久しぶりにヤクルトを買いました。
我が家はヤクルトって機会がないとなかなか買いません。
でもオーストラリアにいたときは1パック1000円ぐらいで売ってて超高級品!
手が届かないと思うほど欲しくなるのが人の常!!
帰国したら味が恋しくなってスーパーに駆け込み、懐かしくなったもんですが
「手が届く」と思ったら買わないものだなぁ。
ヤクルトの容器は面白い形をしています。
デザインのイメージは「こけし」。
「軽い」「すぐに割れない」「低コストで量産できる」
というメリットがあり、ヤクルトをヤクルトたらしめている!
このデザインは1968年生まれですが、
商標権が認められたのは2010年、つい最近。
今まではロゴなしの容器は「裁判所は認めんぞ!ゴラァ!」
っていう立場だったのを戦って覆しました!やったね、ヤクルトさん。
実は我が家の中古の天童木工コーヒーテーブルと同じ人がデザインしたですよ。
そう、この人剣持勇!
我が家では勝手に親しみを込めて「剣持警部」と呼んでいます。これって金田一の…?
剣持警部は戦後の日本のインテリアデザインの牽引者。
お役人を経て、柳宗理、通称「ソーリー」らと「グッドデザイン運動」を行い、デザイナーとして活躍。
(↑柳宗理 https://pin.it/jwoqugxe6eprba )
代表的なものは以下↓
ラタンチェア
ラタンをバーナーで熱しながらカーブを作り、
編み編みはすべて職人の手作業!!
スタンキングスツール
剣持警部は「空間」デザインを意識しつつも、
常に「量産化」してみんなに使ってもらうことを考えていました。
スタッキングツールは狭い空間でも上手に活用できるようにデザイン。
ソーリーみたく、カトラリーもデザイン。
あと、ダスキンのモップのトップ部分も。
https://www.duskin.jp/item/mop/floormop/dc000140/
面白いのがこれ。
チェア(1961)
なんだかいろんなものを彷彿とさせますね。
ヤコブセンのグランプリチェア(香川CONNECTさんにて)
それもそのはず。
剣持警部は他者から学んだことを取り入れて、発展させる日本のものづくりの気質そのもの。
素材やデザインをあの国やあの人から学び、
伝統と新しさのハザマで戦って、
日本の「モダン」を作り続けたファイター警部だったのだ!
嫁氏は剣持警部にお会いしたことがありませんが、警部のデザインにかける姿勢を見ながら探っていきます!
①他の人から学ぶ
剣持警部は実は嫁氏と同じイームズファンです!
夫氏「うそやろ!?」
本当!これを見たまえ!
最高のショット!
剣持警部は1952年アメリカに出張したんだけど、
実はイサム・ノグチさんとも仲良し。
彼の紹介状でイームズ夫妻と交流。
警部はこう言っている
「イームズは本当のアメリカ人だ。アメリカ人としての土の匂いをしっかり残している」(『一脚の椅子・その背景』より引用)
つまり、イームズはU・S・Aという国が象徴するように
開拓者精神で、FRPや整形合板といった新しい素材に挑戦し、
量産し、デザインや人の暮らしを変えようとしているということだ!
当時の日本は戦後間もない時期。
元敵に対しても「日本のデザインのために」と学ぶ姿勢は、警部のデザインへの情熱とひたむきさ、真摯さを感じます。
(『一脚の椅子・その背景』より)
ちなみに、イームズと仲良くなった警部はチャーリーを真似て蝶ネクタイをつけたりもしたらしい。おちゃめですね。嫁氏もやってみようかな。
その後、ミース・ファンデルローエや
マルセル・ブロイヤーとも出会った警部。
帰国して日本のモダンデザインのために「ジャパニーズ・モダン」を作ろうとする活動を行うも、
「このアメリカかぶれ!」
「あんたの言うジャパニーズモダンは迎合だ!」
などと痛烈に批判されます。
でも、警部の目指すジャパニーズモダンとは
「かぶれ」や「迎合」ではありませんでした。
②日本に合わせて発展させる
海外に住んでいる時こんなブラックジョークを聞きました。
(オーストラリアのボンダイビーチ)
「ドイツ人が発明し、アメリカ人が製品化、イギリス人が投資し、フランス人がブランド化、日本人が小型化もしくは高性能化に
最後の部分は特定の国に限らず、他国でもやる人はいるので賛否両論あり…
ただ、これは日本のものづくりの姿勢が表れているのではと思う!
剣持警部の目指すジャパニーズモダンは
他者から良い点を取り入れつつ、日本の細やかさや造形感覚を現代に生かす
→日本にしかできない、日本独自のものを作り出す
というもの。
そして生まれたのが、ラタンのラウンジチェア。
これはホテルニュージャパンのためにデザインされた椅子で
「ホテルは世界中の人がくるかもしれない。だったら、その国の特徴を伝えるような素材とデザインで!」という目的で作られた椅子。
海外で学んだデザインの考え方を取り入れつつ、日本の技術と素材の良さを生かして
アツイ思いで作られたチェアは、
1964年にMoMAのコレクションの仲間入り!
