先日、山梨県甲斐市の学校法人・日本航空学園が同県内の国有地を格安で売却されていたと報道された(「毎日新聞」1月8月付)。
これにたいし、同学園側は「法律に基づき手続きを進めたものであり、何ら落ち度はない」と応え、現在その行方に注目が集まっている。
同学園理事長の梅沢重雄は、『人生でいちばん大切な10の知恵 親子で読む教育勅語』(2014年)を刊行するなど、「教育勅語」に入れ込んでいることでも知られる。そのため、一部で「第二の森友学園か?」との観測も流れた。
戦後、「教育勅語」を学校教育に利用して、大きく話題になったことが2回ある。
ひとつは、1960年代の島根県松江市の私立・淞南高校(現・立正大学淞南高等学校)。もうひとつは、昨年の森友学園の塚本幼稚園だ。日本航空学園は、これに続くのだろうか。
「教育勅語」を利用する学校は、「君が代」や軍歌との関係が深い。同学園もまた「君が代」を重視し、「君の御楯」「御国を負いて」などの歌詞をもつ寮歌を使っている。
とはいえ、安直な類似の指摘は避けなければならない。そこで、イデオロギーの面から、日本航空学園は先行する事例とどこが同じで、どこが違うのか、検証してみたい。
日本航空学園は、戦前の航空学校を前身とし、アジア太平洋戦争の敗戦による閉校などをへて、1964年現在の名称となった。現理事長の梅沢重雄は三代目で、創立者・梅沢義三の孫にあたる。
かれが理事長に就任したのは1992年だが、その7年後には早くも「教育勅語」をつぎのように評価している。
梅沢は続く箇所で「教育基本法」を「アメリカ製」だとも述べている。「教育基本法」は2006年に全面改正されたので、ここでいうのは旧法のほうである。
このように旧「教育基本法」を批判し、「教育勅語」を擁護するのは保守系の雑誌ではありふれた話で、別段目新しいものではない。
ちなみに「教育基本法」は、占領軍ではなく日本側(文部省)の意向で起草され、しかもそのなかで「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間」や「平和的な国家及び社会の形成者」などの理想像が示されているのだが、ここではおく。