3 Lines Summary
- ・JR信越線の普通列車が15時間にわたって雪の中で立ち往生
- ・立ち往生した場所の周囲は雪に埋もれ、車内の方が安全と判断
- ・乗客はお互い助け合いながら時間を過ごす
雪で立ち往生の電車は午前10時半頃に運転再開
11日午後7時前、新潟・三条市東光寺で、新潟駅から長岡駅に向かっていたJR信越線の普通列車が、線路上に積もった雪の影響で走行中に停止した。
JR東日本新潟支社によると、列車内には、12日午前6時段階で乗客およそ430人が取り残され、体調不良を訴えた乗客4人が病院に搬送された。
JRは午前10時半頃に除雪作業を終え、ようやく運転が再開された。
停電や停車を繰り返していた電車
この電車、寒波の影響でダイヤが乱れ、普段より大勢の乗客が乗っていたという。
本来であれば、新潟駅を午後3時7分に出発する予定だったが、1時間以上遅れて長岡駅に向けて出発した。そのため、この電車には帰宅途中の高校生なども含め、定員510人のうち8割にあたる約430人が乗るという混雑ぶりだった。
また雪の影響のため、通常であれば1時間程度でつく現場に、途中で所々停車をして、電車の上に積もった雪を下ろす作業をしながら、2時間半近くかけて到着したという。
降りて来た乗客に話を聞くと「停車した時に衝撃などはなかったが、その前に何回か停電が起きていた。その影響で2回くらい電車が止まり、案内表示なども消えていた」とやや疲れた表情で話していた。
なぜ乗客は電車から降りられなかったのか
立ち往生した電車は、実はJR信越本線の東光寺駅からおよそ300mしか離れていないところだった。
この距離だったら歩いて駅まで行けるのではと思うが、この駅は周囲が田んぼに囲まれた無人駅で、JR東日本新潟支社によると、雪の影響で駅までバスが入れない上、急なことでバスが手配できなかったという。また、暗い中で線路上を歩くことは大変危険なため、中にいる方が安全とJRは判断したということだ。
午前4時半頃から、家族が迎えに来た人から、順次電車を降りはじめ、8時の段階で300人にまで乗客は減ったが、周囲の道路は雪で埋まってしまっていて、車では近寄れず、電車から数百メートル離れたところまで歩いて移動していた。
他の周辺の駅でも、運転を見合わせていた電車があり、その乗客に聞いたところ「立ち往生してから親と連絡が取れたが、雪の中で暗い道を車で行くのは難しいから、朝まで電車で待つように言われた」と10時間以上車内に閉じ込められた状況を話していた。
乗客は助け合いながら時間を過ごす
乗客たちの中には、「お腹が減った」「疲れた」とツイートする人もいたが、午前2時40分、立ち往生から8時間経ってようやく飲料水が届き、午前5時前には非常食も乗客の手元に届き、感謝のツイッターが相次いでいた。
車内ではどう過ごしていたのか。
実家に帰る途中だったという23歳の女性は「暖房やトイレなどは大丈夫でした。乗客の方はお友達とお話をしていたり、スマホをいじったり、そういう人が多かったと思います。
1時間に1回くらい除雪の状況などに関するアナウンスはありました。
除雪車をお願いする決断をするまでは2〜3人で手作業で除雪していたみたいでした。
いつ帰れるのかなとか、そういうことは不安に思っていました。ただ私が座っていた周りでは早く下ろしてほしいなどの声はありませんでした。
立っている人に関しては、周りの座っている人たちが席を譲り合っていたのでそこまで辛くはなかったと思います。
トイレは車内にあるものを使っていましたが、行列になっていました」と車内で助け合いがあったことを教えてくれた。
他の男性も「乗客のみなさんが明るくて、座ってる人が立っている人と変わっていたりして、車内がいい雰囲気だったから、乗り越えられたのかなと思います。いつまで続くんだろうという不安はありましたが、親切にしてくれた人がいて、不安も少しずつなくなり、良かったです」と当時の様子を振り返った。
鉄道アナリストの川島令三さんによると、この車両は新しい車両で、暖房がよく効くので車内は暖かいはずで、周囲は無人駅だということもあり、乗客を降ろさないという判断は良かったと思うという。しかし、できればこの大雪の中、電車を走らせないという判断をした方が良かったのではないかということだ。