前に書いたソーリーのバタフライスツールに続いて嬉しい!!
批判と戦い続けた剣持警部は徐々に評価され、事務所にはたくさんの仕事が舞い込む。
彼はジャパニーズモダンを作り上げていくと同時に、
日本のインテリアデザイナーの地位確立のため、
身を粉にして働き、仕事を断らず、
小さな仕事から大きな仕事まで引き受けました。
京王プラザホテルの総括指揮官まで。900以上の客を持つ超高層ホテルです。
そしてそのオープニングの日に自ら命を絶ちます。
鬱だったという話もあるが、詳しいことはわからない。
59歳はあまりにも早い…
その短い生涯の間に、警部のデザインへの取り組みは
日本のデザインの素晴らしさやものづくりへの姿勢を世界へと広めました。
まさにジャパニーズモダンの父の一人! (『一脚の椅子・その背景』より)
最近、「メイドインジャパン」は信頼が失われつつあるとの声もあります。
そして、ヤフーで、「日本 デザイン」と入れると勝手に出てくる「ダサい」の文字…
そんなことはないはずだ!
確かに、家電製品のリモコンはボタンが多すぎる!
もっと皆が使いやすいバリアフリーな素敵デザインであるべきだ!
でもさ、
ideacoだって
ミナペルホネンだって
「よいものを取り入れて発展させる」日本の誇るべき精神がある!
その精神はまだ消えていない!
剣持警部のジャパニーズモダンに込められた思いが、絶やされることなく、グッドデザインが増えて、暮らしをステキにしてくれたらいいな。
ヤクルトを飲むときそんなことを思います。
うまい。
警部に敬礼!
夫氏「嫁氏よ、日本のデザインの素晴らしさを語ってはいるが、我が家のジャパニーズモダンはバタフライさんと昭和の棚ぐらいだよ」
何をおっしゃる、ワクワクさん!
我が家の家の素材には、日本が誇るアレを使うじゃあーりませんか!
夫氏「…?」
to be continued...
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日常でも実践したいもの作り精神。
家づくり
住宅の中にもジャパニーズモダンは見られます。
みんなのWeb内覧会
剣持警部のラタン、どこかに置いてないでしょうか?
〜昨日のはてぶコメント返信〜
>KONMA08さん 家具テトリス笑笑 それはそれで楽しそうです♪
「家具は日常使うもの」と考えたらスペースを考えた配置が必要だと思います。
いくら高い家具でも配置によって使い勝手はよくも悪くもなります。
狭いスペースでも工夫すれば快適空間になると信じております。
たまにテトリス、たまに日常用品として使ってあげてください♪
>sumino72さん 嫁氏と夫氏はズボラと細かいで全く逆の性格ですが、水と油でなく、お互いに影響して変わっていけるというのがよかったと思います。
何か相手のいいところを見つけたら「いいね」「素敵んぐ」と言い合います。
>flemyさん ムーミンとヴィンテージに囲まれたレイちゃんは異様な光景でした…
こんな声が聞こえてきました、「ごめんなさい、こんなときどんな顔すればいいかわからないの…」零号機なら似合うのに…
>kumanbou2016さん ほっこりありがとうございます。私もkumabou2016さんが書かれる、子育ての絵本紹介記事を読むとき、寝る前のお話の時間の光景が浮かんできてほっこりしてしまいます。
>hipojgreawrgさん このようなおふざけ真面目ブログの雰囲気を褒めていただいてありがたいです。暗い話、深刻な話のときも必ずくすっとなって帰っていただけるようミニチュアが活躍いたします。いつでも遊びに来てください。
>qmakiさんの素敵な暮らしがいつも優しい文章から伝わってきます。旦那様と末長く幸せでありますように。「この人と結婚してよかった」といつまでも言える家族でありたいです。
>AYAKO28さん 「居心地のいい空間は心の置き場」!!名言です!
AYAKO28さんのおかげで毎日大笑いし、福が舞い込んでおります。
ユーモアで周りを明るくしてくれるAYAKO28さんに幸あれ!
>simplehomeさん 写真をお褒め頂きありがとうございます。以前は写真をとる気なんてびた一文起きなかったのに、素材や家具の位置を考えるようになって写真をとるのが楽しくなってきました。腕はまだまだですが、simplehomeさんの素敵な写真からも学ばせていただきます。
>nago777さん 毎日暮らす場所の居心地って大事だと思います。嫁氏の目標は、家で家具を眺めてよだれを垂らすことだけでなく、家族が使う部屋や家具に慣れ親しむことです。長く大切に使って、住む人に馴染んでほしいです。
>inakagurashinurseさん 家族といえどそれぞれ好みや趣味が違う個人なので、意見を合わせて行く過程は大変だと思います。他社の展示場を回った時、担当さんの前でガチ喧嘩しているご夫婦も見かけました…
でも、勝手に決めてしまうよりはぶつかってでもいいから話し合って、自分たちのカラーを見つけていくことが大事なんじゃないかと思うのです。
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※参考文献
※引用サイト
・ヤクルト