アーティストとしての大きな飛躍を実感したパフォーマンスの数々

“維新”を垣間見た、デジタルアーティスト「AR performers」の「3rd A’LIVE」

AR技術を使ったデジタルアーティスト「AR performers」のライブ「A’LIVE」に行ってきました。1stライブから取材を続けているのですが、回を重ねるごとに技術とパフォーマーが進化しており、デジタルコンテンツでここまで“生っぽい”再現ができるのかとおどろかされます。そんな「A’LIVE」も3回目。最先端の技術で作り出される「3rd A’LIVE」を主観全開でレポートします! なお、今回の3rdライブは、AR performersの総合プロデューサー内田明理さんに取材も行った“オタクカルチャー”にくわしいライターの阿部美香さん、バンド活動をしているAさん、A’LIVE初観覧の生粋のオタク女子Bさんの3人にも見てもらいました。

3rd A’LIVEは2018年1月6日と7日に開催。1日3公演、計6公演すべてを見てきました

AR performersのメンバーは4人の男子高校生。ソロで活動しているのは、シンジ(左)とレオン(右)

AR performersのメンバーは4人の男子高校生。ソロで活動しているのは、シンジ(左)とレオン(右)

レイジ(左)とダイヤ(右)は小学校時代からの友達で、「REBEL CROSS」というデュオを結成しています

レイジ(左)とダイヤ(右)は小学校時代からの友達で、「REBEL CROSS」というデュオを結成しています

1年間見てきたからこそ感じる3rdライブへの意気込み

筆者がAR performers(以下、ARP)の存在を知ったのは、約1年前。2017年1月に行われた本格的なライブ「1st A’LIVE」で初めて彼らを見た時の衝撃は、今でも忘れられません。AR技術を応用しているということで「初音ミクみたいなものね」と軽い気持ちで観覧したステージには、人間と遜色ないリアルな動き、レベルの高いダンスと歌で繰り広げる4人のパフォーマーの姿がありました。さらにデジタルキャラクターなのに観客と会話をやり取りしており、「なに、これ?」と若干パニックに。ARPはあらかじめ準備しておいたCG映像を投影しているのではなく、ライブ中にリアルテイムで動きをモーションキャプチャーしてCGレンダリングし、ホログラフィックモデルとして出力しているのです。だから、観客と会話することも、パフォーマー同士で会話することも可能。しかも、歌や会話を担当する「Vキャスト」と動きやダンスを担当する「Aキャスト」、そして表情や衣装の細かい動きを調整する技術スタッフが1チームとなり1キャラクターを作り上げています。下の動画は1stライブのリハーサルのワンシーンですが、想像以上になめらかでよく動くと思いませんか? 本番ではこれよりも激しいダンスをしながら歌い、複数人で絡み、ステージ上を動き回りながら会話し、それらをアイコンタクトだけで違和感なくあわせているのだから、まさに神業です。“人間ではまずできない、歌もダンスも、すべてが完璧なアーティスト”を作るという内田プロデューサー(以下、内P)のこだわりもすごいですが、それにきっちり応えるキャストや技術者もハンパない!

そんな、一流の歌い手、ダンサー、技術者が三位一体となり作り上げたARPに、1stライブの1公演を観覧しただけで心奪われた筆者ですが、半年後に行われた2ndライブでは、あまりの進化に驚きました。まず、1stライブとは比べ物にならないほどのフラワースタンドにファンが増えたことを実感し、次にパフォーマーの歌唱力やMCの腕があがったことに感動。さらに、ステージに設置されたサイドモニターがライブ感を高めており、2ndライブは“あきらかな成長”を見ることができました。このように短期間で大きな進化を遂げたからこそ、3rdライブでの成長が楽しみでなりません。というのも、3rdライブで歌われる楽曲を収録したミニアルバム「A’LIVE3」の発売告知ポスターには「維新」と書かれていたからです。「維新=改革」であることを示すように、3rdライブでは各パフォーマーがこれまでにない方向性にチャレンジしているそう。どのようなライブになるのが期待で胸がふくらみます。

「第三次ARライブ維新」の「維新」に、3rdライブで何かが変わるような強い想いを感じました

「第三次ARライブ維新」の「維新」に、3rdライブで何かが変わるような強い想いを感じました

<関連記事>「AR performers」について知りたい人は、こちらをチェック!

