野党協力、大きな難題は「原発」と「共産党」

立憲民主党は方向性を明確にしているが

立憲民主党・枝野幸男代表は「安保法制」「原発」「共産党との協力」についても方向性を明確に語っている(撮影:梅谷秀司)

2018年の国内政治は、通常国会から本格的に動き出す。安倍晋三首相が、この国会を乗り切って秋の自民党総裁選で3選を果たすのか、それとも3選は阻止されるのかが政局の焦点だ。

その安倍首相を攻める野党側は、勢力を結集して国民にアピールしていけるのかが問われているが、昨年の総選挙で分断された立憲民主党、希望の党の両党、そして参議院を拠点とする民進党の3党による協力体制づくりがなかなか進まない。立憲民主党には希望の党から「排除」されたという遺恨があり、安全保障法制をめぐる政策の隔たりも大きい。そうした中で、野党協力の課題を突き詰めていくと、「原発をどうするのか」と「共産党との協力を受け入れるのか」の2点が最大の懸案であることが見えてくる。

昨年秋の衆院解散・総選挙を控えて、小池百合子・東京都知事が希望の党を結成。当時の前原誠司・民進党代表は民進党系候補全員の希望の党への合流をめざしたが、護憲派やリベラル派は小池氏から「排除」された。そのため、枝野幸男元官房長官らが立憲民主党を結成して総選挙に臨んだ。

選挙では希望の党が失速したのに対して、立憲民主党が躍進、野党第一党の座を占めた。その後は、民進党の蓮舫元代表ら一部の参院議員が離党して立憲民主党に加わる動きがあった。民進党の大塚耕平代表は立憲民主党、希望の党に国会での統一会派結成などの連携を呼びかけた。民進党と希望の党は1月14日の幹事長会談で統一会派に向けて大筋合意したものの、それぞれの党内手続きは混乱が予想される。立憲民主党は統一会派構想を拒否。3党が全面的に連携する枠組みは見えてこない。

安保法制では野党の大枠合意は可能

政策面では、集団的自衛権の行使容認を定めた安保法制への対応をめぐって見解の相違がある。立憲民主党が「憲法違反の安保法制は廃案」を掲げるのに対して、希望の党と民進党には、立憲民主党と同様の意見が多い半面、「現実的に対応すべきだ」(希望の党・細野豪志元環境相)という考え方もある。憲法をめぐっても、安倍首相が打ち出している「9条に自衛隊の存在を書き込む」ことに立憲民主党が全面反対しているのに対して、希望の中には「9条を含め議論に応じるべきだ」という意見がある。

もっとも、憲法や安全保障については、自民党内にもさまざまな意見があるし、与党内でも自民党と公明党との見解には隔たりがある。立憲民主党、希望の党、民進党の中でも「細野氏ら一部の保守系議員を除けば、大枠の合意をまとめることは可能だ」という見方がある。

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  • NO NAME21787d3c7c15
    今の野党に求められているものは
    企業優先の新自由主義を志向する自民党の政策に対する明確な対立軸となる路線。
    党名だけ違って自民党と政策などが同じという第二自民党路線には明確なNoを突き付けている。
    希望の党の惨敗や、消費税増税を打ち出して政権を失った民主党を見てもそれはあきらかだ。
    そのような路線を支持する層は最初から自民党に投票している。
    細野氏など右派がそのような路線を望むなら自民党に行けばいい。
    up46
    down7
    2018/1/16 10:17
  • NO NAMEa6bf3f257802
    野党結集みたいな数の論理を優先するようだと自民には勝てないでしょうね。というかまとめれば勝てるほどいるならともかくまとめたところで大した数ではないのですから、野党はそれぞれ自分の主張とその強化に務めるのがよいでしょう。有権者は椅子取りゲームに終始する政党にはうんざりしてますよ。
    up15
    down3
    2018/1/16 12:15
  • NO NAME1faa14deb776
     安倍政権がいろいろ改革に踏み込んでいるので野党が抵抗勢力に見える現況化、政治資金の分配や選挙協力といった政治家の保身中心の動きをしていること自体がナンセンスで、支持率を益々落とすだけだということに気が付かないのも不思議。
     共産党と原発が課題だという考え方も陳腐だ。
    up24
    down14
    2018/1/16 10:53
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