- 地域: アジア
- 一般製造業・サービス業
- 証券化・流動化
- 保証
2013年5月21日
- 株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:奥田 碩)は、今般、イオンフィナンシャルサービス株式会社が出資するタイ王国法人AEON Thana Sinsap (Thailand) Public Company Limited(以下「ATS」、本社:バンコク)をオリジネーター*1とするクレジットカード債権を裏付資産とする総額80百万米ドルの資産担保証券(ABS)のうち、50百万米ドル分を取得するとともに、民間投資家取得分(元本部分30百万米ドル分)に対する保証、ならびにATSが民間金融機関から借入れる資産担保融資(ABL)(融資金額20百万米ドルの元本部分)に対する保証を提供しました*2。
- JBICは、資金の貸付けや債務の保証等に加え、民業補完を旨としつつ新たな金融手法の活用を図るべく、2008年10月から証券化業務を開始しました。本件は、ATSにとってタイ国外の投資家向けの初の証券化案件であると同時に、JBICにとっても初のクレジットカード債権の証券化案件であり、JBICによる証券化商品の一部取得や保証提供により、ATSの資金調達手段の多様化ニーズに応えると共に、民間投資家にとってのカントリーリスクやストラクチャーリスクの軽減を通じた証券化市場における投資機会の提供にも貢献することが期待されています。
- また、JBICによる本証券化案件への支援は、クレジットカード事業や販売金融事業を展開するATSの資金調達手段の多様化を通じて同社の事業安定化に資することが期待され、ひいては現地で耐久消費財等の販売を行う日系メーカーの販売事業の環境整備にも寄与するものであり、これら日系企業の国際競争力の維持・向上に資することが期待されます。
- さらに本件は、アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)*3の「新ロードマップ・プラス*4」で合意された9つの優先分野の一つである「消費者や中小企業(SMEs)の金融アクセスの強化」に沿った取組みであり、ATSの個人向け金融事業の強化を通じ、タイ国内消費者の金融へのアクセス環境改善にも貢献するものです。
- JBICは、今後とも、新興国における証券化案件の組成支援といった市場型の金融手法を活用しつつ、我が国産業の国際競争力の維持・向上を金融面から支援していきます。
注釈
- *1 証券化対象資産の元々の保有者であり、証券化によって資金調達を行う者を指します。
- *2 本案件の関連諸契約は、2013年5月16日に調印済でしたが、同年5月20日に払込等の諸手続きが完了したところ、本日プレスリリースを行ったものです。
- *3 アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)は、アジア通貨危機の再発防止策として、高い貯蓄率を有するアジア域内の資金を域内の投資に振り向けるために、アジア各国の債券市場の育成・活性化を図るための方策として、2002年12月に日本政府が提唱し、現在、ASEAN+3(日・中・韓)の枠組みの中で進められているものです。
- *4 2012年5月に策定されたASEAN+3(日・中・韓)財務大臣・中央銀行総裁会議の共同ステートメントにおいて提唱された取組みです。