新たな可能性を見せつけた、新曲目白押しのライブ

ライブは、ステージに向かう彼らの中継映像からスタート。2ndライブで行われた、ステージ裏での様子が音声で聞こえてくる演出よりも、今回のほうが“ライブが始まるぞ”感があります。なにより、姿が見えると観客のテンションの急上昇っぷりがすごい! いきなりテンションMAXなんじゃない!? という状況の中、ショウマス(The Show Must Go On)が流れ、自己紹介を兼ねた歌詞の部分では観客がパフォーマーの名前をコールし、ステージ上に彼らが現れる前から盛り上がりは最高潮です。と思いきや、新衣装を身にまとったARPが登場したらもっと大きな歓声が。ARS(ARPのファンのこと)のボルテージはどこまで上がるんだ!?

ステージに向かう様子が映し出される演出は、ライターの阿部さんも高評価!

ステージに向かう様子が映し出される演出は、ライターの阿部さんも高評価!

さらに、今回はしょっぱなからコールアンドレスポンスにトライ! いつもは「We are Artists Republic performers」とパフォーマーが発してライブが本格的に始まるのですが、3rdライブではこのあとに「and You are」と観客に投げかけ、観客が「Artists Republic Supporters」と続けます。実は、これ第1公演で突然始まったこと。第3公演までは説明して掛け合いをしていたのですが、説明なしでやりたいとパフォーマーたちが言い出し、翌日の第4公演ではサイドモニターにコールの言葉が表示されるようになっていました。

第3公演が終わった21時30分頃から翌朝までにスタッフの方々がサイドモニターに表示されるようにしてくれました。なお、文字はダイヤが書いたものがそのまま使われたそうです。ダイヤ、めちゃくちゃ字がうまい!

A’LIVEは、普通に歌を披露するパートと、パフォーマー同士が歌で勝負する「バトルソング」、そしておしゃべりを楽しむMCパートで構成されています。基本的な部分はこれまでのライブと同じですが、3rdライブは新曲がたっぷり! シンジ、REBEL CROSS、レオンそれぞれの新曲、特別に結成されたユニットの新曲、新たなエンディング曲と計5曲が用意されました。2ndライブでは新曲の数が足りなかったのか、ほかのアーティストの曲を歌うという試みが実施され、いつもとは違うテイストの楽曲との意外な相性におどろかされることもありましたが、やっぱりARPの曲が聞きたい! というのが本音だったので、これだけでも3rdライブは価値あり。しかも、新曲はすべてこれまでにない曲調や歌詞、そしてダンスだというのだから、楽しみすぎ! そんな新曲のいくつかを“わちゃわちゃ感”がたまらないMCパートの様子とともに紹介します。

・等身大の男らしさで切ない恋心を歌う、シンジ「Dahlia」

毎回、おどろかされるのはシンジの変化です。2ndライブでのユニット「シンジ feat CROSS BONE」で歌った「Tender Blue」では、普段はエレガントでファビュラスなシンジがワイルドさを見せてくれました。“殻を破る”ということを話していましたが、シンジの殻はいくつあるのかと思うほどライブ中にいくつもの顔を見せてくれます。そんなシンジの新曲「Dahlia」は恋焦がれる男の気持ちを歌うもの。「Tender Blue」よりもさらにロック寄りなバラードとなっています。

意識したのは“プリンスからひとりの男へ”。一人称も「僕」ではなく「オレ」になっており、男気を見せつけます。腹の底から絞り出したような声には切なさが込められ、レコーディングで内Pが「キュンキュンした」と言っていた気持ちが理解できました。ARPの中ではひとりで熱唱する系の歌はめずらしいので、聴きごたえもたっぷり。シンジの得意とするバレエのしなやかな動きもありつつ、歌詞にあわせて抱きしめるような情熱的な振り付けを多く取り入れた力強さを感じるダンスも見ものでした。

