部品ごとに解説!エコキュートの寿命と耐用年数
目次
エコキュートの寿命・耐用年数は10~15年
エコキュートの寿命は、おおむね10~15年といわれています。その理由は、エコキュートの部品をメーカーが保存している期間が製造終了後10年間程度のため、使用して10年以降はエコキュートを修理しようにも、取り替えパーツが無く修理できない場合があるからです。そのため使用して10年以降で故障したら、大体の場合そこで寿命が尽きてしまうことになります。
また、エコキュートを使用して10~15年くらいになると、ヒートポンプユニットの故障がとても多くなりますので、なかなかそれ以上長く使うのは難しいのが現状のようです。
ただし、故障が起こらなかったり、部品の在庫があるうちに修理を行ったりした場合は、15年程度までは使い続けられる場合もあります。
エコキュート貯湯タンクの寿命・耐用年数は10~15年
エコキュート貯湯タンクの寿命・耐用年数は、おおよそ10~15年といわれています。エコキュート貯湯タンクの構造は電気温水器と基本的には同じなので、比較的長持ちする場合が多いようです。ただし、水質の影響によって寿命が短くなってしまう場合があります。詳しくは水質がエコキュートの寿命へ与える影響をご覧ください。
以下、エコキュートの貯湯タンクについて、部品ごとに交換したほうがよい時期の目安をご紹介していきます。
貯湯タンクの部品ごとの交換時期目安
数値はすべて業務用エコキュートを1日12時間稼働した想定です。
なお、()内は家庭用の稼働時間(1日8時間)に換算した数値を示しています。
水回路
- 減圧弁……5年(7.5年)
- 逃し弁……5年(7.5年)
- 給湯ポンプ……10,000時間(15,000時間)
- 流量調整弁……5年(7.5年)
- 給湯熱交換器……5年(7.5年)
※上記の寿命・耐用年数は目安であり、部品の交換時期を保証するものではありません。
※耐用年数が「時間」となっているものは、製品稼働時間(4400時間/年と仮定)を示しています。
※上記は日立業務用エコキュートのデータを参照しています。
用語解説
- 水回路……水が通る道のこと。
- 減圧弁……水の圧力を下げるための消耗部品。
- 逃し弁……最高まで高まった圧力を逃す働きがある消耗部品。
- 給湯ポンプ……エコキュートのお湯を蛇口や浴槽まで運ぶポンプ。
- 流量調整弁……お風呂にお湯をはるときの湯量を調節してる部品。
- 給湯熱交換器……冷媒の熱を使ってお湯を温めている機械。
エコキュートのヒートポンプの寿命・耐用年数は5~15年
エコキュートのヒートポンプユニットの寿命・耐用年数については、おおよそ5~15年といわれています。貯湯タンクよりは壊れやすく、使用して5年(7.5年)以上経過すると故障が発生しはじめます。また、使用して10~15年ほどになると、非常に故障が発生しやすくなるようです。
以下、エコキュートのヒートポンプユニットについて、部品ごとに交換したほうがよい時期の目安をご紹介していきます。
ヒートポンプユニットの交換時期目安
数値はすべて業務用エコキュートを1日12時間稼働した想定です。
なお、()内は家庭用の稼働時間(1日8時間)に換算した数値を示しています。
冷媒回路
- 圧縮機……35,000時間(50,000時間)
- 電動膨張弁……10年(15年)
水回路
- 循環ポンプ……20,000時間(30,000時間)
- 凍結防止切換弁……5年(7.5年)
- 流量センサー……5年(7.5年)
送風機
- ファンモーター……20,000時間(30,000時間)
電気回路
- インバーター……8年(12年)
- パワーモジュール……5年(7.5年)
※上記の交換時期は目安であり、部品の交換時期を保証するものではありません。
※耐用年数が「時間」となっているものは、製品稼働時間(4400時間/年と仮定)を示しています。
※上記は日立業務用エコキュートのデータを参照しています。
用語解説
- 冷媒回路……冷媒(熱を運ぶガス)が通る道のこと。
- 圧縮機……冷媒の温度をコントロールする機械。
- 電動膨張弁……冷媒を減圧させて、低温低圧にする機械。
- 水回路……水が通る道のこと。
