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座間事件

当初、集団自殺疑う声 女子高生2人不明

現場アパートそばに供えられた花や飲み物=神奈川県座間市で2017年11月10日、小出洋平撮影

最寄り駅の防犯カメラ捜査で、犯罪早期発覚の可能性も

 神奈川県座間市のアパートから9人の遺体が見つかった事件で、昨年9月末の3日間に現場近くで相次いで消息を絶ち、その後、犠牲者と判明した福島市とさいたま市の女子高生2人について、神奈川県警内で集団自殺を疑う声が上がっていたことが同県警への取材で分かった。事件性を考慮し、最寄り駅の防犯カメラを捜査していれば、犯罪が早期に発覚していた可能性がある。結果として集団自殺が行われそうな山中に捜索範囲を広げる対応にとどまった。

 殺人容疑などで逮捕された白石隆浩容疑者(27)のアパートから遺体で見つかった福島市の高校3年の女子生徒(17)は昨年9月27日に、さいたま市の高校2年の女子生徒(17)は同30日に行方不明になった。2人は6人目と7人目の被害者とみられている。

 家族から届け出を受けた福島、埼玉の両県警が2人の携帯電話の電波を調べたところ、白石容疑者のアパートから約20メートル離れたマンション屋上に設置された基地局が、それぞれ同28日と同30日に最後の電波を拾っていたことが判明した。

 神奈川県警によると、福島県警からの捜索要請を受けた同28日、座間署は捜索に署員4人を投入。約3時間にわたって市内の公園や公衆トイレなどを捜した。10月2日には埼玉県警から捜索要請があり、この時点で3日の間に少女2人が同じエリアで行方を絶ったことを把握したことになる。

 神奈川県警の内部では、署や県警本部の関係者数十人がこの情報に接していたといい、二つの行方不明事案を結び付けて「集団自殺ではないか」との声も上がった。このため同署は4人態勢で自殺者が集まりそうな場所がないか調べたり、捜索範囲を周辺の山中に広げたりしたという。

 ただ、事件に巻き込まれた可能性が考慮されることはなく、2人が利用したとみられるアパート最寄りの小田急小田原線相武台前駅や付近の防犯カメラは調べられなかった。

 神奈川県警はその理由について、福島、埼玉両県警からの要請が「通常勤務の範囲での捜索」であり、切迫性がなかったため--と説明。「できる限りの対応は取った」(神奈川県警人身安全対策課)としている。

 犯罪捜査に詳しい立正大の小宮信夫教授(犯罪学)は「10代の女性が行方不明になれば、その後、さまざまな犯罪に巻き込まれる可能性がある。集団自殺が想定されたなら、自殺の教唆やほう助などの事件性まで考慮して対応すべきだった。カメラを調べていれば、結果は違っていたかもしれない」と指摘する。

 一方、元福岡県警本部長の田村正博京都産業大教授(社会安全政策)は「容疑者とのやり取りがインターネット上だけだったことを考えれば、2人の失踪時期が近いというだけで事件性を見極めることは容易ではない。また、全国の行方不明者の大半が程なくして見つかっていることを考えれば、今回の案件でカメラを捜査しなかったことを責めることはできない」と話している。【深津誠、春増翔太、山本佳孝】

犠牲になった女子高生2人と神奈川県警の動き

 9月27日朝         福島市の女子高生が行方不明に

   28日午後2時半ごろ   座間市緑ケ丘の携帯電話基地局が女子高生の位置情報を検知

    同日午後        福島県警が女子高生の捜索を神奈川県警に要請

      午後3時ごろ    座間署員が3時間、基地局付近を捜索

   30日午前       さいたま市の女子高生が行方不明に

      午後       座間市緑ケ丘の携帯電話基地局が女子高生の位置情報を検知

10月 2日         埼玉県警が女子高生の捜索を神奈川県警に要請

               神奈川県警が2人がほぼ同じ場所で消息を絶ったことを把握

      午前10時ごろ  座間署員が基地局付近を捜索。範囲は9月28日より拡大

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