問題解決力、問題発見力に加えて
今、必要な「課題設定の力」
最新号は「課題設定の力」を特集しました。ロジックツリーやMECE等を活用する論理的な「問題解決力」。消費者が気づかないニーズを見出し需要創造する「問題発見力」。これらに続き、企業や人の活動の価値を向上させようとするのが、今求められる「課題設定の力」です。
クリエイティブであると
自信を持つことが肝要
ロジックツリーやMECE(本誌p.87参照)などの考え方が広まり、論理的に「問題解決」していく人が増えています。
一方で、多くの分野で市場の成熟が指摘され、そのブレークスルーが求められ、「問題発見」という方法が論じられます。消費者が気づかないニーズや企業活動で潜在する問題を発見することで、需要を創造したり活動を効率化したりするものです。
これらの考え方をより実践的に深めていくのが今号の特集です。解決すべき課題は何かを見極め、「課題設定の力」を高めることが、企業や人の活動の付加価値を向上させていきます。
特集は、「そもそも解決すべきは本当にその問題なのか」という問いかけ論文から始まります。読者の皆さんは、ご自身が古いオフイスビルのオーナーだったとして、エレベーターの動きが遅くて待ち時間が長いと多くのテナントから文句が来た場合、どうすべきだと考えますか。この問題への対処策を含め、創造的な解決策を見出す方法として「リフレーミング」を論文では推奨します。
特集の第2論文は、近年、注目を集める「デザイン思考」を提唱するIDEOの日本支社のディレクター、野々村健一氏の「IDEO流問いかける力」。野々村氏がIDEOで仕事をするようになってどう変わったかを追体験する形で、そのユニークな発想法を知ることができます。
「自分の中で閉じていた回路が開かれていく」「問いかけをつくる力はクセや習慣に大きな影響を受ける」「誰もが自分はクリエイティブであると自信を持つ」などワクワクする話が続いてきます。
第3論文「リニア思考の罠から逃れる4つのステップ」では、課題設定以前に知っておくべき、直観の誤りを指摘します。特に、人は変化がリニア(線形)に起きると思い込みがちだが、現実はしばしば違うことを示します。もし読者の皆さんがリニア思考の罠に陥っているとしたら、この論文を読んでそこから脱するだけで、問題解決の方向性を修正できるという即効性があるでしょう。
ビッグデータ時代に入り、意思決定におけるデータ依存度がますます高くなっていますが、重要な点は、データから何を読み、データで何を伝えるかです。その手法として「データの可視化」の意義を説くのが、4つ目の論文「ビジュアル・コミュニケーション:データの可視化で解を導く」です。
特集5番目「課題設定は意志から始まる」は、元マッキンゼー東京支社長の横山禎徳氏による特集の総括的論考です。骨太であって、実践的です。第3論文が指摘する通り、現実の社会で多い変化は非リニアです。いくつもの要因が相互作用し、問題は動的です。変化が変化を誘引する循環構造となり、中核課題が見つけにくい。こうした難題に挑む方法を順序立てて解説していきますが、解決成功の肝は意志にあると主張します。
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