――ビットコインを使って商品を購入した場合はどうなるのでしょうか?
ビットコインを「別のものに交換」したことになりますから、ビットコインの取得時価と、購入した商品の時価の差額を計算し、購入商品の時価の方が高かった場合は、差額が所得として課税対象になります。
ただ、「商品の時価」が難しい。上場株式や為替の場合は東京市場の終値が時価の基準になっていますが、商品の場合はそういった基準も存在しません。
例えば、ビットコインを使ってビックカメラでPCを買った場合。時価は(1)ビックカメラが円建てで表示しているPCの価格、(2)ビックカメラがそのPCを仕入れる価格、(3)PCメーカーの製造原価、(4)ほかの家電量販店の販売価格――これらすべてです。
所得を計算する際、(1)のビックカメラの円建て価格を採用すれば一番簡単ですが、(1)~(3)の中で最も高い価格になると考えられるため、所得を圧縮して税金を減らしたい場合は不利です。
自分なりに理論武装し、(2)や(3)の価格を採用できれば、所得額は圧縮できます。ただ、理論・根拠がしっかりしていなければ、税務調査で「この時価は不適切だ」と否認される可能性もあります。
――経費はどうでしょうか? 利益から経費を引いて、所得額を圧縮することはできますか?
できます。
――どんなものが経費になるのでしょう?
経費は「その収入を得るために、直接必要だった費用」とされています。納税者が「これは仮想通貨取引に必要だから買ったのであり、経費だ」と思ったら、経費として申告できます。
税務調査が入り、職員が「それは経費ではない」と判断すれば、ダメ出しをしてきます。何が経費かは、納税者と税務署が決めることです。「へ」が付いても理屈が付くなら経費になる可能性はあります。思いつく限りの経費を計上して、利益つぶすのも一つの手です。
――では、仮想通貨取引に使っているPCやディスプレイ、仮想通貨に関する書籍、仮想通貨について情報交換した飲み会の代金……なども?
理屈が付けば、経費にできる可能性はあります。
――購入したPCやディスプレイは、ビットコイン取引にも使っているが、趣味や仕事にも使っている――という場合も経費にできますか?
その場合は「家事按分」を行えばいいでしょう。ビットコイン取引と、趣味や仕事での私用分の割合を出し、取引で使用する比率分のみを経費に計上することになります。
――経費にするには、領収書が必要ですよね?
基本的には領収書が必要です。オンラインのサービスを利用した場合な、領収書が出ない場合は、支出した内容が分かる資料を用意しておいてください。
――来年以降の確定申告をラクにするには、どういった手がありますか?
仮想通貨を買った値段と売った値段を分けて記録しておくといいでしょう。また、すべての仮想通貨を年末に円に戻しておけば、投入した金額と年末の残高との差が利益になるので、計算はラクになります。
利益が出ていて、勤務先が副業OKなら、仮想通貨投資を「事業」として行うことにし、開業届を出して青色申告の準備をするのもおすすめです。雑所得ではなく事業所得にできますし、青色申告特別控除(65万円)が受けられたり、家族に給与を出すことができるなど、雑所得にはないさまざまな特典があります。ただし、反復継続的に行っていないと事業として認められない場合もありますし、詳しくは税理士に相談するといいでしょう。
仮想通貨取引を本格的にやっていて、年間600万円以上の利益が継続的に出そうなら、法人を設立するのもお勧めです。最高税率は法人税の方が所得税+住民税より安いし、損が出たときにほかの事業と通算でき、9年間も繰り越しできるなど、青色申告以上にメリットがありますから。
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