土曜プレミアム・映画「テルマエ・ロマエ」[字][多][デ]【阿部寛・日本アカデミー賞受賞作】 2018.01.13
今夜の映画は…
(ナレーション)ローマ帝国の始まりは紀元前753年にまでさかのぼる幾たびもの戦争や謀略を繰り返しながら他民族を制圧し属州とすることでローマは世界最大の帝国として繁栄を極めていった帝国の繁栄に貢献した歴代の皇帝たちは神格化されることで神として崇められ後世にその名を残した紀元128年時の皇帝ハドリアヌスは反対勢力を粛清するなど暴君として恐れられていたそうしたローマにあっても民衆はテルマエと呼ばれる浴場を愛し皇帝は巨大なテルマエを建設することで民衆の支持を集めていった
(ルシウス)この設計のどこが悪いんだ!
(雇い主)まだ分からんのかルシウス最近は斬新な建物が増えたそれが何だというんですか!
(雇い主)君の考えたテルマエの設計は古いのだよ古い?私は現代のローマが忘れかけている古き良き時代を再現しようとあえて…
(ヴィルトゥス)こちらでしたか!頼まれていた設計図です最近雇ったテルマエ技師だヴィルトゥスだよろしく私は用済みというわけかすまんな君にもっと斬新な発想があるというなら別だがね
(雇い主)さあヴィルトゥス説明を聞こう中央に巨大な石像周りに噴水をあしらっています愚か者め!
(マルクス)はっははは…このご時世に失業かよ!私はアテネにまで赴き最高の建築技術を身につけてきたんだぞそれをあいつら…
(マルクス)そんな辛気くせえツラしてっからツキが逃げてくんだよほらもっと笑えよ
(娼婦)私と遊んでいかない?
(マルクス)お〜イーッヒッヒ…もういいよだったらよカミさんと一発やってスカッとしろよええ?カミさんだって子供欲しがってたじゃねえかよなっ悪かったよだったらよ風呂入ってすっきりしようぜやっぱりよローマに風呂は欠かせねえよなおーい大盛況じゃねぇか!やっほーい!当たり前だローマは世界一風呂を愛している国なんだからな
(ローマ人)あーさっぱりした
(マルクス)あのハドリアヌス帝も風呂好きだって話だぞ元老院殺しの暴君も人の子ってことだな暴君?
(奴隷)チップ
(マルクス)何だお前知らねえのか巷の噂じゃハドリアヌスが皇帝に就いた時反対してた4人の元老院を問答無用に殺したって話だそれだけじゃねえぜせっかく勝ち取った領土を放棄するわローマを留守にして旅ばかりして遊び呆けるわととんでもない皇帝らしいおっ!あっはっはおおーやれやれ!うほーっほほ…相変わらずここは騒がしいな本来風呂は体の疲れを取るための場所だ格闘技や水泳をやったり
(売り子)菓子はいかがですか売り子が幅を利かせてるなんて本質を見失ってる!くつろげる空間でこそ…ああ俺脱毛やりまーす!
(売り子)菓子はいかがですか〜そんな堅物だからクビになんだよ
(売り子)脱毛はこちらに
(マルクス)ほーいははは…どいつもこいつも…まったくこの者たちは世界の頂点に立つローマ人としての自覚はないのかこのままでは我がローマ帝国が凋落する日も近いかもしれない湯の中に入るしか静けさを感じることができないなんて…派手なテルマエがもてはやされるこの現状を打破できるような斬新な発想さえ思いつけば!斬新な発想…斬新な発想…斬新な発想…
(水流の音)んんっ?うわっ!イテー!くぅー!
(オペラ歌手の歌声)ああー!なっ…何なんだここは!こっこれは!ポンペイのヴェスビオス火山ではないか!
(老人1)おみゃーさんよあんた湯船の底にずいぶん長く沈んどんやねぇローマ人じゃない…
(中年男)言葉…分かんねぇのかなあ
(老人2)連れはいねぇんかなおい顔が…平たいそうかここは奴隷用の公衆浴場かさっきの場所と隣接していてうっかり入り込んでしまったんだな
(老人1)外人さん湯あたりするといけないから表に出たらどうじゃ?“ここはローマ人の入る浴場ではないから”“出ていってください”そう言ってるのかまあその言い分ももっともだろうここは奴隷が一番くつろげる場所なんだからなん?それにしてもずいぶんと文明の発達した様子の物があるではないかなっ…!はっ…むっ…はあぁ…巨大な一枚板の鏡!催し物の絵の完璧さ!こんな技を持った職人がいるなんて驚くべき奴隷たちだこの中に衣服を入れるのかこれなら我々でも真似できそうだ外人さんよオメェ服ないのか?もしかして盗まれたかこの奴隷風呂使えるぞ!豪華さが重視される浴場よりよりシンプルで機能的に!斬新さを求めている今のローマにはぴったりではないか!
(ラテン語)お俺は盗んでねえよ!なぜこんなにうろたえているんだ浴場のスタイルを真似されたら困ると慌ててるのか?この平たい顔族が風呂文化を大切にしている気持ちはよく分かるしかしローマの属州となったからには我々ローマ人がその文化を吸収する権利がある!