歌に入り過ぎて間奏あけの「Dahlia」を2秒半ほど長く歌ってしまっていたそうです。ライブはCD音源とは違うアレンジがされるのがいいですよね。これもリアルタイムで演じているからこそ! なお、衣装もいつもよりスポーティな感じです。パンツはシンジ初のエナメル地

「オレについてこい」といった感じの古風な男性像を理解するために恋愛映画を観てイメトレしたシンジは、その映画にハマりすぎ、その感動をレオンとダイヤに電話して伝えたそう。しかし、レイジには電話していないことが判明! レオンに「レイジくん、仲間はずれやん」とイジられたり、新曲紹介だけでも笑いどころ満載です

・観客にノセてもらうスタイルのREBEL CROSS「rrRrride On !!」

「ラララララ」を巻き舌で発しなければいけない「rrRrride On !!」は、ライブ中にネタのように何度も曲名が連呼されていましたが(笑)、ARP最強のパーティソング。これまでの“見せるパフォーマンス”から“会場の一体感”をコンセプトとし、観客に“ノセられる”アプローチになっているため、観客がパフォーマーをノセられなかったら失敗に終わってしまうという懸念もあったそうですが、まったく問題なし! 観客も歌い踊り、コールし、ダイヤのラップで煽り、そこにレイジのビブラートが加わり……と、ステージ上のパフォーマーと観客が互いにノセあってどんどん上がっていくのが、めちゃくちゃ気持ちよかったです。この曲はダイヤがラップで引っぱっていく感じの楽曲となっており、セーブしない素のラップが聴けるのもポイント。

ダイヤによるとレイジは毎回ダンスレッスンで泣きが入るそうなのですが、今回は内Pに「ふたりで踊るのではなく、レイジは歌に徹するのでいいんじゃね?」と提案したほどガチだったそう(却下されたそうです。笑)。でも、すごく上手に踊れてましたよ! レイジはできる子ですからね。なお、新衣装はレイジが半分ないスカートボンテージ風スカート、ダイヤは“勝負ジャージ”とウワサの近未来を意識したデザインとなっています。

シンジの得意技(?)“ピョンピョン”を取ったと言われる、縦ジャンプで会場は大盛り上がり。個人的には片足をあげて腕をまわす振り付けが好きですが、歓声がもっともすごかったのは背中合わせのシーンでした

「rrRrride On !!」の盛り上がりはほかのパフォーマーにも好評で、シンジくんも「僕も次はそういうのがいいかな」と言っていたほど。しかし、REBEL CROSSのふたりが「協議の結果、ダメです。マネしないでください!」と即却下(笑)。すかさず、MCの森一丁さんが「ちっさ! せまっ! チビ!」とツッコむと、「最後の“チビ”はレイジへのdisりだろ」とレイジがプンスコ。随所に笑いを入れてくるのも、ARPの魅力です

歌の最後はダイヤの「やるじゃんLady?」というセリフで締められるのですが、NGのやり直しのほか、いろいろなバージョンも試したのでレコーディングは20テイク以上になったそう。その中の“かわいいバージョン”を披露してくれたのですが、すごいハイトーンで会場中が大爆笑! 実際にはかわいいバージョンはレコーディングではしておらず即興だったのですが、ポーズもかわいい感じでキメてくるとは、さすがダイヤ兄さん!!

・JBリスペクトのノンストップダンスで魅せる、レオン「TURN UP BABY!」

かわいいレオンが、セクシーさを見せつける! と挑んだのが「TURN UP BABY!」。ラジオでレオンが「ハンバーガーが食べたくなる感じ」と話していましたが、西海岸の雰囲気ただようソウルフルなサウンドで、自由にノレる曲となっています。たしかに自然と体が動いてしまい、筆者も取材でカメラ撮影していなければ踊りたかった! ただ、“セクシーレオン”はあまり感じられず(汗)。おへそを見せる衣装はセクシーですが(レオン的にはゴールドがいっぱいなところがセクシーなのだそう)、“元気なレオン”のほうが強い! サビのファルセットに切り替わる部分がセクシーな歌声だそうなので(レオン談)、気になる方は意識して聴いてみて。また、この曲は歌うのがむずかしいらしく、いつも一発でOKが出るのにリテイクの嵐だったといいます。あの歌ウマなレオンが4時間ぐらい歌い続けたのだから、よほどですね。

