大学修学能力試験(日本のセンター試験、修能)の見直しも今すぐ実行に移すかと思われたが、これもすぐにしぼんでしまった。経済副首相が「税金を上げる考えは全くない」と公言したその2カ月後、政府は国会に増税に関する法案を提出した。児童手当の支給対象に所得上位10%が含まれるかどうかも未だに決まっていない。テレビのニュースでTHAAD(米国の高高度防衛ミサイル)が韓国に搬入される様子が大々的に報じられたにもかかわらず、政府はこれを知らなかったとして「報告を怠った」などと大騒ぎを起こし、結局は米国と中国の双方に疑念を抱かせるサンドイッチ状態になってしまった。韓日慰安婦合意も白紙化するのかと思われたが実際はそこまで踏み込まず、日本からは激しい反発を受け、また元慰安婦女性たちからも「だまされた」と批判されている。戦術核兵器の再配備、北朝鮮に対する海上封鎖といった重大な安全保障政策も、国防部と大統領府の説明が食い違っている。公正取引委員会はサムスン物産株の売却と関連して2年前に下した決定を覆し、財界を驚かせ不安に陥れた。次はどの政策がひっくり返されるのか、もはや誰にもわからない。
政府はどう考えてもおかしな政策への批判には完全に耳を閉ざし、間違いがあっても自らの非を認めない。文大統領の言葉を借りれば「まぶたも動かさない」ということだ。ところが自らの支持者たちがわずかな咳でもすれば政府は風邪を引いてしまう。今国政の最大のリスクは政府そのものになっている。