(中年男)おーい!そんな格好でどこへ行くんだい何とでもわめくがいい奴隷たちよ入り口の日よけ布かこのアイデアも頂いたぞ
(中年男)おいどこ行くんだいまだ何か隠してるんだな
(女性たちの悲鳴)
(山越真実)ケンシロウ…?むう〜
(引き戸の開く音)
(老人2)すみませんははは…
(中年男)おい行くぞ行くぞ
(老人2)すいませんね本当に一体ここはどこなんだこれでも飲んで元気出しなか〜うめぇ〜兄ちゃんの栓も開けてやるようまい!しかも冷たくて甘いな牛の乳なのになぜ果実の味が?一体どうしたらこんな物が作れるんだこの属州は完全にローマの文明を凌駕しているくっそ…泣くな敗北を悟られるわけには…ぐうっ…
(マルクス)ルシウ〜ス!ルシウ〜ス!ルシウ…おおおーっ気がついたぞ!ここは?風呂で溺れてのぼせ上がっちまったもんだからみんなで運んだんだ平たい顔族は?
(マルクス)平たい顔?何言ってんだよよかったよかった夢か…ハッ!
(客)ここか新しいテルマエは何でもこれまでにない風呂らしいぞこのカゴいいねえすばらしい思いつきだこの催し物の告知いいねえ
(客)これこの前観た喜劇だ果汁入り牛の乳いかがですか?面白いビンだなぁ今週の見世物が分かるなんて便利だなあそれ1本くれ何もかもが驚きだあっちも見てみろヴェスビオス火山にナポリ湾いい眺めだのう風流じゃナポリ湾にはやっぱりローマ松じゃこの手桶いいねえ癒やされるなあ
(マルクス)牛の乳をビンに詰めて地下で冷やすとはなああれはもっと甘くて冷たかったビンだってフタだって決して精巧とは言えないお前の向上心には感心するよもう1本もらうよ私ではない飽くなき探究心を持っているのはあの奴隷たちだ恐るべし平たい顔族
(マルクス)ああ師匠脱ぎ終わりましたか?
(老師)ふぁあああ…湯に漬かるのは至上の喜びじゃわい家に風呂があったらいいのうぜいたく言わないでくださいよ家に風呂なんて金持ちか貴族しか持ってないんですからね夢を言ったまでじゃ…あれ?師匠のストリジルは?あれじゃないですかそうじゃあんなとこに…取ってきましょう確かに年老いた身で大浴場まで足を運ぶのは大変だ入浴を諦めてる老人も少なくはないだろうそれはテルマエを愛するローマ人にとって生きがいを奪われるようなもの何とかしてやれないものか…家に風呂…家に風呂…家に風呂…
(歌声)うおあああ…うわあー…何だここは?何やら狭くなってきた気が…しかもどんどん熱くなってきた!くっ苦しい!うあっ!あぁ…何だ?まさか…またあの世界に?ハァッ…湯の入った棺?いや入浴用の浴槽ということも考えられるもしこれが浴槽ならばものすごい執念を感じるなこんな狭い空間の中でどうやって火を焚いているのだ奴隷も大変だな動物の腸のような物の先端に付いているこれは何だ浴槽の表面を覆っていたこれにしても湯の熱を外へ逃がさないための用途をなしているのではないか一見バカげた形状をしていてもどこかにとんでもない要素を備えてるに違いない文明大国であるはずのローマでは誰も考えついたことのない方法…
(平井道子)寝る間も惜しんで描いたのがこれ?全然ダメストーリーも古いしキャラも普通インパクトのある主人公も描けない絵だけうまくても漫画家にはなれないのよ田舎帰って親孝行でもしたら?才能ないんだし!
(戸の開く音)
(平井卓三)お風呂は沸いたかのうお義父さんお風呂は向こうよもうすぐヘルパーさんが来るから待ってて!
(卓三)分かりましたよ米子さん道子です!
(戸の開く音)
(卓三)おっ?今日は外人のヘルパーさんかじゃ背中からお願いしますじゃんじゃん出る!
(卓三)んん〜いでででいでで!うう…若い皮までむけちゃうよ〜一体この布は何で出来ているんだ次は頭かのう冠?この老人は平たい顔族の族長か!うわーっはっはっははうわーっはっはっはこうやって…洗って…流す顔濡れとらんじゃろ?このとてつもない敗北感を何と表現したらいいんだハァッ…
(真実)インパクトのある主人公…インパクトのある…主人公!んん?この筒さえも我々の文明にはない機能を備えてるに違いない目が…目がっ!うう…あああああ…
(真実)あれ…?
(真実)筋肉隆々の外人は?消えた
(真実)あ〜窓から逃げたか…いや消えたんじゃすーっと
(マルクス)大浴場で溺れて意識を失ったかと思えばたちまちこんな家庭用の風呂をこさえちまうんだもんなしかも泡よけのツバに牛の腸を使った体を流す道具まで発明するなんて大したもんだよええ?師匠どうですか?
(老師)最高じゃ〜極楽じゃ〜
(マルクス)ほら見てみろよ噂が広がって毎日見物客が絶えねえますますお前の株が上がったなあっははは…
(リウィア)今じゃあなたはローマいちの建築家だって?マルクスから聞いたわよフフ…みんな勘違いしてるんだ私は見た物を再現しただけで私が考えたものなど1つもないさあいいからどんどん食べてカタツムリにヤギの睾丸どれも精力抜群よこれできっとあなたの才能を受け継ぐ子供が生まれるんん…どうしたの?食欲がないんだよ何そうやってまた逃げる気?いつもそうじゃないはっ!毎日仕事ばっかり私の気持ちも知らないで…こんなに子供が欲しいのにあんたは一度だって応えてくれない役立たず!
(リウィアの泣き声)
(ドアをノックする音)
(使者)夜分遅くに申し訳ないルシウス・モデストゥスはおらぬか?そなたにぜひ会いたいと皇帝が仰せだハドリアヌス帝が私に?ケイオニウス様!
