【ニューヨーク=稲井創一】米ゼネラル・エレクトリック(GE)は16日、金融子会社GEキャピタルの保険事業で引当金に相当する特別費用として62億ドル(約7000億円)を2017年10~12月期決算で計上すると発表した。大幅な業績悪化が避けられない情勢で、ジョン・フラナリー最高経営責任者(CEO)は経営の抜本的な立て直しを図るため会社分割を検討していることも明らかにした。
「費用計上の震度の大きさに深く失望している」(フラナリー氏)。今回の損失は、GEキャピタル傘下の保険事業ノース・アメリカン・ライフ・アンド・ヘルス(NALH)で発生した。
NALHの資産評価を見直した結果、米国人の長寿化による老人ホーム費用や在宅治療費の増大など、将来の支払い増に備えるため62億ドルの費用計上を迫られた。
NALHを抱えるGEキャピタルは17年12月期に計画していたGE本体への40億ドル規模の配当支払い減額も検討する。GEキャピタルからの配当収入は電力事業が不振に陥っているGE本体にとって貴重な現金収入源となっている。18年以降もGEキャピタルからの配当が減る可能性がある。
損益だけでなく、現金収支面でも打撃が避けられないことから、祝日明け16日のGE株は前週末比で3%安となった。
危機感を強めたフラナリー氏は16日の電話会見で「(事業ごとに)別々に上場させることを含めて、これまでと違った事業構造を検討する必要がある」と述べた。複数の事業を抱えるコングロマリット型の事業形態を巡って投資家から非効率だとの批判があった。
今回の損失でGEの強みだった財務力にも不透明感が出始めた。それだけに、各事業が成長に必要な投資資金を確保するためにも、市場から資金を機動的に調達できるよう事業ごとに上場させる会社分割への圧力はさらに高まりそうだ。