習慣形成には大きな力があります。
習慣が人生を変えるとはよく聞く言葉で、まさにその通りだと実感しています。
自分がしたいこと、するべきことを努力や根性を必要とせず淡々とこなせる技術。
しかしそんな習慣形成に何度も挫折してしまい、結局ここ何年か新しい習慣を身につけられていない人も多いのではないでしょうか?
自分がダメだとは思ってはいけません。習慣形成にはきちんとした科学的なコツがあるのです。
それを知っているか知らないかだけで大きな違いが生まれてきてしまいます。
本記事が皆様の習慣形成、そして人生にとって役立てたら幸いです。
意志力は「習慣化」のためだけに使う
意志力の研究を行っているロイ・バウマイスター氏やケリー・マクゴニガル氏によると、人間の意志力は限られているそうです。
つまり、限られた意志力を「どこに使うか」が重要になってきます。
意志の弱い人は「目の前の問題に対処するために」大量の意志力を使い果たしてしまいます。
意志の強い人は多くのことに意思力を使っていません。「習慣化を身につけること」に意志力を使うのです。
一定期間習慣化のために意志力をつぎ込めば、あとは自動化してくれるので意志力を消耗しません。
まずは何かを習慣化するために意志力を使いましょう。
習慣化するとこんなメリットを複利で享受できる!
意志の強い人達は意志力を習慣化に使うことによって2つのメリットを享受しています。
ひとつめは、習慣化してしまえば意志力を使わなくていいから新しい習慣を身につけることができるということ。
ふたつめは、新しい習慣を身につければ身につけるほど前頭葉が鍛えられ、意志力が強化されていくということ。
意志力を習慣化につぎ込めばつぎ込むほど意志力が鍛えられ集中力が上がり、新しい習慣をどんどん身につけることができるというワケです。
新しい習慣の目標を次々につくりチャレンジしていくということを是非ライフワークにしてください。
習慣化するのは「ひとつずつ」
現代人は大事な意志の力を分散させすぎています。
例えば「ダイエットしたい」「資格取得の勉強をしたい」「毎日10km走りたい」…。
このように多くのことをいっぺんに成し遂げようとすると習慣化されづらいことがわかっています。
習慣化されないと意志力を食い続けるので、負のスパイラルに。
習慣化したいことはひとつに決めて、それが習慣化するように意志力をつぎ込みましょう。
まずは身につけたいことを「ひとつ」。
一生続けたい習慣を年に4~5つ身につけるペースで
NLP創始者であるリチャードバンドラー博士によると、たいていの習慣は21日間で身につくそうです。
しかしこれだけの日数では「朝起きたときに水を飲む」のような簡単な習慣しか身につきません。
運動や勉強のような習慣を身につけるには「66日間」続けることが必要だとロンドン大学の研究で発表されました。
大きく見積もってだいたい2~3ヶ月で習慣が身につくと考えていいでしょう。
「長いよ!」とお怒りの方もいらっしゃるかと思われますが、このペースだと習慣を年に4~5つ身につけられるという計算になります。
適当に決めた習慣ではなく、「これを一生続けていきたい」と思える習慣に絞っていきましょう。
そんな習慣が年間4~5つ身につく。人生を変えるには十分な値でしょう。
まずは2~3ヶ月かけてひとつの習慣を身につける。習慣化したら新しく目標を決めてそれを習慣化させる。それを繰り返していきます。
習慣化するには「トリガー」「時刻」「場所」を固定する
トリガー
まずは習慣化のための行動をするきっかけになる動作を決めましょう。
朝起きたら◯◯をする、お昼ご飯を食べたら◯◯をする、お風呂から上がったら◯◯をする、といった具合です。
時刻
何時にやるかも決めて下さい。厳格に時間を守る必要はなく「午前中に」「8時より前に」などざっくりした決め方で構いません。
習慣化が進んでくると同じ時間に行動したくなってきます。
場所
習慣化のために「専用の場所」をつくってしまいます。
例えば「バスルームは読書のスペース」「英語の勉強をするときはダイニングで」といった感じです。
「場所」をうまく使って習慣を固定していきましょう。
「勉強専用のイスを設ける」「ブログ執筆のためだけのパソコンを設ける」などのテクニックもあります。
難しい習慣を身につけるには必ず「朝やる!」
1時間でも、30分でもいいので、難しく感じるいちばん身につけたい習慣は朝に行ってください。
なぜなら、前頭葉の力である意志力は朝がいちばん保有量が多いからです。
「夜仕事から帰ってきて勉強しよう」といった目標が挫折しやすいのは、せっかくみなぎった意志力を朝の通勤や仕事で使い果たしてしまうからなんですね。
こんな意志力がからっぽの状態で難しく新しい習慣を身に付けようとしても土台無理な話です。
さらに、習慣を身につけられないことによって
「なんて自分はダメな人間なんだろう。このままでは独立して新しい事業を立ち上げるなんて無理だなぁ」
といった具合に自己嫌悪に陥り自分を責めるようになってしまいます。
自分を責めるとさらに意志力が消費されてしまいます。決して負のスパイラルに陥らないように。
朝のルーティンを決めて行動し、それができているならもうひとつ新しい習慣を加えていってください。
すでに習慣化しっていることに新しい習慣をくっつけることによって、よりそれが身につきやすくなります。