- 循環ポンプ……ヒートポンプ内の水を循環させるポンプ。
- 凍結防止切換弁……凍結を防止するために働く弁。
- 流量センサー……どのくらい水が流れたかを測定する部品です。
- 送風機……空気を送るための機械。
- ファンモーター……熱を外に逃がすための部品。
- 電気回路……電気が通る道のこと。
- インバーター……モーターの回転数を制御する部品。
- パワーモジュール……電力を制御するための部品。
使用条件でエコキュートの寿命が短くなることも
エコキュートの寿命・耐用年数は、エコキュートの使用条件によって変化します。ここでは、どんな使い方をするとエコキュートの寿命が短くなってしまうのかを、参考までにご紹介します。
水質がエコキュートの寿命へ与える影響
使用する地域の水質によっては、エコキュートの寿命を減らしてしまう恐れがあります。特に温泉水、地下水、井戸水、硬水地区で使用する場合は、メーカーも通常の寿命を保証していません。また、水質が原因で故障が発生しても、無償保証は依頼できませんので、これらの地域でエコキュートを使用する場合は、あらかじめ有料延長保証に加入しておくと良いと思います。
なお、エコキュートの中には、地下水や井戸水に対応したエコキュートも存在しています。地下水・井戸水対応のエコキュートは、地下水や井戸水を使用する地域で使用してもメーカー保証を受けられます。地下水や井戸水を使用する地域にお住まいの方は、地下水・井戸水対応のエコキュートの使用がオススメです。
入浴剤の使用でエコキュートの寿命が短くなることも
入浴剤を使用すると、エコキュートの寿命を減らしてしまう場合があります。説明書にも、入浴剤の使用を禁じる記述がある場合があります。
ここでは、エコキュートで使用すると寿命・耐用年数を減らしてしまう危険のある入浴剤の特徴をまとめました。
- にごりタイプの入浴剤
- 硫黄、酸、アルカリ、塩分を含む入浴剤
- 薬草、ゆず、茎など固形物
- ミルク成分を含むとろみ系の入浴剤
- 炭酸カルシウムを含みにごり湯にする入浴剤
エコキュートの寿命に悪影響を及ぼす危険があるので、基本的に上記に挙げた入浴剤や、成分が不明の入浴剤は使用しないほうが懸命です。
ただし、メーカーやお使いの機種によって使用できない入浴剤が異なる場合がありますので、詳しくはエコキュートの説明書をご覧ください。また、入浴剤を使用する場合は、説明書に書かれているメーカー推奨の入浴剤をご使用ください。
塩害地や寒冷地でエコキュートを使用する場合は注意
海の近くの塩害地や、寒い地方の寒冷地にお住まいの方は、それぞれ専用タイプのエコキュートを使用する必要があります。
仮に通常タイプのエコキュートを設置して使用したとすると、塩害や寒冷対策が施されていませんので、故障の確率が大幅に上がってしまいます。
塩害地の場合は「耐塩害仕様」のエコキュート、寒冷地の場合は「寒冷地向け」のエコキュートを使用するようにしましょう。
エコキュートの寿命を伸ばすお手入れ方法や工夫
重要!貯湯タンクの水抜き方法
エコキュートの貯湯タンク内は、実際に見ることはありませんが、放っておくと水道水の中の不純物がタンクの底に沈殿して、ゴミ・湯ドロとしてお風呂の中に混じってしまいます。ステンレス製のエコキュート貯湯タンクは、電気温水器に比べると雑菌が繁殖する心配は少ないですが、それでも年に2~3回は貯湯タンクの掃除(水抜き作業)をすることが大切です。
エコキュート貯湯タンクの水抜き手順(推奨頻度:年2~3回)
- 貯湯タンクの下部カバーを取り外し、給水配管用の水栓を閉めます。
- 貯湯タンク上部に付いている逃し弁カバーを開け、逃し弁を手前に起こします。
- 貯湯タンク下部に付いている排水栓を、約1~2分間開けます。
※排水を流す排水ホッパーが設置されている場合、あふれないように排水してください。 - 約1~2分経過したら、排水栓を閉じます。
- 給水配管用の水栓を開けます。
- 排水口から勢いよく水が出ることを確認して、②で起こした逃し弁のレバーを戻します。
※排水時のお湯はやけどの恐れがありますので、触らないでください。
※メーカーや機種によって操作が異なる場合があります。詳しくは説明書をご覧ください。
エコキュート貯湯タンクの水抜きを何年もしていない場合は?
