前にも書いたが、わたしが東京に来たのは昨年の10月でありまだ3ヶ月目であって、そしてフルタイムの定職に就くようになったのも同じ時期だ。
京都に住んでいた頃は、大学院を卒業してから28歳になるまでほぼほぼずっとフリーター生活を過ごしていたし、いちばん仲の良い友人も似たような境遇だった。定職に就いている友人も何人かいたが、ややブラックな環境に勤めている人が多くて、給料の安さや仕事のしんどさに対する愚痴をたまに聞かされたりはしたが、お金に関する生々しい話をされることはなかった。
しかし、東京に来てからというもの、新しく知り合った人間がことごとく金の話をしてくるのでややうんざりしている。特に女性から金の話を聞かされることが多くて、なんかみんな自分の給料に不満を抱いていて会社の愚痴を言って転職したい転職したいと言ってくるし、株だとか投資だとかマルチだとか起業だとかビットコインだとかの話をしてくる。
まあ東京なだけあって自分のやりたいこととか夢とかを野心とかを持っている人が多いようで、やりたいこととか夢とかを野心とかを達成するためには先立つものが必要だからお金に対する意識が高くなるというのもわかるのだが、私としては東京に来て新しい会社に入ったばかりなんだから現時点で転職の話とか投資の話とかをされても困るし、少なくともあと1〜2年ほどはラクな会社でぼんやり働いていたいし、あまりモノを買わずに休日も近場のメシ屋とか宅飲みとか公園とか図書館とかネットとかNetflixで満足するような生活を過ごしたいと思っている。
「お金を貯めておかないと万が一の時に困るよ」とか「ずっと会社員として低賃金でこき使われるつもりなの?起業して経営する側にまわった方がいいよ」とか「今の時代いつクビになるかわからないんだからスキルを身に付けるかお金の運用をするべき」とか言われるのだが、私もバカじゃないんだから貯金はしておいた方がいいなんてこと言われるまでもなく知っているしでもできないんだから貯金しないんだし、リーダーシップもアイディアもないんだから起業なんてできる人間じゃないなんてことは自分がいちばんよく知っているし、株とか投資とかはリスクが高過ぎて怖過ぎて手が出せないし、要するにこういうセリフを聞かされても私の行動が変わることはなく、ただ気分が落ち込んでストレスを溜めて時間を無駄にするだけなのだ。
あと、明らかに能力が足りていなかったり人格に問題がありそうな人ほど「今の会社は私の価値に見合った賃金を出していない」とか「私はこんな生活で満足する人間じゃない、投資や資格で一発逆転する」みたいなことを言っていて、分不相応な野心を抱いている感じが他人事ながら心配になる。
しかし東京に来たからには野心や夢を持っているべきであるような気もするし、というか、野心も夢もないのにわざわざ日本で一番家賃が高い地域に引っ越してくる方がおかしいような気もする。私としては、人生で一度は都会という場所に住みたかったのと、友人が東京に住んでいるのと、あとたまたま受かった会社が東京だったからという理由で引っ越してきただけで、特別に何かやりたいことがあって東京に来たという訳でもないのだが。
まあ東京はとにかく家賃も物価も高いしで、こんなところに住んでいたら金の亡者になるのも仕方がないかなという気もしなくもない。こんなことを書いている私も、数ヶ月後にはお金を儲けるために血眼になっているかもしれない。
そういえば、東京に来てからというもの、占いが好きな人にもやたらと多く出会っている。というか、夢や野心を抱いていて投資をしたがっている人間には占い好きも多くて、もう投資と占いという組み合わせが現実見えていない感じがして最悪だと思う。あと私は自分が科学的で理性的な思考をして生きており非科学的なものを一切信じていないことに誇りを抱いているし、冗談であっても周りが占いの話で盛り上がっていると微妙な気分になる。