数ある選択肢の中からBASEのCTOを選択した「えふしん」こと藤川さんの描くCTO像に迫る
記念すべき第1回目のインタビューは、EC・決済システムを提供するBASE株式会社の「えふしん」こと藤川さんにお話を伺わせていただきました!今回のインタビューでは、現在の仕事に関わるきっかけから未来の話まで幅広く伺わせていただきました。
顧問から始まったBASEとの関わり
ーーもともとご自身で会社をされていたり、大学院に通ったり様々なご経験をされていますよね。そんな中BASEに最初にかかわったきっかけは何だったのでしょうか?
最初のきっかけは、家入さん(現在の株式会社CAMPFIRE代表)がやっていたLivertyです。Livertyに関わっている人のfacebookグループがあって、そこに私と鶴岡がいたんです。その頃はShopCard.meというアプリを作っていて、飲食店がものを売ったりするような無料のECがあるといいかなーと思ったんです。
私も株式会社paperboy&co(現在のGMOペパボ)でECをやっていたことがあるので興味があってオフィスに話を聞きに行きました。リリースしてから1週間後に遊びにいって、そのときに「当たっているサービスってこれだけお客さんがくるんだ」とすごく驚きました。もうその時点で手伝いたいという話をしまして「是非!」ということで顧問として関わることになりました。週に1回くらいの定例MTGに参加をして、お金はもらわずといった関係です。
ーーそのころはエンジニアがどれくらいいた時期ですか?
4〜5人くらいはいました。Livertyを軸に集まっていたメンバーですね。比較的メンバーには恵まれていたのかなとは思います。システムの素養がある人やWebサービスをつくりたい!というような人たちが主軸となっていました。最初は明確な役職があったわけではありませんが、当時からのメンバーで現在はBASEのプロダクトマネージャーとして活躍しているしている人もいます。
ーーそういった創業期のベンチャーって実際問題だらけですよね。BASEに関わり始めた時期はどういった相談が多かったのでしょうか?
早期にアクセスが増えたことによる負荷の問題やバックアップの問題です。具体的な作業としてはVPSからAWSに移行のお手伝いとかをやっていました。あとはRailsに移行するみたいな話が社内に出てきていたときに、本当に必要かどうかをメンバーと話して整理したりとかですね。
ーーBASEの顧問をやられていたときは、ご自身のShopCard.meとツイキャスと大学院生と四足の草鞋を履いている状態ですよね。その後2014年に正式にBASEのCTOに就任されるわけですが、複数の選択肢がある中でBASEを選択した理由は何なのでしょうか?
BASEは藤田ファンド(サイバーエージェントの投資事業)の出資案件の第一号案件として、大きな投資を受けるタイミングがありました。それをきっかけに上場に向けて組織固めをしていくことになったんです。そのときBASEのメンバーはまだ若いので組織固めを手伝って欲しい、という話が鶴岡よりあったのがきっかけです。ShopCard.meもこの先どうしようかなと思っていた時期でもありました。それにCTOって自分一人ではなれませんよね。誘ってくれて何らかの期待をしてくれるような機会って人生のうちに何度もあるものではないと思い、その誘いを受けました。
ーーその後、ご自身のShopCard.meはどうされていますか?
将来的には事業売却とかも視野には入れていきたいですが、もう一つの側面としては自分自身が実験する場として使っています。BASEではコードを書く時間をとれませんし、BASEの事業から外れるような技術領域をやりたいと思ったときにも使えるなと。
新しい技術領域に触れるときもちょっとサンプルプログラムを触るとかだけではなく、もう少し踏み込んでアプリケーションをつくってみないと継続的につかった感想って出せないと思うんです。そういったことをできる場にしよう、というのが現在の考えです。
今度また作り直そうと思っていますが、APIを言語から変えてみようだったりとか。サービスとしてもそこそこ使われてはいるのですが、思い切ったチャレンジがしやすい環境かなとは思っています。
研究テーマは「インターネットにおける信頼」
ーー引き続きBASE以外のことについて伺わせてください。現在でも大学院に通われていますよね。そういった意味では勉強・チャレンジの場としての位置づけは近いと思うのですが、大学院ではどんなことをされているのですか?
