<p><a href="http://www.gadget-underwood.com/archive">下級てき住みやかに</a></p>

【雪かき】限界集落になんで住むの? 「ここが家だから」爺さんのドストライクな回答に何も言えないよ。

限界集落って知っていますか?

過疎化や高齢化が進み、年寄り達が山里に取り残されたかのように、ひっそりと暮らす。

忘れ去られた「おらが村」みたいな場所。

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「まんが日本昔ばなし」みたいな古民家が田舎には普通に存在している。

「♬ 坊や〜良い子だねんねしなぁ〜。」

 

駄目だよ〜氷点下10度。
絶対に死んじゃうよ。

 
家の雪かきをしている最中に知人から連絡が入った。
 
「どう?やばそうだけど…。行ける?」
「もう、終わるから行けるよ。」
 

人の記憶から忘れ去られた、限界集落の雪かきをするためスコップ片手に現地へ向かう。いざ参ろう。

しっかし、くっそ遠いんだよね。

車で優に1時間以上はかかってしまう。人々に忘れ去られても、小動物には、こよなく愛される限界集落へと向かう。

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”なんとか法人”に所属している訳でも、役場の雪かきボランティア活動に登録している訳でもない。

参加すると「はにかんだ 素敵な笑顔」がネット上に無条件でアップされる。シャイだからね…。絶対に無理なのだよ。

 

数年前、町内の持ち回りで役員をしていた時に、自治体から限界集落に雪かきボランティアとして参加してほしいと要請を受けたことがある。

豪雪により生活のパイプラインが途絶えてしまったからという緊急の要請だった。一度だけの軽い気持ちで手伝いがてらに動く。

翌年からの要請はなくなった。しかしながら、同じ役員だった知人と、なんとなくではあるが未だに続けている。

年に数回程度。本当に雪が酷くて仕方がないと判断したときに現地へと向かう。

全くの赤の他人が数名で暮らす寂れた限界集落。ほおっておけなくなった。爺さんと婆さんのみが暮らす集落だから心配になってくる。

出逢ってしまった人との繋がりは、理屈じゃないのかも知れない…。絶対的なポリシーが、そう語ってくるんだよ。

 

限界集落の爺さんと婆さんが、張り切ってハムなんぞを送ってくれるようになった。

「大〜きくなれよ。」別に深い意味はないけど体力はつけておくよ。

ありがとうの気持ち。ハムのお礼に応えるつもりは微塵もないが…。

「行かねば。急がねば。カムサハムニダ。」

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高齢のための恒例となりえる行事。心が限界集落。 

  • 生活の道となる場所の雪かきをする。
  • 家が潰れそうなときは屋根の雪下ろしもする。
  • つららも落とす。脅威だからね。

「爺さんも、婆さんも、天界を目指す前に、申し訳ないが、一旦、下界を目指してくれないか。」雪かきをしながら、そう思ってしまうことはよくある。

寒いの嫌い。でも、心が寒くなるのもっと嫌い。

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初めて限界集落に来た時に、余りにもへんぴな場所に正直驚きを隠せなかった。

家の中も昭和から全く変貌を遂げていない。確実に時間が止まっている。

絶対に壊れている木目調の「三菱の霧ケ峰」エアコン。水道の蛇口を捻れば、井戸水のポンプが動きだす。ボットン便所で汲み取り式。お風呂は熱源が既に理解不能な状態..。

TVの下にある古びたフナイのビデオデッキに目をやると、爺さんが嬉しそうにビデオでも見るかと言い寄ってくる。ある意味、テープの内容よりも、ビデオデッキが動くのかを確認したい気持ちになる。

婆さんは「若い人は円盤しかみない」と爺さんに懸命に説明している。

 

フォーマット形式が気になるよ。
円盤.…UFO..未確認でいいよね。

 

スーパーもなければ病院もない。本屋もコンビニも自動販売機すら見当たらない。

無い無い尽くしの不便な場所になぜ、住んでいるのかを尋ねたことがある。

     ・

     ・

「ここが家だから…。」即答だった。

 

........。。。
「そっ...ですね。」愚問…。

 

ドストライクな回答。誰が何と言おうと、爺さんと婆さんの心安らぐ自宅だ。

 

限界集落を問題視している行政も下界に降りてこないかと、幾度か話し合いをしに来ている。

数名の集落のために、税金を負担することも出来ないし、身体の衰えも考慮してのことだと思う。

少数派になると、どうしても変人扱いをしてしまう節はある。僕も最初はそう思えてならなかった。頑固な老夫婦が居座るだけの、わがままな集落。

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しかし、彼らは産まれ育った集落で恋に落ち、結婚をして子育てをしてきた。自分が育った、この土地で余生を静かに全うしようとしている。単純にそれだけのことだ。誰にも迷惑はかけてない。勝手に迷惑をかけていると思い込んでしまっている。

爺さんと婆さんの思いが詰まった家。至って普通の考えなのかも知れない。

婆さんは、柱に刻みこんできた子供の成長記録を一生懸命に嬉しそうに説明してくれる。凄い記憶力に脱帽する。まぁ、子供達は、成人して直ぐに家を出たみたいだけど…

 

ははっ。申し訳ないが..
僕も100億% 家を出るよ。

 

家中を駆け巡る隙間風が、心底身体に応えてしまう古びた家。本当に何もないけど老夫婦にとっては、限りなく温かく居心地がいい場所。

爺さんと婆さんは、いつでも、畑の野菜を好きなだけ持っていっても構わないと言ってくれた。あんちゃん達は家族みたいなもの…。

雪が解けたら遠慮なく取りにくる。ダンボール持参して貰いにくるから。

80歳を優に超えた老夫婦が住み着く限界集落。ここに住んでいるからこそ、元気で居られるのかも知れない。最新の医療設備が、必ずしも優れて言えるとは言い切れない。

年に2度程、半日ぐらいしかいられないけど、集落の老夫婦たちと共に時を刻みたいと思っている。

雪かきだって、少なくとも筋トレぐらいにはなる。健康を維持するぐらいの気持ちでいられる。繋がりあう人との歯車を、大切にしていきたいんだよね。

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