人気のHKTなりすまし被害? ツイッター凍結相次ぐ 簡単に開設、一般人も注意必要 【あなたの特命取材班】

凍結されたHKT48の深川舞子さんの本物のアカウント(左)と、なりすましとみられるアカウント(右)。名前の下の段のIDの末尾の数字が1文字だけ違っている(画像の一部を加工しています)
凍結されたHKT48の深川舞子さんの本物のアカウント(左)と、なりすましとみられるアカウント(右)。名前の下の段のIDの末尾の数字が1文字だけ違っている(画像の一部を加工しています)
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 国内の月間サービス利用者数が4500万人を超えるインターネットの短文投稿サイト、ツイッター。トランプ米大統領をはじめ、著名人や企業に広く活用され、ツイート(つぶやき)の影響力は大きい。そんな一大ネット空間で昨年12月以降、福岡市を拠点に活動する人気アイドルグループ「HKT48」メンバーの利用が突然、ツイッター社によって次々と凍結され、ファンの間で騒動になった。一体何が起きたのか。

 HKTメンバー、矢吹奈子さん(16)のツイッターアカウントが凍結されたのは昨年12月6日。その後も田中美久さん(16)、熊沢世莉奈さん(20)、深川舞子さん(18)とメンバーの凍結が続き、ファンの悲鳴が特命取材班にも届いた。

 アカウントとはサービスを利用できる権利のようなもので、凍結されればツイートができなくなる。これまでに少なくともメンバー9人のアカウントの凍結が確認されている。

 ツイッター社は、差別的発言や脅迫などの「ヘイト行為」を禁じ、アカウントを凍結することがある。ただ、9人がルールに違反する書き込みをした形跡はなく、HKTを運営するAKSは「ツイッター社に凍結解除を要請中」と言う。

 特命取材班に、ツイッター社は「個別の件には答えられない」と回答。凍結の理由は不明だが、複数のHKTファンによると、“被害者”の矢吹さんはネット上でこう説明したという。「本人なのに『なりすまし』だと思われたから」

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 なりすまし、とはどういうことか。

 ツイッターは電話番号とメールアドレスがあれば、誰でも開設できる。個人情報の入力は不要で、アカウントの名前は自由。つまり、何者かがアイドルの名前を使い、「本物」になりすましてツイッターを始めることも可能なのだ。

 特命取材班が協力を依頼した複数のHKTファンによると、今回のケースでも、アイドル本人のアカウントのIDを1文字変えただけのものが複数存在。HKTを念頭に「クソアイドルどもをツイッターから消す」と“犯行予告”とも受け取れるツイートも確認されたという。偽者のアカウントの主たちが自らを「本物」と称し、嫌がらせ目的でツイッター社に凍結を働き掛けた可能性がある。

 HKTは昨年12月、ファーストアルバムを発売。今月18日には指原莉乃さん(25)の初のソロコンサートを控えるなど、メンバーにとって大事な時期だった。「アルバムをPRする時期に凍結され、痛手だったのでは。応援する側としても怒りしかない」と、ネット上で非公式のHKT応援サイトを運営する男性は憤る。被害に遭ったメンバーの一人は「なんでこんな悪質なことするん。泣けてきた」とネット上で嘆いた。

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 アイドルや芸能人、政治家などツイッターのなりすまし被害は絶えない。ある弁護士は「著名人へのなりすましは、名誉毀損(きそん)や業務妨害の罪に当たる可能性がある」と指摘する。

 「一般人でもなりすまし被害は起きている」と、ネット上のトラブル相談を受け付ける全国webカウンセリング協議会(東京)の安川雅史理事長は言う。安川氏によると、ある女子高校生は、別人が作ったツイッターのなりすましアカウントからうその情報を投稿され、それが拡散。性的な内容だったため、学校で注意を受けたという。

 誰でも簡単に利用できる会員制交流サイト(SNS)ゆえの危うさ。急拡大しているため、運営側の対応も追い付いていない。なりすまし被害は、ネットに書き込んだ個人情報が発端となった例もある。安川氏は「SNSでなりすましを完全に防ぐのは難しい。不特定多数の人に見られているということを意識して利用すべきだ」と警鐘を鳴らした。

=2018/01/18付 西日本新聞朝刊=

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