はい、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科に通っていましたが、実はつい先日博士(メディアデザイン学)を取得しました。博士課程って授業がなくて、研究だけなんです。研究を進めて、月1のMTGに参加をして進捗をしているということに対して単位がもらえます。自分の研究をしているというのが博士課程のキモですね。
研究内容としては「インターネットで見知らぬ人をどうやって信頼することができるか」というテーマです。例えば、出会い系で相手の人がよくわからなくて騙されてしまったり、信頼できるECショップかどうか分からなくて買っても物が届かないとかってありえますよね。そういった見知らぬ人に対してどういったスコアリングをしていくと信頼をできるようになるのかという研究です。
実際の研究としては、Githubのリポジトリを評価してスコアを出します。そのスコアが高い人は開発者として信頼できるのではないか、という内容です。そのために今年の8月にCTOの方70名に「面接したくなる人材」についてインタビューを実施しました。その結果と想定するスコアに相関関係があればこのスコアは正しいだろうという裏付けができるという実験です。
Githubは膨大なデータをダウンロードし、その膨大なデータに対してひたすらバッチをまわして計算をしています。コミットの時間軸の推移やスター数などが評価対象です。
ーー先ほど「信頼できるECショップかどうか」というお話がありましたが、BASEのように小さい店舗さんがたくさんあるような場合ですと使う側としても安心ですよね。
例えばオークションの評価は普通の取引が成立して5です。何か問題があればそこから下がっていくというような減点方式ですよね。システムやサービスの安全性というものはあれで保たれるのですが、コミュニケーションをしたり誰かの信頼を積み重ねていけるものではないと思うんです。
やっぱりちゃんと活動していることが見えると安心して買えますよね。意思決定時の初期スクリーニングが大事で、ちょっとコミュニケーションしてみようかなと思ってもらうことの積み重ねがインターネット全体のアクティビティを向上させるのではないかなと思っています。
ーー研究内容と現在のCTOとしての仕事がかなりリンクしているなという印象を受けたのですが、CTOとしての仕事を意識した上での研究内容だったのでしょうか?
研究は偶然ですね。もともと、大学院とBASEに関わることはリンクしていません。結果的に研究していくうちにECに使えそうだなとたどり着いたんです。あとは決済もやっているので、与信をどうするかとかという概念もでてきました。そこも使えるなとか思いだんだんとイメージができてきました。
アメリカのクレジットスコアってクレジットカードの利用状況が家を買うときのローンの審査などにつかわれるような社会的なプラットフォームになっていますよね。クレジットカードの本来の目的を越えて使われていますし、そういった意味ではこのスコアリングの仕組みとしては大成功しているのではないかと思うんです。実際にそれを参考にしていたりもします。
この考え自体はいろいろなところが取り入れはじめているので、焦って論文を仕上げているところです。説得力を出すために、データの裏付けや再現性のクオリティをあげているのでそこに多くの時間がかかっています。
役割の整理から考えるCTO・VPoE・マネージメント
ーーBASEのCTOになって4年目になりますよね。CTOに就任した当初から「コードは書かない」と取材でも宣言していましたが、そのあたりは現在も変わりませんか?
実際に「書けない」ですよね。とはいえ、CTO就任時にCTOとしての仕事の整理ができていたかというとそうではなかったかなと思っています。
いま改めてCTOの役割を整理すると、当時宣言していた「コードを書かない」という考えは正しかった面もあるとは思うのですが、どちらかというと当時はVPoEとしての役割という意識が強かったのではないかと感じています。
ーー当時の考え自体は、代表の鶴岡さんとの期待とも合致はしていたのでしょうか?
組織固めが誘われた当初の目的だったので合致していたと思います。我々はテクノロジーをコアコンピタンスにする会社ではなく、UXを一番大切にしている会社です。そのあたりは得意な人が集まっていますし、技術的なビジョンとかもどちらかというと採用のためというような位置づけです。少なくとも、OSSのプロダクトをつくってそこでメンバーを引っ張っていくというスタイルの会社ではありません。
ーーCTOとしての役割は、現在も再定義していますか?
VPoE(Vice President of Engineering)を雇おうかみたいな話が出るときにはしますね。とはいえ、CTOは技術のカリスマであるべきという点や、世の中への発信に関してはもう当たり前のものとしてやるということにはなっています。なので、イベントを開催して採用につなげたりなどはOKRに入ったりはしています。
ーーとはいえCTOの役割ってまだふわっとしていますよね。現在はCTOとVPoEはどう区別されていますか?
