「Peing‐質問箱‐」の開発者で働かずに生きていける道を選択した自称ニートのせせりさんが語る魅力的な会社とは
今話題のTwitterを利用した匿名質問サービス「Peing-質問箱-」開発したのは、19歳の頃から1人で数々のサービスを生み出してきた、せせりさん(Twitter ID:_sesere)です。月間2億PVを集める大人気サービスとなったこともあり、リリースからわずか1ヶ月でジラフが買収。現在はサービスのグローバル化と収益化を進めるための開発を加速させています。そこで今回は、この「Peing-質問箱-」の生みの親であるせせりさんをお招きして、「Peing-質問箱-」開発の経緯等に加え、なぜフリーなのか、また、せせりさんが就職を考えてしまう魅力的な会社について聞いてみました。
――せせりさんは、いつ頃からエンジニアとしてサービスを開発していこうと考えたのですか?
ぼくは朝がすっごく弱くて、中学生くらいの頃から毎朝7時に起きて9時には会社に着いて……なんて生活は絶対に無理だ!と思ってました。これが「働きたくない」の根底です(笑)。もう本当に朝が弱くて、起きるぐらいなら死ぬ!寝続けるぞ!!!みたいな勢いで(笑)。だから、自分は出社しないで働く方法を考えたほうがいいなと。
それで調べていくうちに、「WEBサービスを作って広告を載せる」みたいなことができれば、なんとかなるのではないかと考えるようになったのが高校生の頃ですね。ちょうどブロガーとかアフィリエイターが流行り始めた頃でしたから、自分もブログを作ってみました。たぶん月間20万PVぐらいにはなったと思うのですが、これではたいしてお金にはなりません。しかも多少なったとしても、毎日これを続けないといけないので、この方法はムリだなって気が付きました。だったらユーザーが投稿して楽しんでもらう場を作ったほうがいい。その1つ上のレイヤーに行きたいと思ったんです。それが、プログラムを始めたきっかけですね。
――では「Peing-質問箱-」を作るきっかけは何だったのですか?
きっかけはブログでした。フォロワーが100人ぐらいしかいなくて、プログラムも初心者で、デザインもほとんどできないという人が、現実的に流行るサービスを作ることができるのかという記事を書いたんです。そして、実際にそれを実証してみますというつもりで始めたのが、そもそもです。その題材としてサラハ(Sarahah)があったから「質問箱」にしたという感じで、目的みたいなものが最初にあったわけではありません。
ただ似たようなサービスが多数ある中で、なんでお金とか開発費とかが余っている大企業に勝てたのか……それは企業秘密なんです(笑) それを書こうと思ったこともあったんですが、あまりにもフォロワーさんが集まりすぎてしまったので、書けなくなってしまったんですよね。
1つ言えるとしたら、サービス名が挙げられると思います。みんなおしゃれな、かっこいいのを狙い過ぎなのではないかと思っているので、そういう意味では、「ヒカカク!」はわかりやすくてぼくは好きですね。今回も「質問箱」と「Peing」を両立させたことには意味があって、海外展開する時に「質問箱.com」だと問題があるので「Peing」としたんですけど、自分の中では「質問箱」というサイト名なんです。
――「Peing-質問箱-」が大人気となった秘訣をぜひお聞きしたいところではあるのですが、それはまた別の機会に譲るとして、今回はこれまでずっとフリーでやってこられたせせりさんに、あえて「魅力的な会社」についてお聞きしたいと思っています。せせりさんは、ジラフがどんな会社になれば魅力を感じますか?
午後1時に出社しても良いのでしたら(笑) ノッてくると夜遅くまでやってしまうんですよ。そうすると、朝8時とか9時出社とかだと、もう起きることができないんですよね。だからといって夜のうちに止めるのももったいない。けっこうそういうエンジニアの人は多いと思いますけど。
――あまり時間に縛られたくないということですか?
