中国で、虹色に輝いたであろう恐竜の新種が発見された。化石の保存状態は非常によく、頭と胸は現在のハチドリに似たきれいな羽毛に覆われていたと考えられている。
このような鮮やかな姿には、現在のクジャクの尾のように求愛やコミュニケーションの役割があるのかもしれない。この恐竜は鳥に似た体形で、飛行に使えそうな羽のほか、頭にとさかもついていた。(参考記事:「羽毛恐竜に鳥のような翼を発見、とさかも、始祖鳥以前」)
1月15日付けで学術誌「Nature Communications」に掲載された論文で、この羽毛恐竜はCaihong jujiと命名された。中国語で「大きなとさかのある虹」という意味だ。
中国科学院の古生物学者で今回の論文の共著者である徐星氏によると、Caihongは森で暮らし、小さな哺乳類やトカゲを探して木から木に飛び移っていた可能性があるという。アヒルほどの大きさの肉食恐竜で、体重は500グラムほどだったようだ。(参考記事:徐星氏インタビュー「「大型なのに羽毛をもつ恐竜」のなぜ?」)
「これまで数多くの羽毛恐竜化石を目にしてきましたが、今回の美しく保存された羽毛には衝撃を受けました」と徐星氏は話している。(参考記事:「【動画】青くきらめく生物「海のサファイア」」)
ハチドリの虹色構造にそっくり
恐竜の最後の生き残りである現在の鳥類は、空を飛ぶために羽を使うほか、求愛や社会的立場を得るためにも使う。しかし、恐竜化石の研究から、羽はもともと見せるために進化し、飛ぶために必要な特徴を備え始めたのはその後と考えられている。(参考記事:「クジャクの目玉模様、進化の謎を解明」)
鳥と同じく、恐竜も色覚をもち、カラフルな羽を見せ合っていたのだろう。恐竜の羽毛化石から、色素を蓄えたメラノソームと呼ばれる細胞小器官の痕跡が見つかり、もともとの色がわかることがある。
中国河北省の農家が見つけたCaihongの化石を、遼寧省の古生物博物館が手に入れたのは2014年2月のことだった。
瀋陽師範大学の古生物学者、胡東宇氏のグループが化石を調べたところ、保存状態がよい部分に羽の色素の痕跡が含まれていることがわかった。このグループは、化石の66カ所からサンプルを採取し、現在の鳥の羽のメラノソームと比較した。
その結果、Caihongの頭と胸、そして尾の一部から、長く平べったい層状のメラノソームが見つかった。これともっともよく似ているのは、虹色に輝くハチドリの喉の羽毛のメラノソームだ。