VPoEは採用・組織に専念をする人。とはいえCTOが採用に関わらないというわけではなく、あくまで責任を持つという意味です。あとは開発のメンバーが楽しく開発をできる環境を作るといったところでしょうか。
世間的には、VPoEの仕事もCTOの仕事に包括されてしまっているのが現状ですよね。そこをあえて切り分けるとするならば、CTOはやっぱり技術のカリスマとして次世代をどうやって引っ張っていくかという点や、外から見た技術的なイメージを良くするなどといった点をしっかりとやるべきなのではないかと思います。そして社内向けにはアーキテクトであるべきで、技術に関する責任を持つ人です。
ーーアーキテクトという役割ですが、採用を続けていくと技術面において確実に自分よりも優秀な人を採用していくことになりますよね。そのときに一番詳しい人間でい続けることというのは難しいと思うのですが、そのあたりはどのようにコミュニケーションとるべきだと考えていますか?
俯瞰してサービス全体のアーキテクチャという構造がちゃんと維持されていれば良いと思うんですよね。最近BASE LiveというストリーミングのライブECを始めたのですが、開発自体はメンバーにまかせています。何をやっているかはわかっていて、中の作りはメンバーに任せているというような状態です。
サービス全体の調和をとる必要があるので何かあったときにわかるくらいには知っておくくらいでいいかなと思っています。
ーー現在はフラットな組織ですか?それとも階層化されている組織でしょうか。
階層化されています。OKRで全体の組織をつくっていて、なるべく抽象的なかつ事業計画に近いものを設計して個別の施策はチームでPDCAをまわしていくというのが理想ですね。
ーーということは、各チームでやることが決まっているわけではなくやる内容から考えてもらうというような感じでしょうか?
そのようにしていかなければいけないかなと思っています。チームリーダーの育成だったり、将来のマネージャーをどう育てるかなどをセットに考えなければいけないですし、そのような人に音頭を取ってチームを動かしてもらったりリーダーをやってもらっています。将来的にはマネージャになれるかどうかというところもみています。
ーーエンジニアやデザイナーでマネージャーやリーダーになっている人はいますか?
デザイナー・アプリ・決済で合計3名います。他には僕が兼務しちゃっている部分もあるのでもう少し増やしていきたいですね。
ーーこのあたりの中間管理職を増やせない問題ってベンチャー企業でよくある課題ですよね。現在いるメンバーは最初から素養があったのでしょうか?それとも育ててできるようになったのでしょうか?
入社した時点でやりたい意思がある人もいましたし、自発的にそうなっていった人もいます。前職でそこまでやっていなかった人でも、サービスが発展していくなかで自覚をもつひとが出てきます。そういった人たちにやってみない?と話をしていたりします。
最初はマネージメントをすることでコードを書かなくなるということへの抵抗があるのではないか?と思って恐る恐る聞いていたんですね。それでも本人もだんだんと自覚がでてきて、自分からコードを書かずにマネージメントにコミットしていくメンバーも出てきています。
ーーそのあたりのマネージャーの仕事内容は会社として明確に定義をしているというわけではないのでしょうか?
さすがに強制はできないですよね。人が増えてくると自ずとそうなっていくと思います。
最初は3〜4名くらいのチームでプレイングマネージャーとして力を発揮してもらって、まずはそこを上手く回してもらいます。徐々にそこから人が増えていくと二階層になりますよね。さすがに二階層ともなると、プレイングマネージャーであることが難しくなってくるし、やるべきではないと思っています。
ーー以前にインタビューで、エンジニアリングとマネージメントをわけなくてもいいよねという話をされていました。そのあたりはいまのお話からきた考えなのでしょうか?
そうですね。ディレクターとかプロダクトマネージャーはどちらかというとコードを書かないビジネス寄りのチームですよね。そことエンジニア側と壁ができてしまうとまずいので、間をとりもってくれるというのがエンジニアのマネージャーの仕事です。そうなるとエンジニアの気持ちもわからないといけないし、ビジネスのことを理解している必要があります。当然エンジニアへの共感はすごく大事なので、現場感は持ち続けていてほしいと思っています。
チームの守り神こそがマネージャーの役割
ーー世間的にマネージメントという言葉が独り歩きしているなと思うのですが、えふしんさんの思うマネージャー像というのは他にどんな仕事があると考えていますか?