(ケイオニウス)ルシウス技師だな皇帝がお待ちだこれより先は我々も入れぬゆえ一人で行ってもらおう皇帝は気難しい性格だ下手な発言をすれば首を切られてもおかしくはない生きて帰れるといいなああ…
(ハドリアヌス)このテルマエの設計はそなたの仕業か?ルシウス・モデストゥスでございます
(ハドリアヌス)ヴェスビオスの壁画をテルマエに用いるとはバカバカしいだが実に見事だテルマエとローマのあり方は似ている広ければいいというものではない派手であればいいというものでもない安らげる場を与えてこそ人々の幸福につながるおっしゃる通りですふむ私と波長が合うとはそなたも暴君の素質があるな
(ハドリアヌス)民衆が私をどのように思っているのかぐらい察しはつく属州を巡ってみて分かったことがあるローマは広大だ軍事力で抑え続けるには限界がある本当は文化で圧倒できれば戦などなくなるのだすべてはローマの平和を維持するための視察だったんですね心を落ち着かせローマの平和を思索するにはテルマエが必要だそなたに見せたいものがあるそなたの設計に手を加えさせてもらったなんという美しさ…
(ハドリアヌス)そなたに私の浴室を造ってもらいたい私はこれまでにない斬新な発想を欲しているローマ帝国のためだと思ってそなたの力を貸してはくれまいかローマ帝国のため…分かりました私にお任せください
(アントニヌス)この別荘の設計はすべて皇帝が行ったものだ皇帝に個室風呂の設計を任されたそうだなええですがアントニヌス様あのようなものを見せられては…
(アントニヌス)皇帝は優れた建築家でもあるからなだが希代の天才ゆえ我らの想像以上に孤独でおられる元老院とも対立し心を開ける理解者も少ないそなたはその数少ない一人なのであろう立派なテルマエを造ってくれそれが皇帝の救いになるここに風呂を?ダメだ全く浮かばないハァ…平たい顔族ならどう考えるそうだ!また大浴場の排水溝をたどっていけば彼らに会えるかもしれないいやいやいや待て待て待て属州の文明に頼るなんてどうかしてるぞ!だがこのまま一人で悩んで何か思いつくのか皇帝の期待に応えられなければ私の将来はないんだぞ!ええい!プライドなんかクソ食らえだ恥を捨てて彼らに助けを求めよう急げルシウスああっ!
(宇治野)ちょっと山越くん
(真実)ん…あっ…はい“はい”じゃないよあふれるとこだったぞ…ったくいつも眠そうに働いてもっと真面目に仕事してくれよいれば給料がもらえると思ったら大間違いだよすいませんどうせ夜遅くまで…
(真実)ああ!あ〜…あ〜…はっ!ここは平たい顔族の…うおっ!恐ろしいほど煮えたぎってるだが熱くないなぜだ…
(宇治野)知り合いか?
(真実)あ…裸の付き合いといいますか…こうやって職場に男を連れ込んでたのかいえ…何だこの振動は!?フルフルする!気持ちいい…
(宇治野)君!さっさと出てきなさいいててて…離せトーガに手をかけるとは失礼な奴隷め
(真実)大丈夫ですか開き直って乳繰り合う気か部長!
(真実)部長?あっいや…ああ〜!
(真実)もうどうなってんのよ
(ラテン語)
(ラテン語)なるほど案内してほしければ駄賃をよこせというわけか小ざかしい奴隷めん?んんどうも…
(真実)えっ?あの…あの…あの!
(便器を叩く音)
(真実)キャラ立ってるわぁ…パピルスに書かれたこの文字…平たい顔族の文明をひもとく重要な書物に違いない
(宇治野)部長こちらです
(真実)うんっ…
(真実)部長来ちゃうって!ちょっ…ちょっと…何だこの空間は…この何とも言えぬ良い香りはこのローソクが発しているというのかハアッ…癒やされる…何だこれは!壁に水槽を埋め込んでるのか!どんどん癒やされる…浴槽だけではない空間を生かしたテルマエ造りへのこだわり…書物やギリシャの真似事しかできない私には到底考えつかないやはり私ごときが皇帝の風呂など造れるわけが…ううっ…考えたら腹が…
(ラテン語)ん?
(ラテン語)
(真実)トイレ?トイレはこっちだけどフタが…?一見良い工夫のように思えるが私のように急いでいる者にとってはこの一手間が…
(トイレから聞こえる音楽)便を用するために一体何人の奴隷を使っているのだ奴隷も大変だななるほど用を足しながら読むものだったのかうう…ん…うんっ…ん?尻拭きはどこだ?ハッ!?今のは…もしや尻を洗浄する機能なのか?確かに海綿をいちいち水に浸して尻を拭くよりは清潔だハウッ!何だこの感覚は…ああ…クセになりそう…男はどこだ?中か
(真実)ああっ…
(宇治野)部長!
