ザ・ローリングサンダーレビューでは、洋楽ロックに関する様々なガイダンスも掲載しています。

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Mansun

マンサン

イギリス

稀代の偏屈天才野郎ポール・ドレイパー率いる4人組。ブリットポップの狂騒の最中登場したものの、明らかに異彩を放っていた。未だに熱狂的なファンは彼らの復活を待ち続けている。

1997年

※リンク切れの際はご容赦下さい。

※外部リンクについて


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Six

1998年 2nd Album

発売年代:1990年代

音色の種類:ミドルトーン

必要熟練度:上級

ボーカルの種類:男性ボーカル

※各アイコンについて

収録楽曲試聴 : Amazon英国

PV試聴 : YouTube内検索

※試聴リンクについて

【このアルバムの購入ガイド指標】

朝の起床時に聞きたい

パーティで流したい

夜の睡眠時に聞きたい

芸術を鑑賞したい【←オススメ】

休日の午後に流したい

ロマンティックな場面で流したい

ドライブ時に車内で流したい【←オススメ】

暴れたい

心折れた人達へ

大合唱したい

【このアーティストのその他のレビュー】

※画像はAmazonへ。タイトル名はレビュー画面へ

※レビュー済のアルバムは、タイトルが青色です

※最新作はリスト抜けの場合があります

Mansun
アルバム画像 1st : Attack of the Grey Lantern 1997
楽曲試聴 : Amazon英国
PV試聴 : YouTube内検索
アルバム画像 2nd : Six 1998
もったいないおばけが出るぞ
アルバム画像 3rd : Little Kix 2000
楽曲試聴 : Amazon英国
PV試聴 : YouTube内検索
アルバム画像 4th : Kleptomania 2004
ファン3000人の署名
Paul Draper
アルバム画像 1st : Spooky Action 2017
Revaluation of Mansun International Committee

※未レビュー作品は、視聴サイトへ誘導しています

【このアルバムの制作メンバー一覧】


レビュー本文

Six

※ジャケット画像をクリックすると、Amazon.co.jpのアルバムページに飛びます。

4,5点(5.0満点中)

ブリット耽美プログレギター

※ジャンル表記は、ザ・ローリングサンダーレビューの独自命名です。


「もったいないおばけが出るぞ」

Six REVIEW
文責:ロリング君 編集・構成:織衣草安(ジャスティス森本)
レビュー投稿日時:2010.4.15 AM0:14
レビューNo:075 ショートカット:▼全曲採点表 ▼注釈

今回のテーマソング:1曲目「 Six youtubeで検索する

※今回のテーマソングについて

「あと
一歩で大名盤」。この印象はリリース当時から変わらない。ブリットポップ全盛期にオアシスフォロワー [1] として登場した マンサン のセカンド。ファーストで既にオアシスとは全然違う音楽性だった。もっとナヨナヨして化粧が似合いそうなニューロマンティックなバンドだったのだ。
しかしこの 「 Six 」 で大きく方向転換。ギターのドライブ感といい無茶な転調といいアグレッシブにグイグイ攻める音楽性に。そこに ポール のセクシーボーカルが乗ることでブリットポップ勢と一線を画す存在感を示す。

ローリングサンダーポイントその1

Mansunを再評価する会を結成する

ロー
リングサンダーネットワーク会員(略してRTN会員)きってのマンサンフリークであるラブトレイン吉見氏に話を聞いてみた。
「当時みんなレディオヘッドの OKコンピューター (1997年)に夢中やったんやけど、俺は違うんや!このアルバムの凄さに最初っから気付いていたんやで~!!どうなっとるんやワレ~」 (一部関西弁を誇張)と熱く語ってくれました。ラブトレイン吉見氏の熱いトークに感化され、その場で 「 Mansunを再評価する会 」 を結成する。

ローリングサンダーポイントその2

一般的な評価は長すぎて難解、そしてセールス不振

一般的
な評価は、 「長すぎて難解」 だったため、セールス不振によりバンドがうまくいかなくなる原因となったようだ。 くまのプーさんの哲学(タオ) に影響を受けているとのこと [2]
印象としては The Beatles の 「 Abbey Road 」 後半の 「名曲が次々に溢れ出ては消えていく」 あのメドレーに近い。あっちは一千万枚売れてこれはダメなのかい。突然牧歌的なメロディが入ってきたり、ごちゃ混ぜなホワイトアルバム( 「 The Beatles 」 )的な雰囲気もある。影響受けてるなこれ。めちゃくちゃカッコイイじゃないか。でも確かポールは ビートルズ を毛嫌いしていたんじゃなかったっけなぁ。

