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教員メッセージMessage from Professors

井上 寿一

政治学科 教授
井上 寿一
Toshikazu Inoue
専攻:日本政治外交史

出身地
東京都
最終学歴
一橋大学大学院法学研究科博士課程/法学博士
所属学会
日本国際政治学会、日本政治学会
研究テーマ
近現代日本の政治・外交・社会
担当科目
日本政治外交史演習

ゼミで学ぶこと

はじめに 2014年度から学長を務めているので、学部の担当科目は日本政治外交史演習(ゼミ)に限定されています。以下はゼミの説明です。
このゼミは毎週月曜日5時限に、3、4年生あわせて18から20人前後でおこなっています。日本政治外交史演習ではあっても、狭い意味での「日本政治外交史」ではなく、より広く「国際社会のなかの日本」を議論するようなテーマを設定しています。

基本目標 ゼミの基本目標は、全員参加型=〈参加型ネットワーク〉の形成と展開です。
考え方が異なる人が集まることで必然的に生まれる緊張関係をエネルギー源として、各自が相互にちがいを認識しあいながらも、相互依存関係で自発的に結びついたネットワークを構築します。ここには均質で強い価値観の共有はありません。反論できる関係を前提に、対立するところでは対立し、評価できるところでは評価しながら、異なる価値観に排他的となることなく、しかも反論を棚上げすることでただ表面的に和気あいあいとした居心地のよい関係にもならず、固有の意思と主体性を持った個人が、自由意志で参加し、知的緊張関係のなかで、課題の達成のために協力します。
☆問題発見能力の養成。
☆自分の頭で考え、自分の言葉で表現するトレーニング。
☆共同作業・共同討論による知的な人間関係の構築。
☆「書を持って街へ出よう」。

具体的な進め方 ゼミは《プロジェクト型研究》です。
具体的には1学期は、バザール型討論+バズセッション(少人数グループ分散討論)中心のディスカッション形式です。参加者が共通の基礎的知識を積み上げ、問題の所在を確認し、価値観の共有ではなく、問題関心の共有をおこないます。
2学期はワークショップ(共同作業・共同討論)形式です。ワークショップ型の共同作業・共同討論によって個別の論点に関する考察を深めるとともに、その結果を政策提言書として、まとめます。
なお、インタビュー取材(関係者からのヒアリング)、校外見学などのフィールドワークに積極的に取り組みます。

主要年間計画 4月に新年度歓迎懇親会をおこなうことはいうまでもありません。そのほかに月1回の定例懇親会(コンパ)をおこなっています。また4月から5月にかけての時期で、1泊2日のチームビルディング合宿で一挙にゼミの一体感が生まれます。2月の第1土曜日は、OB・OG会で、3、4年生と卒業生の交流の機会となっています。

おわりに ゼミは3、4年生の2年間だけではありません。卒業後もゼミのつながりは続きます。生涯にわたって助け合ったり励まし合ったりすることができるようなゼミのネットワークを広げていきたいと思います。

著書・論文紹介

  • 『第一次世界大戦と日本』
    (講談社現代新書、2014年)

    現代日本の原点は100年前の第一次世界大戦の頃にさかのぼることができる。そのような問題関心から、第一次世界大戦が日本の外交・軍事・政治・経済・社会・文化に及ぼした影響を立体的に描く試みです。

  • 『政友会と民政党』
    (中公新書、2012年)

    戦前の二大政党の歴史を概観することを目的としています。政友会と民政党を自民党と民主党に重ね合わせるようにして書いてみました。刊行直後に民主党から自民党へ政権交代が起きました。

  • 『理想だらけの戦時下日本』
    (ちくま新書、2013年)

    日中戦争下の国民精神総動員運動がテーマです。大衆社会状況のなかでの民主主義について、1930年代後半の歴史的な文脈において考えています。直木賞作家の三浦しをんさんに『朝日新聞』の書評欄で取り上げていただき、感激しました。

  • 『戦前日本の「グローバリズム」』
    (新潮選書、2011年)

    1930年代のグローバリズムとリージョナリズムの相克のなかで、日本の外交空間が拡大する過程を追跡しました。