(部長)誰もいないじゃないか
(真実)あっ…んんっ
(宇治野)見てくださいこれが証拠です山越くん…クビ!お恥ずかしい限りでございます皇帝の別荘で溺れるなんて…
(ハドリアヌス)もうよいではないかそなたは助かり私はこうして泡の風呂に漬かっているそしてその便器尻を洗浄するなんていう発想は私には到底思いつかぬ他国の文化を真似するだけでないそなたのような国民もおるのだな
(ハドリアヌス)このテルマエがあれば明日のローマについて熟考できるすべてはそなたのおかげだ早速褒美を用意しようそれで妻に何か買ってやるがよいありがたき幸せフッ…リウィア聞いてくれハドリアヌス帝…
(マルクス)おっ…ルシウス!ひでぶ…
(山越由美)どういう風の吹き回しだいこっちゃがなーんべんも帰ってこ〜って連絡しても電話もかけてよごさねえで
(真実)べづにぃ漫画家先生に諦めろって言われだ?それども昼間の派遣クビさなった?まさが…両方がよ?まどっちゃにしてもタダ飯食わせるつもりはねぇあいあい…はいよっこいしょあーよがったよがった分がってるで
(真実)あーっまーた仕事サボっで
(岸本)いよぉー
(山越修造)真実!いやいやいやー帰ってきてくっちゃのが〜
(真実)ってかまだみんな生きでたんだ
(岸本)そっだら冗談やめろでえ長老なんていづ息止まってもおがしぐねんだがら
(最上)長老長老!
(名倉)川が見えだ
(館野)間違いねえそりゃ三途の川だ
(一同の笑い声)食いすぎだっつうのこのデレすけが!
(真実)ああ!教授そういえば見てほしい物があんだこれ
(最上)これラテン語みたいだなぃ
(真実)ラテン語?それ持ってた人が着てたんだけどこんなふうに巻いで…
(最上)あいや〜そりゃトーガだな古代ローマで着でだ服だあしたらこりゃ古代ローマの銭がい?
(真実)古代ローマ?“ハドリアヌス”“ローマ帝国14代目皇帝”“気難しい性格で知られているが”“建築家としても才を発揮した”“旅好きでローマ不在が多かった皇帝は”“自分がいる場所を常に硬貨に記していた”トリポリってことは…
(真実)128年ハドリアヌスは2度目の視察巡回へと旅立ったアテネアンティオキアを経てエジプトのアレクサンドリアへ上陸すべては順調に思えたしかし…
(ドアを叩く音)
(アントニヌス)ルシウス技師!
(ドアを叩く音)
(アントニヌス)ルシウス技師はおらぬか?
(アントニヌス)おいしっかりしろアントニヌス様ううっ…ああ…
(アントニヌス)一体何があったんだ何でもありません実はそなたに力になってもらいたいことがあって来たんだが
(アントニヌス)皇帝が身も心も委ねていたアンティノーという少年をエジプトのナイル川で亡くしてすっかり生きる気力を失ってしまったのだ
(ハドリアヌス)アンティノーは私の生きがいだった今はアンティノーと過ごした日々ばかりが脳裏をよぎるナイルの豊穣な川岸に神聖なるワニが姿を現し形容しがたい香りと甘さを放つ果実を食す私はアンティノーの死をきっかけに立ち止まってしまったのだあっ!
(ハドリアヌス)そのワニはアンティノーの化身としてナイルから連れてきたがやはりナイルのワニはナイルでしか生きられぬようだこのワニが死ぬ時が私の最後かもしれぬ何をおっしゃいますか私はまだまだハドリアヌス帝のご活躍を願っております
(一同)う〜んなるほどうめぇもんだ
(真実)できた
(一同)おお〜なるほどなぃこいづが古代ローマ野郎がよ?やっぱり真実ちゃんは絵がうめえなぃ今度の漫画の主人公筋肉隆々のグラディエーターほら古代ローマの勉強もしてんだ
(最上)ちっといいべが?あのなぃこのトーガ大学の後輩さ頼んで放射能炭素年代測定っつう方法で調べてもらったら現代の麻とは成分が違うんだど
(岸本)えぇ?どれもしかしたら本物がもしんねえ
(修造)どういうこど?んじゃからって真実ちゃんが会ったのは本物の古代ローマ人かもしんにっつこどなんだってば
(一同)まさがぁ〜こいつが古代ローマ人?この人は突然いなくなったんだよね?出できた時はどうだった?えっいや…それもいぎなりで最初は行きつけの銭湯次が漫画家先生の仕事場で次が私の派遣先だった展示場ん〜場所はバラバラで共通点はながったよおあるでねぇが
(最上)んだ!こいづが出できたどこさにも真実ちゃんいたんだよなぃそんなの…単なる偶然だ運命の赤い糸じゃあ!ちっと待でて
(由美)バ〜カなこど言ってねえでさっさとお風呂さ入っせ!
(一同)はい〜
(真実)何だい?これ
(由美)見合い写真だ
(修造)あぃや…あいやいやいやこれ…伊丹ホテルの跡取り息子でねえが母ちゃんまだ早いんでねえかい?
(由美)あんたなぃもうこの子の面倒を見られなぐなっかもしんねんだよどういうこと?この旅館閉めるこどになっかもしんねんだ
(岸本)なじょして?本当がぃ?なんだいオメェも知んながったのがよもうずいぶんと前がら赤字が続いてんだ!
(修造)あいや〜
(道子)絵だけうまくても漫画家にはなれないのよ田舎帰って親孝行でもしたら?分がったいいよお見合いすっから
(修造)んだけんちょもオメェ漫画家の夢どうすんだ?次の漫画だって古代ローマの勉強して…いいのいいのどうせ最後の悪あがきのつもりだったしやめるいいきっかけだなし
(女性)やめてくださいケイオニウス様こんな所でいけません
(アントニヌス)そなたを連れてきてもダメだったか陛下ご自身が元気になる意志を欠いているような気がします
(女性)ケイオニウス様どうかおやめくださいませ
(女性)んっん…
(アントニヌスの咳払い)
(ケイオニウス)ルシウス技師かこんな所まで赴くとはそなたも暇を持て余してるようだな
(アントニヌス)ケイオニウス殿の女好きにも困ったものだ彼は次期皇帝と言われているあのようなお方が…
(アントニヌス)まだまだハドリアヌス帝には頑張ってもらわねばああここだ故障しているのは何か詰まっているようですねところでルシウス殿そなたはどうしてあんなに落ち込んでいたのだ実は少し前に妻を失いまして友人に寝取られたのです情けない話です結婚して7年私は毎日のように妻から子供をせがまれましたそれがどんどん重圧になって…でも今はもっと構ってやればよかったと後悔して…おっおうっ…!ルシウス殿!ルシウス殿!
