(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年1月15日付)
独ベルリンにある社会民主党(SPD)の本部で、連立協議後の記者会見を終え、写真撮影に臨む、アンゲラ・メルケル首相(中央)とSPDのマルティン・シュルツ党首(右)、キリスト教社会同盟のホルスト・ゼーホーファー党首(2018年1月12日撮影)。(c)AFP PHOTO / John MACDOUGALL〔AFPBB News〕
欧州諸国の政府が12日、ドイツのキリスト教民主同盟(CDU)とドイツ社会民主党(SPD)が2013年から政権を担ってきた「大連立」を更新することで暫定合意に達したと聞いて、安堵したのは間違いない。
具体的な欧州連合(EU)政策を追求する負託を得たドイツ政府の存在は、欧州統合で進展を遂げる前提条件だ。
だが、たとえ新たなCDU・SPD連立政権が発足するとしても、3月まで実現しないように見える。決定的な結果とならなかった昨年9月24日のドイツ連邦議会選挙から6カ月も経った後になるということだ。
その時点になると、次の欧州議会選挙がわずか14カ月先に控えている。イタリアとハンガリー、スウェーデンでは今年、選挙が実施される。ドイツの次の国政選挙も、わずか3年半先だ。
止められない欧州選挙サイクルのために、フランスのエマニュエル・マクロン大統領やドイツのアンゲラ・メルケル首相など、ユーロ圏の統合を深め、EUの結束を強化したいと考える指導者が使える時間が減っている。
ドイツの政治が予想外に複雑化したせいで、すでに貴重な月日が失われてしまった。
この問題は誇張されてしまうこともある。CDUとSPDの合意は欧州統合について、CDUがリベラル派の自由民主党(FDP)、緑の党との3党連立を目指す交渉を継続していた場合に見込まれた内容よりも野心的だ。3党の連立協議は昨年11月に決裂している。