ダンスはレオンが映画を観てリスペクトされたソウルの帝王JB(ジェイムス・ブラウン)の踊りを、レオン風にアレンジ。重力を感じさせないような足さばきで踊り続け、魅了させてくれました。ダンスにくわしくないので表現が上手にできませんが、簡単そうにやっているけれどすごく難易度の高いことをやっているんだろうな……と思います。

デザイン画を見た時は前の衣装のほうがかっこいいと思ったというレオン。でも、実際に着て動いてみたら派手に見えたので満足したようです。レイジには「マツケンサンバみたい」っていじられていましたが(笑)

サビの部分の振り付けをARPのメンバーみんなでやろう! となったものの、ちゃんと踊ってくれたのはシンジと一丁さんだけ(レイジは動かず石像状態、ダイヤは「にゃんこスター」の動きを再現)でした。なのに、ダンスの点数はシンジ60点(かっこよすぎたのでマイナス40点)、一丁さん60点(普通に60点)と、一丁さんだけがはずかしい感じに(笑)

隙あらば(隙がなくてもですが)歌って踊ってしまうレオンは、他メンバーの歌を熱唱することも多々。ライブ始めの自己紹介のところで、「たんたん、盛り上がってんのかー!」(ダイヤの決まり文句をアレンジ)、「I Wanna Be Your fantasista」(シンジの決まり文句をアレンジ)、「地上に舞い降りたレオンです」(レイジの決まり文句をアレンジ)と連続で叫んだ結果、3人に「潰す」と言われてしまいますが、レオンはこのままでいて!

A’LIVEを紡ぐ熱きドラマを生み出すバトルソング

新曲をたっぷり聴けるだけでも幸せですが、やっぱりA’LIVEといえば「バトルソング」でしょう。ここまで紹介したようなコールや振り付けを観客が行い、ライブを盛り上げるのは一般的なライブでもありますが、バトルソングは“観客とともに作り上げる”のが特徴。対戦するふたりのパフォーマーのどちらを応援するか決め、専用アプリ「ふれフレ」をダウンロードしたスマホを音ゲーのように曲にあわせて振って「応援ポイント」を送ります。このポイントでサビを歌うパフォーマーが決定するほか、勝敗が決まるのがミソ! 勝者には次回のライブにソロで歌う権利が与えられ、敗者は「課題」という名の罰ゲームをするというルールがあり、その運命はサポーターにゆだねられているのです。

光の輪のような「リズムエフェクト」が中央で重なるタイミングにスマホを振ると成功です。バトルソング中にサポーターからのコメントがスクリーンに表示されるのもいい演出。ただ、前回よりも文字サイズが大きくなり、表示されるコメント数が減ったのか、A’LIVE初観覧のBさんは送られたコメントが少なかったのかと思ったと話していたので、少しもったいないような気がしました

1コーラスごとにリードしているパフォーマーがサビをソロで歌うことができます。しかし、サビを取れたら終わりじゃないのがおもしろいところ。前回の2ndライブでは、1サビ、2サビを取られたシンジが最後に逆転するということもあったので、サポーターは最後まで気を抜けません

サビを取る部分もですが、勝敗の行方もわからないため、結果が出たあとのパフォーマーのリアルな反応が最高! あふれる感情を見せてくれるのがたまりません

なお、今回は応援ポイントの数字が最後まで表示されるようになっていました。2ndライブでは最後のほうで数字が消え、逃げ切ったのか、逆転したのか発表されるまでわかりませんでしたが、3rdライブではすべて見えてしまうので曲が完全に終わるまでに勝敗がわかってしまいます。パフォーマーと同タイミングでよろこびを得られるのは、前回の見せ方のような気がするのですが……慣れの差なのかな!?