(歌声)うわあああー!
(リウィア)あなたのせいよあんなに子供が欲しいって言ったのにリウィア!リウィア!リウィアー!
(女性たち)どうか子供ができますように金精の神様〜!やや子をー!
(老婆)御神体が現れよったぁ〜
(男たち)ほいサァほいサァ!今年こそめんこいやや子をお授けください〜おねげえします金精様!ほいサァほいサァ!はっ…!金精様じゃあ〜!
(女性たち)金精様ぁ〜!うおおお!ああああーっ!ハァ…ハァ…平たい顔の子供!イテッ…檻の中に閉じ込められてるのか!ああっ…
(伊丹)あの〜今日はお見合いをしてくださっちありがとうございましたあの…いがったら結婚さ前提に付き合ってくんねべか
(ルシウスの叫び)
(真実)ん?
(伊丹)え?
(真実)ん?
(伊丹)え?
(ルシウスの叫び)
(真実)んん?なしてこんなとこまで!
(伊丹)ああ〜
(伊丹)あ…鍵!
(伊丹)おぉおぉおぉ〜ハウス!ハウス!早く出て早く出て!ほらあ…タオルと着替え取ってくっから待ってっせ待ってっせオメェも来ぉこれは!そうか平たい顔族はワニの養殖も行っていたのか!もしかするとここにナイルをひもとくヒントが…
(ラテン語)相変わらず気が利かない奴隷だちっと!ちっとお…下ろして…
(名倉)運命の赤い糸じゃあ!あうっ…あイッタ〜うう…何すんの!なるほど!管を張り巡らせて室温を上げることでナイルと同じ温度を保とうとしているんだなこれなら南国と同じ植物も育てられる
(真実)もしかして食べたことないの?む!これは…なんともまろやかな口当たりふわふわとして全く果汁の出ないこの食感ねえ…あなた本当に古代ローマ人?優しい風味食べれば食べるほど滋養が染み込んでいくようなコクのある味わいこれはもしや皇帝がナイルで召し上がったというあの果実ではないか?この粒で果実がなるというのか!これがあれば皇帝も元気を取り戻せるはずまいっかこの格好どうにかしよう
(真実)あーダメ!飲むもんじゃない
(真実)ジャジャーンうわおいしそう!はいん〜ふ〜ん〜ああ〜もお〜はいむんんんーっ
(真実)あぁ!すごい!ねぇねぇ見て見てすごい!んん?あっ!
(ラテン語)
(真実)ちっと待ってってローマ帝国の未来を紡ぐ貴重な果実を!
(猿)キキーッ
(ラテン語)どこだ?どこに行ったんん?これは…野外風呂ではないかはぁ…壁に囲まれた人工浴場では決して味わえない開放感だん?あった!ああっ!あれなくしてはローマに帰れぬローマ帝国の存亡があの果実に懸かっているのだ!ぬおおお…うおおーっ!
(アントニヌス)ルシウス殿!ハァハァ…
(アントニヌス)大丈夫か!ああ…果実が!ハッ…ハー…はっ!ハー…あった!
(ハドリアヌス)ナイル風テルマエとは考えたものだなこれでいつでもアンティノーを思い出せるしかもこの設備のおかげでワニまで生気を取り戻したそしてこの果実ナイルで味わったあの味そのものだ礼を言うぞルシウスありがたきお言葉表情が冴えないな
(ハドリアヌス)何かあったのか陛下には真実を打ち明けます実はこのナイルを再現した仕組みもそしてその果実も本当は平たい顔をした…
(兵士)陛下!北方の蛮族による反乱が現地では抑えられないほど勢力を増している模様ですよしすぐ出かける支度をしろ
(兵士)はっ!
(真実)ドナウ川の刻印…ってことは…
(真実)ローマは長い間ドナウ川北岸を居住地としていた蛮族に苦戦を強いられていた
(兵士たちの雄叫び)
(真実)その戦いは3年にも及んだ
(セウェルス)敵は海外からも志願兵を集めているようですそれに引き換え我が軍の疲労はピークに達しておりますここまで苦しめられるとはな…
(兵士)大丈夫ですか!
(使者)ルシウス・モデストゥス!皇帝からの書簡を預かってまいった
(ハドリアヌス)親愛なるルシウスよ突然このような手紙を受け取って戸惑っていることであろう私も年を取ったそろそろ後継者を考えねばならないそこでケイオニウスを養子に取ろうと思うケイオニウス様を…
(ハドリアヌス)ケイオニウスには最初の事業として民衆向けの大浴場を造らせようと思っているその建造をそなたに任せたい過去の皇帝のものを凌駕したすばらしいテルマエを造ってもらいたいそうすればケイオニウスに対する民衆の支持も得られる頼んだぞ
(ケイオニウス)そなたはローマいち美しい女性だ
(女性)ケイオニウス様ったらお上手です
(ケイオニウス)本心から申している遅くなりましたケイオニウス様ご苦労だったそのお方は?
