2017/12/29
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【禁止薬物混入問題から、人間の弱さやずるさを考える】
2020年の東京オリンピックを目指していたカヌー日本代表候補の鈴木康大選手が、ライバルの小松正治選手の飲み物に禁止薬物を混入させるという、スポーツ界で前代未聞の不祥事が発覚しました。
鈴木選手はこの動機について
「東京オリンピックに何とか出たいという思いがあった。」
「小松選手に『勝てない』というやるせない気持ちがあった。」
などとコメントをしているようです。
また鈴木選手は、他の選手にも現金や道具の窃盗を行っていたようです。
そして鈴木選手はこれらの悪事を、自ら日本カヌー連盟に連絡を入れて、真相を明かしました。そして謝罪をしました。
鈴木選手の行為は報道の通り、もちろんあるまじき行為であり、許されるものではありません。
しかし、今回のこの問題は、鈴木選手だけの問題とも考えられないとも感じています。
今回の問題から、プレッシャーに追い込まれたときの、そして精神的に追い込まれたときの人間の弱さやずるさを、つくづく感じさせられ、考えさせられました。
そして今回は、この禁止薬物混入の問題から、人間の弱さやずるさについて、私たちの仕事に置き換えて考えてみたいと思います。
【営業マンの行為から見る弱さとずるさ】
営業マンの方は、もしかしたら以下のような経験があるかも知れません。
・目標の訪問件数を達成できず、電話で状況を確認した内容を、訪問したとして業務日報を提出した。
・今月は売上目標を達成しているので、月末に発生する売り上げを、本来の今月の売り上げに計上するところを、翌月の売り上げに回した。
・ライバルである同僚不在時に、その同僚に仕事の電話がかかってきたが、意識して取り次がなかった。
これらは決して、法的に罰せられる問題ではありませんし、黙っていれば誰にも分かりません。
しかし倫理的には非常に問題のある行為です。
そしてこのような行為を行う人は、問題のある行為と感じながら、行っています。
では何故、問題があると感じながらも、問題のある行為を行うのでしょうか。
そこには鈴木選手同様、様々なプレッシャーに追い込まれ、精神的に追い込まれたときに出る、人間としての弱さやずるさであると感じています。
もう少し、営業マンの心理状況を掘り下げてみたいと思います。
・訪問件数について上司からいつも厳しく言われている。しかしあと数件が足りない。また厳しく言われてしまう。厳しく言われるのや嫌だ。何件か電話で用件を終わらして、それを訪問として報告しよう。
・今月は何とか売上目標を達成しそうだ。逆に来月の見込みが立たない。また上司に怒られる。怒られるのは嫌だ。また評価も下げたくない。そうだ!今月末に発生する売り上げを、来月の頭の日付に変えて、来月の売り上げにしよう。
・いつもあいつに売り上げで勝てない。悔しい!!上司もあいつと俺を比較している。このままではボーナスでも差が出てしまう。何とかあいつの売り上げが落ちてくれないかな。丁度、あいつ宛にお得様から電話があった。仕事の相談のようだが、不在であることを伝え、電話があったことは放っておこう。売り上げを落としてしまえ!!
数字に対するプレッシャー、上司からの圧力、同僚へのひがみ、自分自身のプライドなどから精神的に追い込まれ、問題があると分かっていながら、つい問題のある行為を行ってしまいます。
【弱くてずるい人間に対するサポート】
ある専門家は今回の禁止薬物混入の問題から、勝負に負けた人のケアが必要であるとコメントしています。
またオリンピックに出場することが出来なくても、価値があることを植え付ける教育が必要というコメントもあります。
私もそう思います。
そして仕事でもそうだと思います。
適度なプレッシャーは必要です。
しかし、それが過度なプレッシャーになると、うまくいかないときに精神的に追い込まれ、問題行為が発生しやすくなります。
そのうまくいかないときに、上司はいかに部下をサポートするか、そして部下はいかに上司にサポートを求めるか、この上司と部下との関係性が非常に重要だと思います。
上司は部下の価値を認め、そして部下は自分の価値を感じることが出来たら、そして上司と部下との信頼関係があれば、問題行為は減っていくものと考えられます。
【人間は弱くてずるい生き物】
人間は弱い生き物です。
精神的に追い込まれると、思いもよらない、問題行為を行ったりします。
そして人間はずるい生き物です。
勝負のときには、相手の不調を願い、ミスを誘います。
そして相手の不調やミスを、勝負の中では喜びます。
正々堂々とした勝負の中でも、こうしたずるい行為は行われているのです。
このような弱さやずるさを、人間は誰しも持っているということを前提に、様々なサポートや対策を考えていかなければならないと感じます。
本当に人間は弱くてずるいのです。
特に上司の方は意識して、弱くてずるい部下と接していきましょう。
そして自分自身も、弱くてずるい人間であることを客観的に認め、自分で自分自身をケアしていきましょう。