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第2話 ステータス
連れてこられた部屋は左にベッド、右手前にクローゼット、右奥に机と椅子が置いてあった。中々に広い。ドアの正面には窓があり日当たりもいい。ベッドに座ってみたが硬くない。ふわふわでもないけど。
部屋に専属のメイドさんが居るのかと思っていたが居なかった。何でも、食堂の準備ができたら呼びにくるのが、専属のメイドさんらしい。非常に待ち遠しい、早く来ないかな? かわいい子がいいな!
でも待ってる間暇だよな? 何かすること……そういえば興奮して、ステータスしっかり見てなかったな。
とりあえずステータスと念じてみる。
よし、でた。
どれどれ……
★
名前 朝野 耀
性別 男
Lv 1
HP 15/15
MP 12/12
攻撃力 10
防御力 15
敏捷性 15
魔力 14
運 13
称号
【異世界人】 【勇者】
▼固有スキル
[勇者]
▼ユニークスキル
[スキルの種]
★
すごいのかどうか基準を知らないからわからないけど、スキルはヤバそうだな。ヤバそうだけどどんな効果かわからないんだよな? テンプレだとステータスのウィンドウの所を押したりすると、説明がでてきたりするんだよな。
えい……でました。
何々……
[勇者]
使っている武器を聖なる武器に変える。
使わなくなると元の武器に戻る。
[スキルの種]
世界に存在しない独自のスキルを8個作ることができる。
8個スキルを作ると、このスキルは消える。
[勇者]は微妙だけど[スキルの種]はヤバ過ぎるだろ! 何、このチートスキル! 皆こんなの持ってるの? ヤバ過ぎない?
いやそれよりも皆持ってるとしたら早くスキル作ったほうがよさそうだな。
世界に存在しないってことは、存在したら作れないって事になる。
何作る! 考えろ、できるだけ早く。
ええっと、ええっと……そうだ鑑定。
異世界では鑑定系スキルはとても役に立つ。
でも、ただの鑑定だとすでに存在するかもしれないな。
ううん……よっし決まった。
どうだ、いけるか?
直後、頭に直接文字が流れ込んできた。
[完全鑑定]
見ているものならどんなものであろうと、情報を知ることができる。
スキルを確認してみると[完全鑑定]の文字があることから作ることに成功したようだ。
よっしゃ、いけたようだ。
それから俺は一気にスキルを作っていった。
[完璧偽装]
ステータスや姿を別のものに変えることが出来る。
ただし実際に変わった訳ではなく、見た目だけの変更である。
[スキル・魔法コピー]
どんなスキル・どんな魔法でもコピーし、自分のものにする。
コピーは対象に触れる、もしくは対象を殺すことにより発動できる。
[ステータス自乗]
増えるステータス値を自乗する。
[経験値自乗]
得られる経験値を自乗する。
[メーティス]
膨大な量の情報を処理可能。
必要とあれば助言もしてくれる。
完全にチートだ!
発動条件は指定していなかったけど、作ったら勝手に付いた。いくらなんでも発動条件なしは、強力すぎでダメだったみたいだ。これでも十分に強力なんだけどね!
5つ目は使い勝手がいいように思う。
物事を覚えるのにも使えそうだしな。断じて記憶力が悪いから作った訳ではない。断じて違う。
残り2つだが、1つは決まっている。
魔法が絶対にある世界だ! そしてスキルを作れる。
なら作るスキルは……魔法創造だ。
自分の考えた魔法を作り出すことが出来るスキル。
さあ、頭に直接流れ込んでこい。そしてスキルの欄に出るがいい!
……あれ? 出ない、なぜだ? まさか、もう誰かに作られたのか!?
<違います>
えっ、頭に直接声が聞こえてきた。
何なのこの声?
<スキル[メーティス]の助言です>
なるほど、さっき作ったスキルの効果か。
やはり使い勝手がよかった。作ってよかった、ホントに。
それよりも違うってどういうこと?
<はい。他の勇者は[スキルの種]というスキルを持っていませんのでスキルを作ることができません。それどころか神ですらスキルを作ることはできません。>
そうなんだ、他の勇者はこのスキル持ってなかったのか。
それどころか神様ですら無理なんだ。
ハアハハハハ……マジでチートだった!
そうなるとこれ大丈夫かな? 相当ヤバイスキル作っちゃったけど。
まあ、[完璧偽装]もあるから大丈夫か。
うん、違う理由はわかった。相当チートなことも。
でも作れない理由は何だ?
<作れない理由はすでに存在するからです>
えっ、そんなヤバイスキルがすでに存在するの?
<はい。具体的にはこの世界ではなく元の世界の神が持っています>
元の世界にも神様居たんだ。
それに元の世界にも魔法は存在したんだ! 俺は信じてた! 部屋で一人で手を前にかざして呪文みたいなの唱えてましたもん。
<元の世界に魔法は存在しません>
いや、そんなはずないだろ!
だって神様が[魔法創造]ってスキル持ってるんだったら、魔法は存在するだろ?
<いえ、魔法は存在しません。なので神も[魔法創造]のスキルは持っていますが使えません>
……なんですかその宝の持ち腐れ。
勿体なさすぎるだろ!
そして同時に、元の世界に魔法が存在しなかったことが判明してしまった。そんなこと知りたくなかった。
物凄く悲しくなってきた。
いや、前向きに考えよう。
今居る世界には魔法はあるよね?
<はい。あります>
よっし、ならオッケーだ。
さらに[魔法創造]のスキルはこっちの世界に存在しない。
良いこと尽くめだ。そうだ、うん……ソウナンダ。
このことは忘れよう。
残り2つのスキルについて考えよう。
ううん?
