どうしたらいい!?「すぐ怒る人」への対処法
コミュニケーションスタイルの癖を知る
完璧な人間というのはそういないもの。誰もが何らかのコミュニケーションスタイルのクセを持っています。「すぐ怒る」というのも、コミュニケーションのクセの一つです。怒りをぶつけられることで頭が真っ白になってしまう人、威圧されてしまう人にとって「すぐ怒る人」というのはシリアスな悩みの元凶でしょう。
しかし怒るのが単なるクセの一つだと認識すれば、委縮や苦しさが軽減する場合もあります。すぐに怒る人だけでなく、他のタイプの苦手な人も、相手のコミュニケーションタイプのクセに過ぎない、と認識することが、気持ちを楽にできる第一歩になります。
どんな時に怒り出すのか観察する
「怒る」という行為を「コミュニケーションのクセ」と定義づけした後は、相手を観察してみましょう。すぐ怒る人も何の原因もなく怒り出すわけではありません。怒りのコミュニケーションスタイルが出る時には、タイミングや言葉など何らかのスイッチがあるはずです。すぐ怒る人へどのように話したらいいかを考える前に、どんな条件が揃った時に怒り出すのか、相手を観察してみましょう。観察には2つのメリットがあります。
観察の2つのメリット
1つめのメリットは「観察する」と考えることで、怒る相手に威圧されたり、雰囲気にのまれたりといった影響が少なくなることです。自分が怒られていると受動的に考えるのではなく、どんな条件が揃って怒り出したのか観察するという能動的な考え方にするだけでもストレスの度合いが変わります。2つめのメリットは、どんな時に怒り出すのかを知ることで、コミュニケーションの対策が立てやすくなることです。相手がなぜ怒り出したのかという背景には「ないがしろにされた(気がする)」「ルールを守らない(ように見える)」等の理由があります。それらを知ることによって、今後の話し方・伝え方の対策が立てやすくなるのです。
相手を増長させない態度とは?
「すぐ怒る」というコミュニケーションスタイルのクセがついた要因の一つに、「怒ることで相手が思うように動いた」といった成功体験があることが挙げられます。相手の癖を増長させるような態度、怒られるとすぐにいうことを聞く、委縮するといった態度はとらないようにしましょう。
謝罪すべきシーンではきちんと謝罪することが大事ですが、必要以上に委縮するのは、相手の間違ったコミュニケーションスタイルを肯定することになりかねません。「委縮」を伝える非言語コミュニケーション(例:目をそらす、下を向く、慌てる)には特に気をつけるようにしましょう。
そのためには、堂々とした非言語コミュニケーション(例:相手の目を静かに見つめる、胸を張って立つなど)をするのが一番です。「ご指導ありがとうございました」「勉強になりました」という一言を付け加えれば、毅然とした態度をとっても失礼にはあたりません。
タイプ別プラス一言で未然防止
■思い通りにいかないことで怒り出すタイプ
このタイプの人の対処法としては、指示の確認というのがあります。自分が思う通りに作業されないことに怒りを感じるわけですが、指示する側が具体的に指示を出せていないケースがほとんどなので、このタイプの人から指示を受けた場合には次のような一言をプラスするようにしましょう。
「○○という理解でよろしいですか?」
「確認ですが○○というやり方でよろしいですか。」
「中間報告なのですが、この方向で間違いないですか。」
■報告・相談が足りないと怒り出すタイプ
このタイプの人は報告・相談が少ないとマジメに仕事をしていないように感じます。「ないがしろにされた」ように感じることにも怒りを覚えるタイプですので、次のような一言をプラスしましょう。
「おかげさまで無事に○○終了しました」
「アドバイスのおかげで××できました」
「△△の節はありがとうございました」
■怒ることで威厳を保ちたいタイプ
このタイプの人は、仕事がデキる、尊敬されているということを、相手に言うことをきかせる(怒る)という行為で体現したがります。怒られても思うようには動かない、別のところで尊敬を表現するという地道な繰り返しと共に、次のような一言をプラスしましょう。
「○○については、おっしゃる通りだと思います」(全面的に言う通りにはしないが、一部肯定で相手の立場は尊重する)
(怒っていないシーンで)「○○さんの、××なところは尊敬しています」
怒りをぶつけられることはストレスになります。とはいえ、相手の行動を変えるということは難しいのが現実でしょう。
まずは受け止め方や解釈を変え、ストレスの軽減に努めましょう。感情的になってしまっては、いい伝え方・話し方が思い浮びません。コミュニケーションスタイルの癖がある人からストレスを受けた時こそ、冷静に一呼吸おいて、相手のタイプを考えながら話し出すようにしましょう。
(文:藤田 尚弓)