もっとも重要なのは、仮想通貨同士の交換に課税すると、技術革新が阻害されるということ。
たとえばぼくがよく「すげぇ!」と書いているBancor。
関連記事:【解説】Bancorとは何か?できるだけわかりやすく説明。
これって超マイナーな仮想通貨同士を、瞬時に交換できるんです。「MANAとTBXを交換する」とか、マニアックすぎますが、すでに実現されてるんですよ(トランザクション手数料高いですが……)。
もちろん、MANAとTBXを売買する取引市場など存在していません。
どんだけマニアックなペアなんだ、って感じですよね。でも、交換できるんです。瞬時に。しかもスプレッドなし。
これどうなっているかというと、途中で「トークンリレー」を介しているんです。
ぼくの理解が正しければ、この交換は「MANA→MANABNT→BNT→TBXBNT→TBX」という5段階のプロセスで行われています。ユーザー体験としては「MANA→TBX」ですが、その中では様々な通貨をブリッジしているわけですね。
こうした交換において、平均取得単価を計算し、取引のたびにその差益を計上するのは、実務的に不可能です。また、そうすべき合理的理由もないように思われます。
でも、現在の税制だと計算しないといけないことになってるんですね。無理ゲーかw
さらにいうと、こうしたトークンの交換は、いずれユーザーが意識しないレベルで行われるようになっていくと思われます。
わかりやすい未来像でいえば、たとえば「イケハヤトークン(IKH)をJPYに買えてスタバで使う」なんてこともできるようになっていくわけです。
この場合、「IKH→JPY」という交換を実現するわけですが、Bancorプロトコルを想定すると、
「IKH→IKHBNT→BNT→BTCBNT→BTC→BTCBNT→BNT→JPZBNT→JPZ→JPY」という感じのコンバージョンプロセスになるでしょう。JPZは日本円ペッグの暗号通貨をイメージしてます。
交換レートを安定させるために、途中でさらにブリッジ通貨を噛ませることもありえるかもしれません。
無論、ユーザーはこうした内部変換は意識せずに「イケハヤトークン」を利用することができます。こんなの手動じゃ無理ですよねw
上記はBancorのケースですが、0xプロトコルを代表とする流動性のプールを使う場合は、さらに交換経路は複雑になりそうです。
関連記事:【仮想通貨】トークン経済の裏方「0xproject」に注目。
Bancorプロトコルに乗ったトークンを0xの流動性プールを使ってバックグラウンドでトレードする……なんてケースは、もうわけがわかりませんw
大石さんも指摘していますが、こうした価値の交換の主体が人間であるともかぎりません。
IoT系のプロジェクトの場合は、人工知能が自律的に価値交換を行い、経済が回っていくイメージですよね。
何千万枚ものRFIDに紐付いたトークンを、人力で交換するとかアホらしい話です。
トークンエコノミーが花開くためには、「仮想通貨同士の交換に円建てで課税」なんてアホらしいことはやってられないのです。
そもそも実務的に無理なんで、すぐに形骸化していくでしょう。税務調査の人が来ても、どうしようもないですよ。
大石氏が指摘する「4.」の話も重要で、取得価格なんていくらでもコントロールできるんですよね……。別にぼくはやりませんが。。
ブロックチェーンに刻まれる取引記録は正しいものになるので、実質的な脱税も可能になってしまいます。
マイナーな通貨同士の交換なんて、もはやレートがあってないようなものですから……。
というわけで、「JPYに換えて銀行口座に出金した時点で課税」でいいんじゃないでしょうか。
加えて、「少額決済の非課税枠」を超える分については、今まで通り自己申告ということで。
これならめちゃんこわかりやすいです。
まとめ。
まとめますと……
- 技術革新を見通すと「仮想通貨同士の交換に課税」というのは非現実。
- 今後、ユーザー自身も何と何を交換しているか把握できなくなっていく。
- そもそも人間以外の主体がトークンを交換するようになる。
- そもそも仮想通貨同士のトレード価格は、恣意的にコントロールできる。
- 「銀行口座に出金時に課税」でいいのでは?
合理的に考えて、こうするしかないと思うんですよね……。
日本が先駆けて税制整えたらクールなんで、政治家のみなさまには期待したいところです。
少額決済の非課税が進めば、景気もよくなるかもしれませんし!