グッドサンダーポイントその1

タイトル及び歌詞が良い、人生うまくいってない感全開

さて
アルバム評。まずロックなタイトル及び歌詞が良い。人生うまくいってない感全開だ。
冒頭の 「 Six youtubeで検索する 」 に登場するフレーズがローリングサンダーリリック公式認定。 『♪My life, it's a series of compromises anyway[引用1] (対訳:俺の人生、それは妥協の連続) これはヤバイ。
そして2曲目 「 Negative youtubeで検索する 」。タイトルがそのものズバリ、否定の拒否の悲観的な消極的。4曲目 「 Inverse Midas youtubeで検索する 」 では 『♪Everybody helps me make my own mistakes[引用2] (対訳:みんな俺が間違いを犯すのを手助けしてくれる)と歌い、続く5曲目が 「 Anti Everything youtubeで検索する 」。 「反ぜんぶ」 ってもうアニキ、一生ついていきますぜ。あぁこれぞロック。忘れていたものを思い出したよ。
引用1:Mansunの楽曲 「Six」 の歌詞より
引用2:Mansunの楽曲 「Inverse Midas」 の歌詞より

グッドサンダーポイントその2

Six、1分45秒までは完全に5サンダー、事態は急展開

曲自体
に目を向けてみる。 「 Six youtubeで検索する 」 は1分45秒までは完全に満点5サンダー獲得ペース。ピアノのコードにエフェクトかけまくりのギターアルペジオ(多分)が絡む瞬間から、あまりの美しさに心を奪われる。
そして淡々とビートを刻むドラムとギター。人生を斜めから見まくりのクールな歌メロ(この曲のように語尾を全て 「イ」 行で韻を踏むのがMansun節なのだ)。この流れに永遠に身を任せていたい・・・と骨抜きになった瞬間!事態は急展開する。

バッドサンダーポイントその1

このアルバム、1曲の中に全く別の曲が混在している

なぜか
ロッキンビートが炸裂。そう、この曲、というかこのアルバム全体的に言えることなのだが、1曲の中にまったく別の曲が混在しているのだ。惜しい。惜しいよアニキ。この曲だけは無難に、というかぶっ壊して欲しくなかった。
「 Six 」 の Radio Edit バージョン [3] youtubeで検索する ではロッキンビートなパート抜きで編集されており、美しいメロディが堪能できる。しかし、これはこれで物足りない。別のクライマックスを作るやり方があったはずなのだ。歌詞からもわかるようにヒネクレた性格の持ち主だからしょうがないのか・・・

グッドサンダーポイントその3

Anti Everything、なんと切ない反ぜんぶ

逆に
Mansun のヒネクレマインドが最も吉と出ているのは 「 Inverse Midas / Anti Everything 」 だ。2曲別々に分けられてはいるが、筆者の独断で1曲扱い。
美しいピアノ弾き語り風に始まる 「 Inverse Midas youtubeで検索する 」。曲の後半で知らない間にピアノのメロディが 「 Anti Everything youtubeで検索する 」 に切り替わっている。そして突然ギター&ドラム&ベースが切り込む。このパートは1998年最も美しかった瞬間だ。なんと切ない 「反ぜんぶ」 だろうか。声では狂気を装うが、心では痛みを抱えている。そんな哀しいピエロ感が漂う大名曲。コーラスが 「 I Am The Walrus youtubeで検索する 」 のジョン・レノンに似ている (ホントにビートルズ嫌いなのか??) 。

ローリングサンダーポイントその3

なんでおいしいフレーズを断片的に使っちゃうの

それに
してもこのアルバムもったいないおばけが出るぞ。なんでこんなおいしいフレーズを断片的に使っちゃうの!と世界中からツッコミが入ったはず。
例えば 「 Fall Out youtubeで検索する 」。前半はガマンしよう。イントロの奇妙で恐ろしい部屋を通り抜けたら58秒から急にカラフルな衣装で舞踏会が開かれているような感覚に陥る。おいおい最初っからこのパートで曲作れよ!と思う。そしたらまた恐怖の部屋に戻る。