例えばプロダクトマネージメントだと、その製品を使って事業をする際に何を作るべきかというところをマネージメントしますし、エンジニアリングのマネージメントだと開発プロセスの話になるかもしれない。そうすると結局自分たちのエンジニアが働きやすくするとか、そういった役割になってきます。プロジェクトで仕事を進めるようになると、エンジニアのマネージャーはプロジェクトの開発そのものは見なくなりますよね。でもそこを知らないでいいかというとそういう訳ではなく、全体を俯瞰して見られる状況にいなければいけません。
あともう一つは、これを責任持って見続けているというステートを持っていることが大事だと思うんです。例えばインフラ担当なのであれば、このサービスのインフラがちゃんと動き続けるかどうかを責任持って見続けるということですよね。それと同じようにチームが円滑に動き続けることをずっと見続ける、ということをやるのがマネージャーです。
よくマネージャーの仕事は意思決定だと言われます。確かにそれはすごく重要なことなのですが、意思決定をするためには、ちゃんと状況を見てないといけないですよね。言ってしまえば、みんな何らかの守り神という立場であるわけで、マネージャーという肩書があったとしても結局その対象はチームマネージメントだったりプロダクトマネージメントだったりするだけです。
この整理だとロールがわかりやすくなってきます。何かの守り神というラベルをここにつけていくわけですよね。それが会社の組織構造になると、守り神というところに役職がついてきます。サーバの守り神なのであれば、何らかの問題が起きたときに連絡がつかないと困るわけじゃないですか。なので我々もそこに期待をして、守り神としての仕事に対して報酬を支払っているという考えです。
ーー守り神ってわかりやすい表現ですね!
責任をとるというとすごく重い表現ですよね。責任をとって辞めますみたいな話も聞くことがありますが、本来は辞めることよりも「持ち続けている」ことのほうが大事ですよね。これが本来の責任を持つということなのかなと思います。
CTOとVPoEの関係性
ーー技術系のマネージャー職において、VPoEという役職をここ数年で日本でもよく耳にするようになりました。CTOとVPoEの上下関係はどうなっているのが良いと考えますか?
ずっとCTOをやっていたひとが自分自身だけでやりきれなくなって、VPoEを足していくとうのが一番ありがちな流れですよね。だとすると組織図上はCTOの下という構造になるのかなと。
先日CTO Nightで話したのですがグノシーの松本さんはそのあたりの役割分担がうまいですよね。創業メンバーのレベル感が一致していて、信頼しあえるメンバーで役割を分けあえる関係がいいなぁと。
ーーCTO Nightを見ていても感じるのですが、確実に昔に比べてCTOの人数は増えました。事業の種類も昔に比べて増えていると思うのですが、CTOという立場の人も多様化していっていると思いますか?
多くのWebサービスにおいて、コモディティ化されたテクノロジーをいかに組み合わせるかということが重要な仕事です。テクニカルなことをコアコンピタンスにしている会社のような、本来のCTOとしての役割はそこまで求められていないのかもしれませんね。そこで技術研究開発みたいなものがあって、誰もがやっていないことを開発していくようなことがその会社の技術戦略として成立するみたいなことをやっている人がいるのであれば、それこそCTOらしい人物なのかなとは思っています。
例えばGoogleならGo言語をつくったり、FacebookならHHVMをつくったりする。ある意味で自分らに都合のよい環境をつくっているわけですよね。その結果優れた人材を囲い込むことができる。このあたりが攻めの技術投資といえると思います。そういった判断をしたり、コミュニティにいる人材を自社に引き入れるとかも含めてCTOの仕事だと言えると思っています。
ーーBASEとしての技術戦略などがあれば教えてください
僕らはずっとCakePHPを使ってきていてこれからどうしようかと考えている時です。他の言語への切り替えなども考えていましたが、結局やめたんですよね。
僕らがいまから仮にRailsにうつったとしてもコミュニティ内で何か目立つ立ち位置になれるのかというのがありました。他にもJavaとかScalaとかも考えたのですが、まだ早いなと感じました。その中で2017年にBASEがとるべき戦略はPHPのバージョンを7にし、CakePHPのバージョンもあげるなど、現在の延長線上でやっていこうと。極端な話、PHPのコミッターを雇うなどしてエッジをきかせていくというのも重要な技術戦略です。
僕はPHPカンファレンスで話していたりする人間でもないので、場合によってはPHPに明るい人をCTOにしていくというのも可能性としてあると思っています。
ーーということは、CTOを譲ることも考えているということでしょうか?
そのとおりです。僕はPHPが得意なわけではないですし、今後の採用だったり人材確保なども考え人物像なども含めて最適な人材がいるのであれば譲るべきだと思っています。
ーーそのあたりはCTOとしてというよりも取締役としての判断ということですよね?
