朝鮮日報

【コラム】UAE原発受注、決してタダで得たものではない

 それを知らないはずはないフランスもUAEに破格の軍事協力を提示した。フランスは最先端の戦闘機、原子力潜水艦、空母、実戦能力を備えた部隊を持つ世界的な軍事強国だ。フランスは軍事技術の移転とともに、UAEに「核の傘」の提供を打診したとの説もあった。UAEはイランの核開発に脅威を感じていた。再選を目指すフランスのサルコジ大統領(当時)も可能な限りのカードを切ったはずだ。

 ところがフランスには弱点があった。UAEの仮想敵国であるイランと関係が深いことだ。このため、李大統領が安全保障協力を提案すると、UAEが揺らぎ始めた。北朝鮮と長年関係が深いイランは、北朝鮮とさまざまな面で似た軍事体系を備えている。武器体系も似ている。さらに、UAEとイランの間の狭い海には韓国の西海五島のような島も存在する。安全保障需要には韓国と一致する面があった。UAEは数日にわたり深く検討を行ったようだ。UAEの皇太子は李大統領との電話会談から5日後に電話をかけてきた。「入札を延期する」という内容だった。パリの凱旋門の目前まで行っていた400億ドルの原発がソウルへと向きを変えたのだった。

 そこで韓昇洙(ハン・スンス)元首相と関係閣僚による代表団40人が急きょ結成され、11月18日にUAEを訪問した。李元大統領は回顧録に「その段階でもUAEがフランスとの約束を破棄するとは考えていなかった。それでも代表団には韓国が受注する可能性が高まったと告げた」と書いた。その嘘のおかげかどうか、代表団は本当に熱心にUAEを説得したという。それから1カ月後、UAEは韓国への発注を決めた。先進国が核実験を行っていた当時に原子力とは何かも知らなかった韓国が世界の4大原発輸出国に浮上したのだ。現在韓国が英国やサウジアラビアでの原発受注に望みをかけられるのはUAEでの逆転ドラマがあったからこそだ。

楊相勲(ヤン・サンフン)主筆
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