(ケイオニウス)そこで知り合ったんだ気にする必要はないここに私のテルマエを造るそうだなはい
(ケイオニウス)皇帝も困ったものだたかがテルマエの建設で民衆の心を掴もうなんてお言葉ですがテルマエはローマ人にとって欠かせないものです風呂なんてどれも一緒だろうどうせなら豪華絢爛なテルマエを頼むあの…もし私がテルマエ造りを辞退したら…それは皇帝の意に背くことになる反逆行為と見なされて極刑になりうる重罪だあのお方のためにテルマエを…あなたは確かテルマエ技師の…貴様のせいで私の仕事は激減した何の話だ?うるさい!んむっ!やあっ!
(ヴィルトゥス)ううっ腰が!うわあああーっ!ハッ!
(修造)あいや目ぇ覚めだがよ
(最上)いがったなぃずいぶん床が暖かいな地熱かあれ?腰が痛くない…ハッ…
(修造)大丈夫かい?ああっ!
(一同)はあー…ありゃ〜
(館野)腕やられたみでぇだなぃオンドルは血行促進にはいいけんちょ…この傷だったら隣の炭酸水素塩泉がいいがもしんねなぃ
(一同)んだな行くで行くでここは?す…すごい傷だ!ローマでもこれだけの傷を負って動ける兵士はおらぬきっと百人隊長あたりの地位に違いないヤーサンはトラックにはねられっち大変だったんだオラもほーら大工の現場で屋根から落っごっちまってここは負傷兵専用のテルマエか前に入った時にはその開放的な様式に目を奪われて気づかなかったが先ほどの地熱やこの鉱泉には傷や病を治す効力があるようだほらほら温泉玉子だ食べっせ食べっせ
(一同)ほらほら初めてがなぃ?うまっ!
(大西)いやぁいい〜なぃその顔うめえ物には国境はねぇ!んじゃったらドブロクもいってみっか?酒か
(修造)グッといけグッといけ毒だ毒を盛られた!
(館野)あ…くさっでるさすが百人隊長!やはりただ者ではない玉子で油断させるとは敵ながらあっぱれ!
(ラテン語)
(ルシウスのうめき声)
(ラテン語)
(真実)どうしたの?ちと!
(ラテン語)
(真実)毒!ぐえっ…あぁ?ルシウス…いかんさっきの酒がいまごろまわってきた…ハァ…あっ…ケイオニウス様やっと気づいたか散々な目に遭ったようだな面目ありませんところであの女性は何者だ
(真実)ん〜…ん…んっ…ここは…?ローマだ
(真実)え?ウソでしょ…?ローマ人ではないのかふむ…だが美しい喜ぶがいい私の目にかなったぞケイオニウス様!この女連れていくぞえ?ちょっと…放してくださいやめてよちょっと放してください!
(アントニヌス)どうされました?アントニヌス様アントニヌスってあのアントニヌス?ケイオニウス殿何をなさってるんですか
(真実)ケイオニウスってあのケイオニウス?あなたには関係のないことだ放してよ!
(アントニヌス)嫌がってるではありませんか
(ケイオニウス)何をする…離せこのままで済むと思うなありがとうございました礼には…及ばぬルシウス殿ケイオニウス殿のためにテルマエを建設するというのは本当かその件ですがお断りしようと思っていますそなた自分が何を申しておるのか分かっておるのか皇帝の頼みを断れば死罪だぞもちろん承知しております
(真実)ちょっと待ってよ本気で戦地へ行くつもり?なんで断んなきゃいけないの?納得できない仕事なんて誰だってあるよそれでもみんな我慢してやってるの私の国なんかそんなことばっかりだよだとしたら悲しい民族だな私はテルマエ技師の誇りを持ってる自分の意に反してまで風呂を造ることはできないなに意地張ってんの殺されるんだよ!離せ離すわけないじゃん死んだらおしまいなんだよもっと自分大事にしなよ自分を大事にしてるから行くんだ己を殺してまで生きたくはない!ルシウス!
(議員)皆の者!パンノニア属州へ新たに赴任する者を発表するパンノニア属州の総督としてこの度アントニヌス議員が任命されたえっ…!
(修造)どごさ行っちまったんだべな〜
(館野)うっ!くさっでるぷぇっ!
(最上)あいや!真実ちゃんの…
(岸本)まさか溺れて…
(修造)あ!真実真実!真実真実!真実真実!どこだ?うわああー!
(一同)あああ〜!オヤジ!大丈夫がー?オヤジィー!