はい。自分がいつまでもCTOで居続けるのも違うと思っています。
ーー現状のPHPのバージョンなどを教えてください。
APIで使っているPHPが最近7になりました。
部分的には他の部分も7をつかっていますが、一番おおきなコードベースとなっているWeb系は来年(2018年)に7に切り替えていく予定です。CakePHPは2.10を使っています。3系にバージョンアップもしていきたいのですが、そのあたりは小さなプロダクトで使ったりするなどして検証を進めていかなければいけないところです。
ーーCakePHPのコミュニティもBASEみたいな企業が使い続けることでコミュニティが活性化していく可能性がありますよね。実際の採用とは関わってくると考えますか?
はい。我々はまだ新卒がとれていなくて、中途採用なんですね。
そのなかで一番よくあるキャリアだと「SIerでJavaを書いていてるけどWebサービスを作りたい」という思いから入社をしてくれるケースが一番多く優秀です。一方で「スタートアップでずっとRails書いていて27歳です」みたいな人材が来てくれないんですよね。
ーースタートアップの多くはRailsですもんね。実際にRailsを使っている人材にリーチできていないということなんでしょうか?
スタートアップ的な感覚や成長を経験している人達に言語の問題だけで来てくれないということがあるんですよね。となると、姿勢として技術はちゃんと最新を追っています、サービスそのものが魅力的です、ビジネスが魅力的です、というところで振り向いてもらうのが大事です。そこが直近の目標としているところですね。
Railsに限らずWebのテクノロジーってどんどん広がっているじゃないですか。そのあたりは、仕事で勉強しなくてもいいんじゃないかというのはあります。私自身も自分でRailsを使って作っているので、最低限Railsの新しいことは入ってきます。そういった自分の知的好奇心などは満たせているので、仕事で重視すべき点は新技術の習得が目的じゃないよねという価値観をしっかりと持っていてくれるようにしたいんです。
ちょうど先日もコネヒトの島田さんとも話していたのですが、言語で人をとると言語で抜けていくよね、と。その時点で興味をもっている言語によって他の会社に行ってしまう可能性があるので、BASEというプロダクトを作りたいという思いで入ってくれていることが大事だよねという認知を広めていくしかないのかなと思っています。
BASEがこれから向かっていく先
ーーBASE社として大きな目標としているものがあれば教えてください
BASEの中にある店舗さんも全てが売れているわけではないですよね。それをやっぱり無くしていきたいと。もちろん全員を救うことは難しいと思いますが、例えば一定基準まで来ている人たちにコンサルティングをすることで伸ばしていく。そこをAIで実現したいと思っています。
良い商品をもっているけれどWebのスキルが足りていないことが原因で伸ばせていない人たちに対して提案をし、それを実行した人がちゃんと結果がでていくみたいな仕組みを2〜3年で作りたいです。そのため、現在はデータ解析系のエンジニアを増やしていきたいと思っています。
ーーえふしんさん個人の人生において、実現したいこととかはありますか?
60歳を過ぎてからコードを書き、そしてそれを使ってくれている人がいて、そこにコミュニティがある世界というのは憧れています。それを実現できる環境を作ることも含めて人生の目標で、自分がそういう楽しみをできるような世界を維持したい、くらいの感覚です。その時点でどういったテクノロジーを使っているかはわからないので、そのときに一番楽しいことをできるためにもちゃんとキャッチアップしていかなければいけないと思っています。
ーー以前のインタビューでも「使ってもらう」ということが大事というお話がありましたが、やっぱり個人で作るものもそういう感覚なのでしょうか?
大学にいたときから情報処理のためのコードを書くという行為には興味がないんですよ。やっぱりインターネットが出てきてコードを書くことに興味がでてきたのは、そこに人がいるからなんですよね。コミュニティが好きなのはまさにそこに人がいるからです。今だとUXとも言われるものですよね。
大学院に行こうとおもったのも自分でそういう世界観を作れるノウハウを知りたかったというのもあります。技術はやっぱり手段ですね。
ーーそれでは最後になりますが、どんなCTOでありたいですか?
採用も含めて、常に最適な技術選択を守っていくのがCTOのあるべき姿でしょうか。会社が成長して技術が変化している中で、このタイミングで技術を変えないといけないという判断が遅すぎたらまずいですよね。採用も含めてそういった変化により早く対応するのがCTOのあるべき姿だと思っています。
ありがとうございました!
和田 修一 / wadap
Tech Leadersの編集者。
CTOのインタビューをしています。
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個人にフォーカスをあてたロングインタビューを通じて、CTOと呼ばれる方々をより深く知ってもらいたいという思いからこのメディアを立ち上げました。