ただ単にルーズなだけではダメで、自分から出社したくなるという環境がないと、結局来なくなると思います(笑)。たとえば、自分の持っていない技術を持っている人がいたり、自分と同じレベルで話すことのできる人がいれば、楽しくなると思います。会社に行けばその人がいるということは、会社に行くきっかけの1つになりますからね。プロダクトの内容が楽しいということでもよいですが、やはり話すのが楽しいとか、技術がスゴイ人がいるとか、人間的な魅力のある人がいるところのほうが、メリットとして大きいですよね。
――「自分と同じレベルで話すことのできる人」とは、どんな人でしょう。
自分がたまたま知らないことを「こんなことも知らないの?」とか、「全然情報追ってない」とか言われると気分が良くないですよね。そうじゃなくて、切磋琢磨できる楽しさが対等ということです。エンジニアってみんなが楽しいと思っていれば、勝手に育ちます。それこそ休日にだってやってしまうことでしょう。そういうマインドを持っている人がいるところだったら、自分は入っていけるのではないかと思います。
それから、会社で働くということはけっこう勇気がいることと思っていて、1回入るとずっといるのが当たり前という感じで、辞めたくても辞めづらいところがありますよね。なので、辞めやすい会社というのは、とても働きやすいと思います。転職者が多くて、辞める人も多くて、帰ってくる人も多いというイメージですね。辞めやすいからどんどん出ていくし、一方でどんどん帰ってくる。現実的にそういう制度を整えるのはとても難しいと思いますし、自分は組織で働いたことがないから言えることなのかもしれませんが(笑)
――組織に入ることに対する抵抗感が大きいわけですね。
自分でできるから、組織に入るメリットがないですよね。でもそれを上回るメリットがあるのでしたら、組織に入ることもあるかもしれません。実は一度だけ、1人でやっているうちに寂しくなってWantedlyに登録したことがあります(笑)。でもそれで話を聞きにいくと、やっぱり働くのはムリだなって思いました。企業で働くということは、社会保険なども含めた安心感があると思うのですが、それよりも、1人でやる気楽さのほうが勝ってしまうわけです。自分みたいな臆病な人間じゃないと、こういいう気持ちはわからないかもしれません。
それから、人によってタイミングというものがあると思います。「今回はたまたまタイミングが合いませんでしたが、もし今後合うことがあればぜひ一緒に働きましょう」と言っていただいた方がいて、それはとてもいいなと思いました。確かに自分でも「組織で働きたい」と思うようなタイミングがあるわけで、タイミング次第ということをわかっていただける会社がいいですよね。後になって考え直すことができる雰囲気もあるし、友達にもいい会社だったと言えると思います。
――今後の面接の時には気を付けたいと思います。
あとありがちなのが、技術書がたくさんありますとか、マンガをたくさん読めますとか、休憩時間がいっぱいありますとか、そういったメリットを打ち出してくる会社がありますけど、それだったら家でやったほうがいい。確かに仮眠室でもあると一部の人は喜ぶかもしれませんが、仮眠室で寝るぐらいなら家で寝たほうが絶対にいいわけで。それはメリットじゃなくて、デメリットを薄くしているだけですよね。会社に来ている人のためのデメリットを減らしているだけにすぎないことに気付くべきですよね。
――確かにそうですね。
そういうことより、技術的にとても参考になるし、人間的にも素晴らしい人がいるからこの会社にいる……そんな魅力的な会社がいいですよね。「結局人なんだよ」とよく言われますが、能力のほうにばかりフォーカスしている気がします。能力も大切ですが、人間的な魅力がある人、同じ能力でも会いたくなる人、会いに行きたくなる人だったらやっぱり会社に来たくなります。
――せせりさんのように、普段フリーで仕事をされている方にも積極的にジラフにジョインしていただけるような会社の魅力をどう打ち出していけばいいのか、良いヒントをいただけたのではないかと思います。今日はどうもありがとうございました。
あと、これは純粋な気持ちで言いますけど、素敵な女性がたくさんいたら来たくなります(笑) 1人でやっていると本当に出会いがないんですよ。あっても同性ばかりで。フリーの最大のデメリットですね(笑)