※この記事は去年の一連のツイート「アンビグラムをつくる」のこってり版です。忙しい方はツイートの方をご覧ください。
こんにちは。アンビグラム作家のフロクロです。
この記事は「アンビグラム」の作り方を解説したものです。「アンビグラムって何ぞ」という方は画像検索してみてください。ざっくり言うと、回転させたり、鏡写しにするなど2通りの方法で読むことができる文字アートのことですね。
そんなアンビグラムですが、「なんか特殊なセンスのある人しか作れないんじゃないの」などと思われがちです。しかし、観察力と粘り強さがあれば、案外誰にでも作れちゃうものなのです!!
というわけで、以下で私がアンビグラムをどんなふうに作ってるかを紹介していこうと思います。
完成までの主な手順
【Step0】アンビグラムの種類を知る
【Step1】単語を探す
【Step2】対応付け
(私の作品はpixivに置いてあります。ぜひ。)
【Step0】アンビグラムの種類を知る
アンビグラムを作る前に、まずアンビグラムにどんな種類があるのか確認しておきましょう。
長くなるので別記事にしました。
アンビグラムの種類を知っておくことで、一つの単語に対して様々な見方ができるようになります。
例えば、「前提」という熟語は180度回転では作りづらいですが、90度回転ならピタッとハマります(下図)。
いろいろな手法を知っておくことで、一つの言葉にも様々な可能性が見えてくるのです。
アンビグラムの種類が一通りわかったら、いよいよ制作スタートです。
【Step1】単語を探す
アンビグラム作成は文字の観察から始まります。本なりWebなりを使いとにかくいろんな文字列に触れ、「これでアンビグラム作れないかな?」と目を光らせます。このときには先程の「アンビグラムの種類」を意識しつつ、上手く作れそうな言葉、いわば「アンビグラムの素質がある単語」を発掘していくのです。
この作業が一番重要と言っても、あながち過言ではありません。なぜなら、単語探しがうまく行けば、あとで行う「字画の対応付け」がとてもラクに進むからです。
例えば「道具」という言葉に注目したとしましょう。ヨコ書きだとよくわかりませんが、タテ書きにして少しいじくると……

ホラ!!!もうこれアンビグラムでしょ!!
このようなアンビグラムは「発見的作品」とか「自然アンビグラム」とか呼ばれますが、流石にここまで素質ある単語はなかなか見つかりません。
素質のあるなしは字の「密度」と関係します。
例えば「職人」とか「フランス語」とかの文字列をアンビグラムにしようとすると、字ごとの密度の差がありすぎて大変です。
一方で「予告」「昭和」とかを見ると、二文字の密度が近く、文字の構造もちょっと似てるので比較的アンビグラムにしやすそうです。
どれが「アンビグラムの素質」がある単語なのかは、いろんな作品を見たり、手元で実際に文字をいじっているとだんだん掴めると思います。
【Step2】対応付け
単語を決めたら、実際にアンビグラムを形にしていく作業です。「道具」のようにほとんどいじる必要が無い場合は別ですが、大抵のばあい文字と文字が同じ形になるよう整える作業が必要です。私はこの作業を「対応付け」と呼んでいます。
ここでは具体例を交えて対応付けのやり方を見ていきましょう。
【例1 『アイスクリーム』】
1.とりあえず書く
まずはカタカナ。「アイスクリーム」の180度回転を作ってみましょう。
とりあえず紙に「アイスクリーム」の文字を書いてみます。紙をぐるぐる回しながら逆さ文字を並べて書いてみて、見比べましょう(ヨコ書きとタテ書きどちらも試すのが大事)。
2.似てるところを探す
逆さ文字と通常文字で似てる部分が無いか探します。すると、オッ、タテ書きのときに「ア」と「ーム」がピタッとハマりそうじゃないか!!
3.余りを抜き出して見比べる
「ア……ーム」が済んだので残りの「イスクリ」を抜き出して、また見比べてみます。
これはもう1文字ずつ対応付けしてけば良さそうですね。紙を回しながらたくさん書きまくって、適当に中間を探りましょう。
4.清書
最後の作業。手書きなりパソコンなりで対応付けができたアンビグラムを清書します。フリーソフトのinkscapeとかAdobeのイラレとかを使うといいと思います、が、ここはタイポグラフィの領域なのでここでは省き、別の機会に譲りたいと思います。
もう1つ、今度は漢字の作例を見ましょう。
【この部分は現在工事中。追って更新します……。】
どうでしょうか。アンビグラム制作のざっくりとした流れとしてはこんな感じです。細かいテクニックなどに関しては次回以降で紹介していこうと思います。
これを読んで「さっそくなんか作ってみたい!」と思った方に、ひとつ宿題を出したいと思います。
「雑誌」で180°回転アンビグラムを作ってみてください。対応付けの練習です!
(完成したものはぜひ、Twitterでハッシュタグ「#アンビグラム講座」をつけて投稿してください。)
今回はこれまで。続きます。加筆修正します。