(修造)深ぇぞ深ぇ〜
(一同の悲鳴)
(百人隊長)敵は続々と援軍を増やしているいいかこの作戦を前線で戦っている部隊に伝令するんだ
(兵士)皇帝陛下ルシウス技師が参りました
(ハドリアヌス)どうしたのじゃそなたには重要な仕事を任せたはずだ実はそのことでお話があって参りました私にはケイオニウス様のためにテルマエを造ることはできません申し訳ございません!“ケイオニウスを”“皇帝とは認めない”そう申しておるのかご無礼は重々承知いたしております罰を受ける覚悟はできています分かったもうよいそなたには救われた恩がある陛下…
(ハドリアヌス)ただし二度と私の前に現れるな!連れていけ
(兵士)来い!暖かい…すっぱいあの鉱泉と同じだ
(百人隊長)まだおったか早く立ち去れここで死にたいのか行けほら行け邪魔だ
(ドアの開く音)
(真実)よかった〜生きててんんっ…苦しいご…ごめん私の留守中に何か変わったことはなかったかそういえばアントニヌスがパンノニア属州に行くことになったのしかも5年5年は長いなやっぱり私のせいだよねケイオニウス様が裏で手を引いていることは間違いないだろうだが身分の高い者はいずれ属州へ派遣されるものだ気にする必要はないちょっと待ってねえ今何年?135年だが
(真実)ハッ…ってことは140年まで…どうしよう歴史が変わっちゃう!本当だとパンノニア属州へ行くのはケイオニウスなのそこで疫病にかかって亡くなって代わりにアントニヌスが皇帝になるそれが史実なのアントニヌスが?でもこのままだと皇帝になるのはケイオニウス何を言ってるのかさっぱり分からんちゃんと聞いてアントニヌスが後継者にならなきゃハドリアヌスは神格化されないんだよどういうことだハドリアヌスは元老院に嫌われてるでしょだから彼の神格化を反対するのでもアントニヌスが説得してハドリアヌスの神格化を認めさせたのそんな話信じられるわけがないだろうそれでも信じてもらうしかないの神格化されなければ皇帝の業績は一切抹消されるそれだけじゃないハドリアヌス帝は後世まで愚かな皇帝という烙印を押されるんだよケイオニウス様!お伺いしたいことがございますあなたが後継者になられたらハドリアヌス帝を神格化していただけますか?皇帝は元老院と対立している神格化は難しいかもしれんなお前は私に何を望んでいるのだ私のテルマエを造りたくないと申したそうだなそんな私に何を願う愚かな男だ一時の感情で将来を棒に振るとは今となってはそなたに才能があったか甚だ疑問だどんな手を使って名声を手に入れた?ふんとんだ食わせ者だったというわけか
(雷鳴)
(真実)ルシウス…大丈夫?
(ローマ人)あのー…ルシウス技師ですよねこんな所でお会いできるなんて!あなたのテルマエは最高ですビン詰めの牛の乳なんて病みつき…やめろ!私はそなたたちが思ってるような男ではない
(真実)ちょっと待ってよ!ねえ!ルシウス!私は無能だ私が皇帝にお仕えできる立場にあったのもそなたたちのテルマエを模倣したからにすぎない私はただ技術を盗んだだけの男なんだ
(真実)本気で言ってんの?じゃあ聞くけどなんで何度も溺れたりしたの?期待に応えようって無我夢中で考えてたからじゃないの?あなたが悩んでもがいた末に私たちの世界を見たんならそれはあなた自身の手で導き出した答えなんだよあなたは無能なんかじゃない何も恥じることなんてない!アントニヌス様のパンノニア行きさえ阻止できればすべては元通りになるんだなきっとルシウス殿一体どうしたというのだアントニヌス様大事なお話がありますここの山を越えて我が軍は敵の背後から…
(兵士)何をする止まれ!
(兵士)貴様!
(セウェルス)ルシウス!貴様何しに来た
(ハドリアヌス)ルシウス私の言葉を忘れたか申し訳ありませんしかし今日はアントニヌス様からの伝令をお伝えに参りましたアントニヌスの?アントニヌス様からここにテルマエを設置してはいかがかという提案を受けました戦場に…?兵士は疲労困憊しておりますこの地には人間の傷を治癒する効力を含んだ鉱泉があるのです
(セウェルス)バカな!風呂にそんな効果があるわけないだろう本当です兵士さえ回復すればローマ軍の勝利も見えてまいりましょう分かったアントニヌスの提案を採用しようではないかでは早急に取りかかります
(ハドリアヌス)ルシウスそなたの考えではないのかいえアントニヌス様のお考えですそうか
(真実)本当にここに温泉造るつもり?ああこの戦に貢献できればアントニヌス様は支持されてパンノニア行きも撤回できるはずだ兵士たちも憔悴しきってるやるしかない
(兵士たちのうめき声)
(兵士)うっ…あううっ…
(真実)はぁ…こんな状態じゃ造れないよ
(うなり声)父ちゃん!
(修造)あいやいやいやいやいや…真実?
(真実)なしてここに?
(修造)分がんねえよぉオメェ溺れで目ぇ覚めだらもう戦場の真っただ中でオメェこの有り様だぁだげんちょオメェ生ぎででいがっだなし父ちゃ〜ん!
(岸本)いやぁ!そうとも限んねぞみ〜んな命落どしてここがあの世っつうこともあっぺばあちゃんはどごにいるんじゃあばあ〜ちゃん…長老長老!ここはローマ紀元135年の古代ローマ
(一同)まさがぁ〜
(真実)ホントだって!
(修造)だけんちょオメェあれ…な…何してんだい?温泉造ってんの温泉?な…なして?ローマの危機救うため!
(一同)まさがぁ〜ホントだって!無理に決まってっぺこっだらどこさに温泉造るっち何年かがっど思ってんだいけどやんなきゃいけねんだここの鉱泉生かして湯治場造んねぇとみんなの傷が治んねんだ!
(修造)傷?
(兵士のうめき声や咳)
(修造)クンクン…
(修造)あ…!ほっだらオメェオンドル小屋造ったらいいんでねぇがぃ?
(真実)え…?オンドルならほらほら!小屋おっ建ででゴザ敷いだら出来っぺあいや〜!その手があった!
(岸本)小屋造ればいいってタテに並べ…
(真実)そうすっと下がすごく暖かいから休めんの傷が治んだ
(修造)これ湯気湯気傷治る病気治るえいっ!イヨッ!
(一同)よいしょよいしょ…それにしてもなぜ彼らは手伝っているんだ自分の名誉にもならないことを…平たい顔族の考えてることは分からん
(岸本)せーの!
(一同)よーいしょ!彼らは常に行動を共にし個人というものを犠牲にする彼らには自分の名誉などよりも優先すべきことがあるというのか
(真実)教授
(最上)え?
(真実)どうだい?大丈夫?