エコキュート貯湯タンクの水抜きを買ってから一度もしてない方も多いかもしれません。その場合、上記で紹介した水抜き方法だけでは、タンク全体の汚れを洗い出すことはできません。そのまま放っておくと、お風呂の中に湯ドロと呼ばれるワカメのようなゴミが頻繁に混じるようになってしまいます。
何年も水抜きをしていない貯湯タンクは、メーカーのメンテナンスや、専門業者に任せるしかありません。メーカーや専門業者に綺麗にしてもらったら、今度からは自分で4ヶ月に一回程度、貯湯タンクの水抜きを行うことが、エコキュートの寿命を伸ばすことにつながります。
ヒートポンプユニットの水抜き(空気抜き)方法
ヒートポンプユニット内部の水を抜くことも、ヒートポンプユニットの寿命を長くするためには欠かせません。ヒートポンプユニットの水抜きは「空気抜き」とも呼ばれており、これを怠るとヒートポンプユニットの故障原因にもなります。
ヒートポンプユニットの水抜き(空気抜き)手順(推奨頻度:年2~3回)
- 3ヶ所あるヒートポンプユニットの水抜き栓をすべて1回転以上回して開きます。
- 1分間以上、水が出ることを確認してください。このとき、水抜き栓は抜かないでください。
- すべての水抜き栓を閉じて、完了です。
※メーカーや機種によって操作が異なる場合があります。詳しくは説明書をご覧ください。
漏電遮断機のお手入れ方法
漏電遮断器は、漏電ブレーカーとも呼ばれ、漏電による感電事故・火災が起こる前に電気を遮断する役目があります。
エコキュート漏電遮断器のお手入れ方法(推奨頻度:年2~3回)
- エコキュート貯湯タンク下部に付いている点検口のカバーを、ネジを緩めて開けます。
- 漏電遮断器のテストボタンを押して、電源レバーが「切」または「OFF」になれば正常です。
- 電源レバーを「入」または「ON」に戻して、完了です。
※メーカーや機種によって操作が異なる場合があります。詳しくは説明書をご覧ください。
逃し弁のお手入れ方法
逃し弁は、エコキュート内の圧力を逃し、一定の圧力に保つ役割があります。
エコキュート逃し弁のお手入れ方法(推奨頻度:年2~3回)
- エコキュート下部の排水口から水・お湯が出ていないことを確認します。(水漏れ点検)※このとき、水・お湯が出ている場合、エコキュート上部の逃し弁操作窓を開けて、逃し弁レバーを手前に起こしたり、戻したりする操作を数回繰り返してください。
- エコキュート上部の逃し弁操作窓を開けて、逃し弁レバーを手前に起こし、排水口から水・お湯が排水されることを確認したら、逃し弁レバーを戻します。(動作確認)
※点検時、配管は高温になっておりやけどの危険がありますので、触らないでください。
※メーカーや機種によって操作が異なる場合があります。詳しくは説明書をご覧ください。
ヒートポンプユニット周辺に障害物を置かない
ヒートポンプユニットの周辺に物を置くと、側面・背面の吸込口や正面の吹出口を塞いでしまう場合があります。吸込口や吹出口が塞がれてしまうと、エコキュートの能力低下や故障の原因になってしまいます。エコキュートの寿命を伸ばす上でも、ヒートポンプユニットの周辺に障害物がないか、たまにチェックするようにしましょう。
その他にも、ちょっとした気遣いでエコキュートの寿命を伸ばすことができます。
旅行などで長期間出かける場合は電源を切る
旅行などで長期間お湯を使用しないときは、以下の処置を行うと、エコキュートへの負担も減り寿命を伸ばすことに繋がります。
- 冬季以外は、エコキュートの電源を切る(冬季は凍結の恐れがあるため、電源は切らない)
※エコキュートの電源OFFは、貯湯ユニットの下部配線部分にある「配線用遮断器」と中央部分にある「漏電遮断器」のスイッチを両方とも「切」にします。 - 1ヶ月以上不在の場合は、貯湯タンクのお湯を全て排水する(1ヶ月放置すると貯湯タンク内の水質が変化する場合があるため)
エコキュートリモコンのお手入れ方法
リモコンのお手入れ方法としては、表面が汚れてボタンの文字などが見えにくくなった場合、乾いた布や固くしぼった布で拭くようにしてください。このとき、シンナー、アルコールなどは変形・変色の原因になるため使用しないでください。
自分でのメンテナンスが面倒な場合は、メーカーにメンテナンス依頼を
エコキュートの寿命を伸ばす上で、パーツごとのメンテナンスは欠かせませんが、「忙しくてそこまでできない」、「4ヶ月に一度では忘れてしまいそう」といった方もいると思います。そのような方は、メーカーの点検サービスを利用すると良いかもしれません。有料にはなってしまいますが、自分では点検が難しい場所なども点検してくれると思いますし、故障があれば早期に発見することができます。
エコキュートの寿命データが揃うのはこれから
エコキュートは2001年にはじめて発売されましたので、まだ比較的新しい電化製品になります。そのため、2016年の今年で15年目となり、そろそろエコキュートの寿命・耐用年数に関するデータが揃いはじめる頃だと思います。
これまでエコキュートの寿命は10~15年が定説となっていましたが、実際のデータや技術の進歩などにより、その数値も変わっていく可能性はあります。
寿命を迎えたエコキュートは買い替えがオススメ
使用中のエコキュートが寿命(使用して10年以降で故障)を迎えてしまったら、メーカーに部品が無いなどの理由で修理が難しいため、新しいエコキュートに買い替えるのがオススメです。
エコキュートの買い替えポイントや費用については、こちらの記事で詳しく取り上げていますので、参考にしてください。
部品ごとに解説!エコキュートの寿命と耐用年数
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