難しい習慣を身につけるためにはどういう思考を持つべきか
スタンフォード大学の心理学者キャロル・S・ドゥエック教授によると、人間には「固定化された思考」と「成長する思考」のふたつがあるそうです。
固定化された思考というのは、日本の教育現場で起こりがちな「間違えると怒られる」「間違えると恥ずかしい」と思い、できることしかやらなくなってしまう思考です。
成長する思考というのは、できないものに積極的にチャレンジしていくというスタイルの考え方です。
この成長する思考に考えを切り替えるのが大切なのですが、人間とは臆病なもの。どうすればいいのでしょうか。
ドゥエック教授によると「ある考え方」をすれば90%の子どもたちが難問にチャレンジするようになったようです。
その考え方とは、できなかったときには「まだできない、でも慣れればできる」という考え方をすることです。
この考え方は習慣化にとっても大事な思考で、習慣化とはなかなか身につかず辛いと考えるのを「今はまだ辛いけど、続ければ続けるほど楽になっていく」と考えるといいでしょう。
習慣が途切れ途切れになってしまうときも「まだ慣れていまいだけ、まだできないだけでこれからどんどん上手くなっていく」と考えることによって全てがうまくまわるようになっていくとう寸法です。
「明日はもっと上手くできる、楽にできる」という思考を持ち続けるのが大事ってワケですね。
「今していることに集中する」マインドフルな状況
マインドフルネスとは「今していることに集中する」ということです。
浮かんでは消える考えを判断せず、大きな目的だけに集中する状態ですね。
このような状態を維持する事が出来ると、なんと激しい運動習慣ですら身に付けることが出来るそう。
マインドフルな状態だと、自分がどういったときに誘惑に負けそうになるか等を客観的に観察することができます。
自分のなかで大きな目的を決めて、それ以外はどうでもいいと思うことにしましょう。
余計なことが思い浮かんできたら「それは自分がいちいち考えることじゃあないよなぁ、じゃあ受け流そう」と考えます。
これができるようになると集中力がつき、習慣化もされやすくなります。
ハーバード大学心理学者ショーン・エイカーの20秒ルール
ショーン・エイカー博士によると、自分が習慣化したいと思っていることは、いまある状況よりも20秒早くできるようにすると習慣化されやすくなるそうです。
例えば筋トレ器具を自分の近くに置いておく、勉強道具を準備しておく、本のページを開いておく、などすぐ取り掛かれるようにしておくことで習慣化が促進されます。
朝に運動したいならトレーニングウェアを着て寝てしまうといったテクニックです。
逆にやってはいけないこと、やめたい習慣は、たくさんのケースに入れる、厳重なロックを施すなど取り出しにくい状況をつくります。
禁煙するためにタバコを南京錠のついたボックスに入れる、などですね。
とにかく良い習慣が「やりやすい」環境をつくってしまうのが大事なようです。
挫折しそうになるときを考えてプリコミットメントする
やるべきことがわかっていても、その目標からずるずると遠ざかってしまうこともあるのが人間です。
このようなときは、挫折しそうになったときに◯◯する。集中力が切れたら◯◯する、というように予め対処の計画をつくってしまいましょう。
体重が1kg増えたときは二日間は糖質を取らない、勉強中集中できなくなったら5分間だけ散歩し、そのあとすぐにまた勉強に取り掛かる、などです。
また、人は意外と手持ち無沙汰になったときにもやるべきことから遠ざかってしまいます。
暇なときについネットやゲームなど中毒性のある行為に耽ってしまい、気がついたら時間を浪費しています。
暇になったら本を開く、暇になったらスクワットをする。そのようなプリコミットメントをすることでさらに習慣化を加速することができます。
集団の力を借りて習慣化しよう
同じような人達がいる集団に属し、その人達の話を聞くだけで無駄な意志力を使わないで「やろう」という気持ちが高まります。
アルコール中毒の患者の集団が、同じアルコール中毒の人達の努力を話し合うことでアルコール中毒を克服する意志が強まります。
自分との約束を破るのはとてもカンタンです。しかし、約束を破って周囲から「ダメな人だなぁ」と思われたいという人はいないはず。
人間がもつこの単純な性質を習慣形成に利用しない術はありません。
友人でも同僚でもオンラインの仲間でも、同じ志を持つ者同士で習慣化を目指しましょう。
参考書籍
幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論
- 作者: ショーン・エイカー,高橋由紀子
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2011/08/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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習慣の力 The Power of Habit (講談社+α文庫)
- 作者: チャールズ・デュヒッグ,渡会圭子
- 出版社/メーカー: 講談社
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