グッドサンダーポイントその4

Cancer、カッコイイ。完全に狂気である

一番
ハラハラドキドキしたのは 「 Cancer youtubeで検索する 」。もうわけわからない。でもそれと同じくらカッコイイ。グランジ世代にはたまらないギターリフ&カオスな雰囲気。しかし1分28秒でこれまた曲が変わる。手拍子混じりにウキウキなメロディ。みんな笑顔だ。しかし歌っている内容は 『♪I'm emotionally raped by jesus[引用3] (訳すのやめときましょう・・・→翻訳)。
フックのあるメロディに仕上がっていて、これで1曲に仕上げたらイギリス国民はサッカーのワールドカップで公式応援歌に採用したであろう。でもぶった切る。完全に狂気である。そして再びカオスへ。さっきのパートもっかい出てこなかなぁと期待していると出てくる。しかし今度はピアノオンリー。うむぅやはりこいつらタダモノではない。
引用3:Mansunの楽曲 「Cancer」 の歌詞より

ローリングサンダーポイントその4

聴き手にアピール出来そうな曲を最後に持ってくる

さらに
一番聴き手にアピール出来そうな 「 Legacy youtubeで検索する 」 と 「 Being A Girl youtubeで検索する 」 を最後の2曲に持ってくるという徹底したアンチエブリシングぶり。このアルバム、断片を数えたら20曲くらいで成り立っているのではないだろうか。ラブトレイン吉見氏が比較したように、これは 「 OK Computer 」 のロックバージョンだ。両者とも 「今までと違う何かを手に入れたい」 という欲求で満ちている。
かつてポール・マッカートニーが 「 Sgt. Peppers Lonely Hearts Club Band 」 をビーチボーイズの 「 Pet Sounds 」 に触発されて制作したという事実を思い出す 。 「Mansunを再評価する会」 は今のところ、主な活動としては 「ポールの歌マネをする」 にとどまってはいるが、今後は規模を拡大していきたい。

ローリングサンダーポイントその5

素晴らしい作品だがロックに免疫ある方がチャレンジを

一つ
注意点。熱い思いの詰まった素晴らしいロックアルバムであることは間違いないが、美メロがことごとくぶっ壊される様に最初は戸惑うかもしれない。筆者もまだ戸惑っている。よってこれはある程度ロックに免疫がある方がチャレンジしてください。ビギナーには刺激が強すぎる。ポールは My Vitriol と一緒にツアーもしていたようなので、やはり締めは I Want You Back!
Six REVIEW 4,5 / 5.0サンダー
あなただけの名盤に出会えることを願って


Six
Mansun 1998年 2nd Album
総合得点 4,5サンダー
シルバー・サンダートロフィー授与
THE ROLLING THUNDER REVIEW
※授与トロフィーについて


注釈

注釈 [1]:Travis youtubeで検索するEmbrace youtubeで検索する といったブレイク組からNorthern Uproar youtubeで検索するNilon Bombers など明らかにブームのおかげでデビュー出来たバンドもいた。 (↑本文 [1] に戻る)
注釈 [2]:『クマのプーさんの 「のんびり」 タオ』 ベンジャミン・ホフ作 この絵本では、くまのプーさんを用いて 「道教」 が語られている。内容は 「内なる欲求を大切に」 「あるがままに、心のままに、自然に生きよ」 と説く。この考え方に影響を受け、ポップミュージックの型にはまるのではなく、自分の創造力が向かう方向に逆らわなかった結果がこのアルバムだといえる。 (↑本文 [2] に戻る)
注釈 [3]:日本では馴染みが少ないが、欧米圏では、アルバムバージョンとは別にラジオ放送などのメディア用バージョンが別途作られる場合がある。プログレなどにみられる、曲が6分を超えるようなケースでは、現実的にラジオの放送には適さない。よって、短い時間に再編集されることがある。この手法は販売戦略の一つであるが、オリジナル本来の魅力は損なわれてしまう場合がほとんどである(筆者体験より)。 (↑本文 [3] に戻る)
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全曲採点表 (黒雷は1点・白雷は0.5点)

4.0点
1. Six
4.0点
2. Negative
4.0点
3. Shotgun
5.0点
4.5. Inverse Midas / Anti Everything iTunesで購入
4.0点
6. Fall Out
3.0点
7. Serotonin
4.5点
8. Cancer
3.0点
9. Witness to a Murder
3.5点
10. Television
3.0点
11. Special / Blown It (Delete as Appropriate)
4.0点
12. Legacy
4.0点
13. Being a Girl
※海外盤の曲数です(日本盤ボーナストラックなどを含まない) ※レビューの盤種について
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