フランスの開発スタジオQuantic Dreamが告訴を受けている、と3つのフランスの媒体が報道している。不適切な行動、長い残業時間、人種差別、性差別、同性愛差別といった事柄をも許す「まるで男子学生のような」社風がその原因のようだ。
「HEAVY RAIN 心の軋むとき」「BEYOND: Two Souls」「Detroit Become Human」のデベロッパーとして知られるQuantic Dreamを巡る騒動はLe Monde、Canard PC、それからMediapartという3つのフランスの媒体に掲載されている。
Eurogamerの英訳によると、スタジオ・ヘッドのDavid Cageとエクゼクティブ・プロデューサーのGuillaume de Fondaumièreは告訴の中心にあり、社員への長い残業時間の要求、他者の意見に耳を貸さないCageの「独裁者ぶり」は特に批判されている。元社員はCageの姿勢について「まるで個人の場所のようで、なんでも気を使わず好きなように言って、好きなようにしていいと思っている」と発言した。
Cageの女性社員に対する態度についても触れられている。Cageは「妻がいる場所で」女性社員に卑猥な冗談や猥褻な発言をし、ゲームに登場する女優・女性声優についても不適切なコメントをするという。さらに、元社員はCageについて、同性愛者を批判するコメント、人種差別的発言をするとし、その例としてCCTV(TVチャンネル)で見た強盗事件についてチュニジア人の社員に「お前の親戚なのか」と尋ねたという。
Quantic Dreamの創業者の1人でもあるGuillaume de Fondaumièreについて、スタッフのいるところでの不適切な行動――特にスタッフパーティーで――が指摘された。フランスの文化では挨拶代わりに相手の頬に軽くキスをするが、de Fondaumièは非常識的な形で相手に接触したとされる。
Quantic Dreamサーバーのキャッシュがフォトショップで不適切に編集された600の画像ファイルも発見されているらしく、その一部は2013年に遡るという。これらの画像で社員は様々な性交体位で映っており、同性愛批判や性差別的な発言のふきだしがついていたり、またはナチス兵のような格好で映ったりしているそうだ。これらの画像はグループメールで送信されたらしく、その一部がCageとde Fondaumièreの所有していたものらしい。
Cageとde Fondaumièreは告訴を否定しており、「最も酷い」画像を告訴時点では見たことがなかったとしている。また、不適切な行動をとったという疑いについてde Fondaumièreは「まったくそのような事実はない」と完全否定しており、「どのイベントでもそのようなことはしたことがない」と発言している。
Cageも似た形で否定しており、告訴内容について「馬鹿げており、不合理であまりにもグロテスクだ」としており、LGBTアクティビストのEllen Page、人権アクティビストのJesse Williamsと一緒に仕事したことがあるという事実で同性愛批判や人種差別に対する疑いの反論をしている。
Quantic Dreamの公式Twitterアカウントでも告訴を否定しており、「不適切な発言や行動はQuantic Dreamで許されていません」とコメントし、さらに「弊社は安全な環境を整うことを非常に重要視しており、それができて初めてゲーム作りに対する情熱を共有し合ってチームとして働けます」としている。
Quantic Dreamの新作「Detroid Become Human」は2018年前半に発売を予定している。家庭内暴力も描かれる本作だが、今回の騒動が原因でゲームを違った視点から見るプレイヤーも出てくるかもしれない。