ループ・示現舎を追放・一掃しよう

(2016年06月24日)

 

部落解放同盟全国連合会中央本部


部落解放同盟全国連合会(全国連と略)は、第25回全国大会での特別決議をもって、鳥取ループ・示現舎なる者による、新たな「部落地名総鑑」を極悪の差別事件として断定し、かつ部落解放運動総体への見過ごすことのできない挑戦として認識し、ここに改めて徹底糾弾を宣言する。


(1)今年2月、インターネット上で、鳥取ループ・示現舎なる輩が、じしんのホームページで、「復刻 全国部落調査 部落地名総鑑の原点」と称する書籍の発行・販売を予告し、アマゾンが予約注文を開始するという情報を掲載した。さらに、発行・販売は4月1日であると予告した。

また書籍とは別に、「同和地区Wiki」と称するサイトをネット上に開設し、「部落地名総鑑」がいつでも、誰でも見れる状態にしていた。

その内容は、全国5360ヶ所以上の被差別部落の地名(昔の地名と現在の地名)、その地区に多い苗字、戸数、人口、主な職業、「中、下」など生活程度を一覧にして掲載し、さらには解放同盟や全国連の中央役員の氏名、電話番号(本部事務所のもの)までもが掲載されている。

解放同盟の申し立てを受け、3月28日、横浜地裁は同書籍についての「出版・販売を禁止する」仮処分を決定した。しかし、鳥取ループ・示現舎側は、その腹いせに、何と、解放同盟の出した裁判資料(「全国部落調査」のコピーを含む)を、ネット上のヤフーオークションにかけるという、居直り強盗の挙に出た。この報に接した全国連を含む全国からの抗議の殺到にもかかわらず、オークションは行われ、最終的に51000円で何者かに落札された。書籍の発行・販売じしん、現時点でその可能性がまったく無くなったわけではない。

他方、ネット上では、裁判の仮処分で「同和地区Wiki」サイトでの掲載が削除された。

鳥取ループとは、かのホームページによると、「とある鳥取県東部出身者」「信州大学工学部卒」で、現在神奈川県座間市に住み、名前は宮部龍彦と自己紹介している。またネット上でのやりとりを見ると、「宮部は正真正銘の部落民」と語り、「部落解放協議会」を自称し、「個人の同和マニア」「電子雑誌編集長」「趣味で同和を研究」などと、ほざいている。示現舎とは、鳥取ループが設立した、電子出版の任意団体である。

この度の挙に及んだ意図についても、第1に、「同和はタブーと思い込んでいる人をおちょくるため」、第2に、「40年前の地名総鑑の時は、解同にみんな頭を下げてしまい、解同の思うままになった。それを今回破るため

と認めている。つまり、100%確信犯だと自認している。そればかりではない。「40年前をくつがえすため」という、極悪の政治的で差別主義的な意図をもって、この挙に及んだことを告白している。


(2)全国連は、この問題を極悪の部落差別事件として、徹底糾弾する。書籍としての絶版、ネット上での追撃はもちろん、鳥取ループの化けの皮をひっぱがし、徹底糾弾して、全社会からの永久追放までたたかう。

こうした態度を鮮明にするには、この問題の独特の性格に注目し、その本性を見抜かなくてはならない。鳥取ループが「おちょくり」だの、あたかも「解放同盟の問題性を糺す」だのと言っても、それはペテンにすぎない。また「全国部落調査の復刻版」など、学術図書だからと弁解しても、それもペテンだ。これらは、歴然たる部落差別をすりかえ、ぬりかくすための、下手な演出にすぎない。

そもそも、「部落地名総鑑」は就職や結婚における身元調査のためにこそ、作成・発行された。そして、身元調査の99%は、「同和地区かどうか」を調べる目的であることは、1975年第1次地名総鑑の発行者・坪田義嗣が認めている。今回の「全国部落調査の復刻版」はそれと同様に、否、内容的にそれ以上に悪質である。

また、宮部じしんが「正真正銘の部落民

、「部落解放協議会

を語り、「タブーをやぶり」、あたかも「解放同盟の問題性をただす

かのように装いしていることも自体も、極めて疑わしい。だいたい、数千もの部落の地名や主な苗字を公公然と晒して平気な人間が、自分のことになると、「とある鳥取東部の出身」などと誤魔化すのは、どうみてもおかしい。自己矛盾だ。40年前の、坪田らとは違う、新たな手口の下手な芝居をうったとしか思えない。

そのくせ、差別書籍の発行・販売で、あわよくばぼろ儲けをたくらんだ。その点だけははっきりしている。「部落地名総鑑」という悪名高い差別図書の死肉をあさる薄汚いハイエナ。それが、鳥取ループ・示現舎の正体にほかならない。