あれ? よく考えたら[ステータス自乗]なんてスキル作ったけど、運ってレベルアップで増えるのかな?
<増えません>
やってしまった。
運だけ13のままになるのか?
それはダメだ、絶対に避ける。
自分のステータスを見て運だけ2桁とかだったら泣けてくる。俺は不幸じゃない。
だけど運を増やすだけにスキルを一つ作るのも、もったいないよな。
もういっそのことステータス全部対象にしよう。
[ステータス略奪]
ステータスを奪う。
奪うには対象に触れる、もしくは対象を殺すことにより発動できる。
うん、出来た。
出来たんだけど……これだと[スキル・魔法コピー]と[ステータス自乗]が要らなくなってしまった。
もっと深く考えるべきだった……
反省しよう。
同じことは繰り返さない。
最後の一つはそんなことにはしないぞ!
良いのないかな?
何でも作れるっていわれると逆にあんまり浮かばないな。異世界ものの定番はある程度作ったと思うんだよな。他にも何かあった気はするんだけど思い出せないんだよな。
そういえば、スキルにレベルってないんだな。
<いえ、スキルにレベルはあります>
うん、ホントに便利だ。何でも答えてくれる。
でもそうか、スキルにレベルはあるのか。
だったら、スキルの成長速度を倍以上にするとかありかもな? いや、他にもっと良いのありそうだな。やめとこ。
[スキル成長促進]
スキルを通常の倍以上の速度で成長させることが出来る。
……最悪だ。考えた時点で作られるのか……そういえば今までもそんな感じだったな。
俺は完全に力なくうなだれていた。おそらく顔はこの世の終わりのような顔をしているだろう。
またしても深く考えていなかった……最悪だ。
かなりの時間うなだれていただろう。
なぜって? そりゃお腹が空いてきたからだよ。
スキルについて考えるのはやめよう! 十分にチートのはずだ!
俺のスキルは元々これだった。スキルを作ることなんてできなかった。
うん、そうだ。
このスキルしかなかった。
★
名前 朝野 耀
性別 男
Lv 1
HP 15/15
MP 12/12
攻撃力 10
防御力 15
敏捷性 15
魔力 14
運 13
称号
【異世界人】【勇者】【神(仮)】
▼固有スキル
[勇者][眷属化]
▼オリジナルスキル
[完全鑑定][完璧偽装][スキル・魔法コピー][ステータス自乗]
[経験値自乗][メーティス][ステータス略奪][スキル成長促進]
★
……称号とスキルが増えてるんですが……どうなってるんですか?
<神でも成し得ることが出来ないスキル作成を行えたことにより、称号【神(仮)】を手に入れることに成功しました。それによって固有スキル[眷属化]も手に入りました>
スキルを作ったことによる副産物ですか。おまけみたいな感じで手に入っていいものじゃないと思うんだが。ここまでくると、苦笑いしか出来ないよ。で、この[眷属化]はどんなスキルなんだ?
[眷属化]
他者を自分の眷属にすることが出来る。
眷属になったものは主に対する敵対行為は絶対に出来ない。
ただし眷属化を発動するには発動対象が、主に対して忠誠を誓っていないと発動できない。
眷属とはどれだけ離れていようと念話によって会話することができる。
なんかな? [勇者]でも思ったけど、固有スキルって微妙過ぎない? いや、俺の他のスキルが強すぎるだけかもしれないけどさ、仮にも【勇者】とか【神(仮)】によって手に入れたスキルならもう少し強くてもいいと思うんだけどな?
<それは称号によって獲得できる固有スキルは副次的なものでしかないからです>
それはつまり、あれかい? 称号自体にも能力があるという、テンプレですか?
<はい>
ふむふむ、なるほどね。
称号自体に能力があって、さらにスキルまで貰える。
そう考えると中々に強いな。
さてさて、その称号にはどんな能力があるのかなっと。
【異世界人】
異世界から来た者に与えられる称号。
異世界の言語を翻訳してくれる。
異世界の言語を話せるようになる。
【勇者】
異世界から勇者として召喚された者に与えられる称号。
ステータスの上昇値を倍にする。
光魔法の威力を倍にする。
奴隷化されると元に戻り、さらにはステータスが半減する。
固有スキル[勇者]を手に入れる。
【神(仮)】
神ですら成し得ないことをした者に与えられる称号。
固有スキル[眷属化]を手に入れる。
うん、一個ずつ考えていこうか。
【異世界人】は便利だ。これがあるだけで世界中の人と普通に話が出来る。異世界に来て最初にすることが言語の勉強とかにならないのも大助かりだ。俺は英語の勉強が特に苦手だったからな。
で次【勇者】。魔法の威力を上げるのも中々に強いし、国王が言っていた奴隷化しない理由もこのスキルの恩恵であることがわかった。だが最後の一つ、ステータスの上昇値を倍にする。これはさすが勇者といったところだ。普通の奴が持っていたらかなりチートな能力だ。
普通の奴が持っていたらな。俺それのほとんど上位互換持ってるんだよね。上昇値が3より上なら圧倒的に俺のスキルの方が強い。
最後の【神(仮)】。
これはやっぱりおまけだな。
おまけにふさわしいものだ。
おまけにふさわしいのに誰にも見せられない称号だ。
実に厄介だ。
そう考えると俺のステータスって、人に見られると確実に面倒なことになるな。
とりあえず[完全偽装]で自分以外に見られたり、見せたりするときには、称号は【異世界人】と【勇者】。スキルは[勇者]だけしか見えないように設定しておこう。
コンコン
「失礼します」
扉の方から聞こえた音と声でそちらを見てみれば、メイド服の女性が部屋に入ってくるところだった。
+注意+
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