中国はなぜ「2020年、台湾武力統一」を目指すか

外資企業に“踏み絵”、一気に狭める包囲網

2018年1月17日(水)

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米国系大手ホテルチェーン・マリオットインターナショナルは、台湾を「国扱い」したことを中国に謝罪した(写真:AP/アフロ)

 習近平政権がいよいよ台湾統一にむけた攻勢を強化してきた。たとえば、年明けから中国に進出する外資系企業に対する“踏み絵”を踏ませている。マリオットホテル、米デルタ空港、スペインのアパレル大手ZARAなど、中国に大きな市場をもつ外資系企業に対し、台湾、香港、チベットを「国扱い」していることに対して、謝罪を要求し、今後国扱いさせないことを確約させているのだ。台湾と中国の統一世論を国際社会に誘導させようというのが狙いだが、巨大市場を失いたくない中国進出企業は次々と、中国の狙いどおり、謝罪し、「中国の分裂を支持しない」ことを表明。年初に香港英字紙サウスチャイナモーニングポスト上で、華人政治評論家の鄧聿文が、中国に2020年に武力統一を実現する計画があることを指摘しているが、その目標にむかって、国際環境を整えに入っているという見方もある。

「国扱い」で謝罪も「イイネ」で再炎上

 1月9日、中国のSNS微博で、米国系大手ホテルチェーン・マリオットインターナショナルが会員向けに出しているメールによるアンケートの選択肢で、香港、マカオ、台湾、チベットを国扱いしている、と中国人会員が告発し抗議した。このことが中国のネットで炎上、「人民の金で儲けているのに、中国を分裂させようとしている!」と不買運動を呼びかけるまでに広がった。

 マリオット側は微博公式アカウントですぐさま「深くお詫びいたします。マリオットの中国会員を失望させる過ちを犯したと思い至りました」と謝罪。さらに、上海に所在するマリオットの大中華区責任者が、マリオットの行為が「サイバーセキュリティ法」および「広告法」違反として、上海市黄浦区の市場監督管理当局から立件調査を受ける事態にまでなった。マリオットインターナショナルはすぐさま自主的にサイトおよびアプリケーションソフト上で発表したすべての情報精査を約束し、台湾やチベットを国扱いした記述をすべて消去、アプリも更新し、全面的に謝罪した。

 だがその翌日の1月10日、チベット独立支持のNGO「フレンズ オブ チベット」のツイッターオフィシャルアカウントが「マリオットインターナショナルが、チベットを香港、台湾とともに国扱いしてくれたことを祝う」とツイートしたのに対し、マリオットの公式アカウントがイイネ(Like)を押していたことが、やはり中国人ユーザーに見つかり、またもやネットで炎上。マリオット公式アカウントはまたもや「我々は中国の領土や主権を損なういかなる勢力も絶対に支持しません。さらなる誤解をまねく行動については深刻に謝罪いたします」と平謝りさせられた。マリオットはこの一週間の間、実に5回も謝罪させられた。

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「中国はなぜ「2020年、台湾武力統一」を目指すか」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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