たとえ宮部が部落民だろうが、否もしそうであれば尚更許されない。

この問題は、新たな装いを凝らした、こんにちの部落差別の姿、その典型のひとつであり、その正体を白日のもとに晒して、徹底糾弾しなければならない。


(3)鳥取ループがどれほどのものかは別にして、「40年前(「部落地名総鑑」糾弾闘争)をひっくりかえす

ことを政治目的にした、部落解放運動総体への挑戦である。「個人的なマニア」「趣味でやっている」と言っても、それは猫だましで、逃げ口上のためにする屁理屈にすぎない。それを真に受けて、問題を軽視し、見過ごせば、差別主義が堰をきってまかり通り、40年前に倍する差別洪水を招くことになりかねない。鳥取ループの真のねらいは、そこにある。

その点で、今回の差別事件にたいしては、本部派、全国連を問わず、全国の部落大衆の危機感、怒りと心をひとつにしてたたかうものである。

だからこそ、同時に、権力依存主義の「法による規制」の無力性を、わが全国連は声を大にして訴え、今こそ差別徹底糾弾の原点にたちかえってたかかう以外にないことを訴える。

「いつまでたっても部落差別は後を絶たない」「差別を法律で禁止し、違反者は罰するべきだ」という部落大衆の思いには一理ある。全国連は頭から、その気分を否定するものではない。

しかし、本末転倒したら、鳥取ループのような輩に、とことんなめられる。たたかう部落民の自己解放と、労働者人民の階級的良心による自前の差別糾弾闘争こそが、部落差別とたたかう本来の姿であり、唯一有効な方法である。ところが、糾弾闘争を忌み嫌い、「糾弾権」を全否定する、かの「法務省見解」「地対協意見具申」いらい、解放同盟本部派は、むしろ自己規制によって、差別糾弾闘争をズルズル後退させ、権力の認める範囲での糾弾におしこめてきた。今日では、差別者にたいしては、告訴路線での対応に終始している。

こうした差別糾弾闘争をめぐる、運動側の顕著な後退が、むしろ差別主義を増長させ、ついには今日の堤防決壊の一因にもなったことは否定できない。今こそ、部落大衆の憤激の声を上げ、その流れを逆転させるべきではないか。

そして、確信犯には実力糾弾も辞さない。「やってもいいんだ!

。胸のつかえを取っ払い、思いを解き放つ。そのような大衆行動こそが今求められる。「法の必要」を言うなら、それを認める法こそ必要ではないのか。


(4)今、どんな部落解放運動が必要なのか。今回の差別事件は、そのことを根底から問う問題でもある。

新たな「部落地名総鑑」事件は、単にひとりふざけた差別主義者のひきおこした問題にとどまらず、近年、全国で起こっている悪質差別事件の氷山の一角である。

昨年、大阪、京都、兵庫では、同和住宅、解放同盟事務所、皮革業者、斎場など39ヶ所、1850枚におよぶ大量の差別文書のばらまきが、半年にわたって執拗にくりかえされた。住民の糾察から差別者が特定され、解放同盟や業者が告訴し、本年2月、検察が「侮辱罪」を適用して、わずか9900円の科料で処分終了した。

また、長野では、数年間にわたり、差別者・隣人が差別暴言をくりかえし、昨年12月にはついに暴力行為=差別襲撃にまでおよび、差別者の逮捕、裁判になり、3月15日、長野地裁で有罪判決となった。

さらには、このような差別排外主義を街頭で公然と煽りたてるヘイトスピーチが、各地で繰り返されている。

こうした極悪の差別事件があいつぎ、しかも、問題は何ら解決されていない。告訴路線は「日本には差別を直接裁く法律が存在せず、こうした前代未聞の差別事件にたいしても、余りにも無力」(部落解放同盟大阪府連)と自ら嘆かざるをえないのが、運動側の現状である。

新たな「部落地名総鑑」とのたたかいは、相手に対する糾弾そのものとともに、こうした危機的現状を突破し、差別糾弾闘争を部落民と労働者人民の自己解放闘争として復権をしていく待ったなしのテーマでもある。

全国の部落大衆の徹底糾弾で、鳥取ループ・示現舎に制裁を加え、全社会から永久に追放するまでたたかおう。心ある労働者人民はともにたちあがろう。「全国部落調査・復刻版」の絶版、ネット上からも永久完全削除をかちとろう。かって、全国連はネット上の2チャンネルでの差別者どもとのやりあいにかちぬき、西宮でもネット上の差別的誹謗中傷とたたかい削除までかちとった。執拗なやりあいにも決して負けない。ともにたたかわん。

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