(最上)あぁーっ!ほらあ!温泉だよー
(真実)温泉が出てるってこれ!
(最上)やった!はははぁーっ!ほら!
(岸本)まずは一棟!ご苦労さん
(一同の歓声)
(真実)出来たー!
(戦いの雄叫び)
(兵士たちのうめき声)
(セウェルス)ここにきて反乱軍が勢いを増してきました敵に盛られた毒が抜けずに兵士たちが力を出しきれてないのかと
(修造)おーうこのオンドル小屋で休め
(真実)みんなここオンドルにこの中に…あとはあの者に託すしかないということか…
(真実)長老!
(セウェルス)陛下!兵士たちが病から回復し続々と戦地に戻っております!負けねえよおっさん!
(真実)ちゃんと前見で
(大西)さあ出来たかな?さあこの鉱泉を飲むんだほら飲んでみろうまいもんだな
(真実)入浴の心得を絵で説明しようと思って実はねえ漫画…んー絵の仕事に就きたかったのでも全然ダメでそれで諦めてお見合いしようとしたらそこにあなたが現れて…私もまだまだもがいてみるよありがとう出会えて本当に……って聞いてねぇのがよ!フーッあ…うん?
(兵士)ローマ帝国…
(全員)万歳!
(修造)似合ってるよかったぁ万歳!
(修造)温泉万歳!
(兵士たちの歓声)まさか…風呂で傷が治るなんてなああこの玉子も絶品で元気を取り戻したよ
(一同の歓声)これでやっと妻の待つローマに帰れる
(真実)あ…!北極星…あれは道を示す星だ旅人が道に迷った時あの星が道を教えてくれる
(真実)そっかあ…2000年前からあるんだあは…そうだよねハドリアヌス帝の偉業も残っているのか?もちろん世界中が知ってるよそうか…きっとあなたが造ったテルマエも残ってる私はハドリアヌス帝の名誉が守られるだけで十分だ
(修造たち)うわ!いででで…煙が染みっちゃ〜涙がぁ〜そなたには感謝せねばならんなえ…?そなたのおかげで私は自分を取り戻せたちょっとやめてよそなたの言葉を借りれば“私もまだまだもがいてみるよ”聞いてたんだ…ありがとう出会えて本当によかったずるいよこんな時に初めて笑うなんて反則だよ
(真実)何これ…そうかそういうことか私がそなたの国からローマに戻る時必ず涙を流していたはっ…ってことは帰っちゃうってこと?そっか…また会えるかなきっと会えるローマの道はすべてに通じているのだからうん
(修造)おいここどこじゃい?
(修造)よかったなぃ〜
(岸本)懐かしいなぃ
(戸が開く音)
(由美)何やってんだいそんなとこでぇ!まぁたバカなことやってんのがよ?ほれさっさと上がっせ!
(修造たち)はーい…へっへへへへ…ハハハハハ…
(ハドリアヌス)我がローマ軍は見事に反乱を鎮圧することができた
(歓声)この勝因は皆の働きにあった!
(歓声)中でも戦場にテルマエを造ったアントニヌスを称えたい前へそなたのすばらしい働きに感謝する望み通りパンノニア属州へは別の者に向かわせるそなたはローマに留まるがよいありがたきお言葉
(ハドリアヌス)そしてもう一人そのテルマエを造った人間を皆に称えてもらいたいルシウスモデストゥス!これへ!私がそなたのウソを見抜けぬと思ったか大儀であった!私の力ではありません皆の代わりとしてありがたく頂戴いたします!
(拍手と歓声)ルシウス!おめでとうルシウス!
(編集部女性)野尻さんこんなんでどうですか?
(野尻)あちょっと左少し上げて
(女性)はい
(野尻)はーいいいよまた会えるよね
(水しぶきの音)
(男の声)ハァ…ハァ…ぐっ…ぐっ…ハァ…あ!ここは!
(さんま)明けましておめでとうございます。
(今田)ことしもよろしくお願いします。
2018/01/13(土) 21:00〜23:10
関西テレビ1
土曜プレミアム・映画「テルマエ・ロマエ」[字][多][デ]【阿部寛・日本アカデミー賞受賞作】
古代ローマ人が現代の日本の銭湯にタイムスリップするという奇想天外なストーリーで、興行収入59.8億円の大ヒットを記録した話題“沸騰”作が新春に登場!
詳細情報
番組内容
古代ローマ帝国の浴場設計技師ルシウス(阿部寛)は、生真面目すぎる性格が時代の変化に合わず、職を失ってしまう。落ち込む彼は友人に誘われて訪れた公衆浴場で、突然現代日本の銭湯にタイムスリップしてしまう。そこで出会ったのは、漫画家志望の真実(上戸彩)ら、「平たい顔族(=日本人)」。日本の風呂文化に衝撃を受けたルシウスは、古代ローマにもどって、そのアイデアを使い大きな話題を呼ぶ。
番組内容2
タイムスリップを繰り返すルシウスは、浴場技師としての名声をローマで得ていく。その評判を聞きつけた時の皇帝ハドリアヌス(市村正親)は、自分の後継者にと考えているケイオニウス(北村一輝)のためにルシウスに大浴場を作るよう命じる。次第にルシウス、そして真実までもがローマ帝国の運命に深く関わっていくことに…。
出演者
阿部寛
上戸彩
北村一輝
竹内力
宍戸開
笹野高史
市村正親
ほか
スタッフ
【原作】
ヤマザキマリ「テルマエ・ロマエ」(エンターブレイン刊)
【脚本】
武藤将吾
【監督】
武内英樹
ジャンル :
映画 – 邦画
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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