日銀政策修正には円安進行が必要、名目実効相場で5%程度-シティ証

  • ドル・円で言えば118円台がめどになると高島氏
  • 思惑による円高進行で政策修正の可能性は後退

The Bank of Japan headquarters stands in Tokyo, Japan.

Photographer: Tomohiro Ohsumi

日本銀行が金融緩和政策の修正に動くには、名目実効円相場で現行水準から5%程度円安が進むことが必要-。シティグループ証券の高島修チーフFXストラテジストは、少なくとも2016年1月のマイナス金利政策導入時点と15年6月の黒田東彦総裁による円安けん制時点の中間程度までは下落する必要があり、ドル・円相場で言えば1ドル=118円台がめどと分析する。

  高島氏はリポートで、名目実効円相場は過去において「黒田日銀の金融政策を読み解くのに非常に的確なインディケーターとなってきた」と指摘。クロス円主体の最近の円安を受けて名目実効円相場がマイナス金利導入時の水準を下回り始めたタイミングで日銀が政策修正を試みだしたことに違和感はないとする一方、コアコア消費者物価指数が依然ゼロ近傍をさまようなどインフレに停滞感があり、10~12月期に来年の消費増税の最終判断をする際に安倍晋三首相がデフレ脱却宣言を狙っているとも言われる中で、「日銀が自ら政治リスクを取りに行くとは考え難い」とみる。

  日銀が超長期ゾーンの国債買い入れを減額した9日以来、名目実効円相場は1.4%上昇。ドル・円相場は15日に一時110円58銭と昨年9月以来の円高水準を付けた。

  高島氏は、今回日銀の政策調整に対する思惑で円高が進行していることは、「皮肉なことにその可能性を後退させてしまっている」と指摘。来週の金融政策決定会合後の黒田総裁の記者会見を含めて、「今後しばらく日銀から出てくるメッセージは政策調整の可能性を打ち消すものが続く」と予想している。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE