非常に不安な新テスト世界史(その3)
非常に不安な新テスト世界史(その1)で述べた
・出題ミスが多発しそう
について。なお、これから挙げる例は、原則として私の専門に近い、中央アジア~西アジア~北アフリカにからむ出題から取り上げます。
平成29年度試行調査 問題、正解表、解答用紙等|大学入試センター
問題冊子世界史Bの大問第4問の問3、図29ページ、問題31ページです。
なお、この大問1つでさまざまな地域時代の例を取り上げていますが、当然出題ミスが起こりやすくなる、そういう格好の例と言えるでしょう。
次のような図について

(クリックで2倍サイズに)
次のような問(一部)が建てられています:

(クリックで1024*422ピクセル)
これは2題の正誤を組み合わせて、4択を作る問題の前半の問題にあたります。
このような2題の正誤の組み合わせ、それだけでどうしようもない邪道に思えますが、やはり出題ミスを生みだしやすい、と確信しています。
さて、正答を見ると、ここではaが正答、bが誤答となっています。
しかし、この図から判断する限りbを誤答とすることはできません。
なぜなら、この問いでは「親族」の定義がなされていないからです。定義がなければ、日本の現行の規定、すなわち民法における親族の定義で考えるほかないでしょう。つまり、血族6親等、配偶者、姻族3親等以内が親族です。
図から判断する限り、正統カリフは皆、義父か娘婿ですから姻族で親族です(アリーのみ血族でも親族と分かる)、対して世襲カリフになるウマイヤ朝では初代ムアーウィヤも6親等内の血族ではありませんし、図からは姻族とも読み取れません。
つまり、この図から判断させる限り、
「カリフ位が世襲になると,カリフは預言者ムハンマドの親族ではなくなった。」
は正しい、とせざるを得ません。明らかな出題ミスでしょう。
なお、実際にはムアーウィヤの姉ラムラ(=ウンム・ハビーバ)はムハンマドの妻の一人なので、ムアーウィヤやその子のヤズィードは姻族でムハンマドの親族と言えます。その意味では問題文のbは確かに誤りなのですが、いくらなんでも受験生にそんな知識を求めるのは酷すぎます。これでbを誤りとするためにはラムラも系図の中に含めておくことが絶対に必要です。それをしていないということは、まず間違いなく出題者は知らなかったのでしょう。
ついでにいうと、ウスマーンは母がムハンマドの従姉妹なので血族でも5親等の親族です。これも出題者は知らなかったんじゃないかと想像します。
なお、もう一つの選択肢a「正統カリフは,全て預言者ムハンマドと共通の祖先を持っている。」も、ずいぶん変です。
出題者は、受験生が生物の進化論を習ってきている、ということを想像していないのでしょうか。「共通の祖先を持っている」全人類、全脊椎動物、全…、みなそうです。これは(その1)で述べた「ごく基礎的な知識と国語読解力のみで解けてしまう問題が増えそう」の例に含めることができるでしょう。
もし、出題者が、この問いで男系血縁集団の同族意識、のようなものを考えてほしかったのならば、それをきちんと記述しなければなりません。
凝った問題にしようとすればするほど、出題ミスをする確率が飛躍的に増大していく、それは間違いないと思われます。そういう例をまず挙げておきました。
・出題ミスが多発しそう
について。なお、これから挙げる例は、原則として私の専門に近い、中央アジア~西アジア~北アフリカにからむ出題から取り上げます。
平成29年度試行調査 問題、正解表、解答用紙等|大学入試センター
問題冊子世界史Bの大問第4問の問3、図29ページ、問題31ページです。
なお、この大問1つでさまざまな地域時代の例を取り上げていますが、当然出題ミスが起こりやすくなる、そういう格好の例と言えるでしょう。
次のような図について
(クリックで2倍サイズに)
次のような問(一部)が建てられています:
(クリックで1024*422ピクセル)
これは2題の正誤を組み合わせて、4択を作る問題の前半の問題にあたります。
このような2題の正誤の組み合わせ、それだけでどうしようもない邪道に思えますが、やはり出題ミスを生みだしやすい、と確信しています。
さて、正答を見ると、ここではaが正答、bが誤答となっています。
しかし、この図から判断する限りbを誤答とすることはできません。
なぜなら、この問いでは「親族」の定義がなされていないからです。定義がなければ、日本の現行の規定、すなわち民法における親族の定義で考えるほかないでしょう。つまり、血族6親等、配偶者、姻族3親等以内が親族です。
図から判断する限り、正統カリフは皆、義父か娘婿ですから姻族で親族です(アリーのみ血族でも親族と分かる)、対して世襲カリフになるウマイヤ朝では初代ムアーウィヤも6親等内の血族ではありませんし、図からは姻族とも読み取れません。
つまり、この図から判断させる限り、
「カリフ位が世襲になると,カリフは預言者ムハンマドの親族ではなくなった。」
は正しい、とせざるを得ません。明らかな出題ミスでしょう。
なお、実際にはムアーウィヤの姉ラムラ(=ウンム・ハビーバ)はムハンマドの妻の一人なので、ムアーウィヤやその子のヤズィードは姻族でムハンマドの親族と言えます。その意味では問題文のbは確かに誤りなのですが、いくらなんでも受験生にそんな知識を求めるのは酷すぎます。これでbを誤りとするためにはラムラも系図の中に含めておくことが絶対に必要です。それをしていないということは、まず間違いなく出題者は知らなかったのでしょう。
ついでにいうと、ウスマーンは母がムハンマドの従姉妹なので血族でも5親等の親族です。これも出題者は知らなかったんじゃないかと想像します。
なお、もう一つの選択肢a「正統カリフは,全て預言者ムハンマドと共通の祖先を持っている。」も、ずいぶん変です。
出題者は、受験生が生物の進化論を習ってきている、ということを想像していないのでしょうか。「共通の祖先を持っている」全人類、全脊椎動物、全…、みなそうです。これは(その1)で述べた「ごく基礎的な知識と国語読解力のみで解けてしまう問題が増えそう」の例に含めることができるでしょう。
もし、出題者が、この問いで男系血縁集団の同族意識、のようなものを考えてほしかったのならば、それをきちんと記述しなければなりません。
凝った問題にしようとすればするほど、出題ミスをする確率が飛躍的に増大していく、それは間違いないと思われます。そういう例をまず挙げておきました。
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