バトルソングはライブ1日目、2日目それぞれで行われ、各日の勝者ふたりがソロ権を獲得し、1日目に行われる第1公演、第2公演のバトルソングで負けたふたりが翌日第4公演で漫才をするのがオキマリになっています。実は、過去2回とも漫才をしているのがシンジ。“漫才の片方はシンジの枠”という悪しき習慣を終わりにしたい! となみなみならぬ気迫で臨んだレオンとの対戦では、その思いに応えるように、しょっぱなからシンジへの応援ポイントがすごかったです。今回のライブだけでの戦いではなく、過去から続くバトルだからこそ、バトルソングは熱い!

酷なように見えるバトルソングですが、パフォーマーたちは真剣勝負でぶつかるからこそ、負けてくやしいだけでなく、楽しくてすがすがしい気持ちになるといいます。戦い後にお互いをたたえあうのも、いいところ。ダイヤが「負けというのは心が折れることが負けなんだ」と言っていたように、4人は誰も負けてない!(でも、負けたパフォーマーががっくりした姿を見ると心が痛みます)

今回、1日目の勝者はダイヤ、2日目はレイジでした。このふたりが次回のライブでソロ曲を歌います。実は、このふたり、デュオゆえにARPオリジナルの楽曲をソロで歌ったことがありません。そんなふたりがソロ曲を歌うことになるなんて!

1日目に勝利し、見事ソロ権を獲得したダイヤ。うまくいえませんが、今回のダイヤはこれまでとはひと味違う感じがしました。「rrRrride On !!」で自分らしいラップができたこともあるのか、バトルソングのみならず、3rdライブすべてで超ノッてる感あり! ソロ初挑戦となるダイヤの曲も楽しみです

また、3rdライブではふたりで対戦するバトルのほかに、「バトルフォーユニット」という戦いの場も用意されていました。バトルフォーユニットは誰を応援するかを決定し、対象曲3曲で「ふれフレ」を振って応援ポイントを送り、1日目(第1公演~第3公演)、2日目(第4公演~第6公演)それぞれの日で総合ポイントが多かったふたりが勝者が次回のライブでユニットを組む権利を獲得します。今回は、1日目がレオン、2日目にシンジが優勝。なんと、バトルソングとは逆で、普段ソロのふたりがユニットを組むことに! なんたる運命でしょう。しかも、レオンがユニットを組むのは初。次のライブで披露されますが、シンジとレオンの化学反応が楽しみですね。

バトルソングと同じ要領でスマホを振って応援したり、コメントを送ります。それぞれのパフォーマーが獲得したポイントは表示されませんが、スクリーン上に出ているパフォーマーの頭文字(シンジなら「S」)の位置で現在の順位を知ることが可能。ただし、最終ラウンド(第3公演と第6公演)では表示が消えるので、逆転劇が起きたかは発表までわかりません

実際に1日目には逆転劇が起こりました。第1公演ではレイジが1位、第2公演ではシンジが追い抜き1位に。そして第3公演でレオンが怒涛の追い上げをみせ、見事逆転勝利! なお、毎回1位のパフォーマーが応援ポイント上位3名のサポーターの名前を読み上げ、本人に話しかけてくれます。この際、観客席からひとりを見つけるスムーズさが劇的に向上したようで、「失敗しないだろうか」とハラハラすることはなくなりました(笑)

実は、このユニットが決定する前の第5公演に作詞家の財前汐里さんが来ていらっしゃり、もしレオンとシンジがユニットを組むなら甘い系のバラードが個人的には書いてみたいとおっしゃっていました。もちろん、内Pや作曲家の平田祥一郎さんの意向でどうなるかわかりませんが、バラードを聴いてみたいです! また、第6公演の終盤にレオンがアカペラでシンジの曲「A Song For You」を歌った際、シンジが途中から入ってハモってくる一幕も。その相性が繊細でキレイですてきだったので、これは期待「大」です!

バトルソングから生まれたユニットSUPER RARE「威信傳心」

そんな、未来のA’LIVEへとつないでいくバトルソングから生まれたユニットが3rdライブでも初お目見え。2ndライブの勝者、シンジとレイジで結成された「SUPER RARE」の曲「威信傳心(いしんでんしん)」は、世代間の対立をモチーフとした社会的なメッセージの強いものになっており、今までのARPにはない世界観となっています。作曲家の平田さんからの提案で、クラブで流行っているクランプとなったのですが、殴ったり蹴るような攻撃的なダンスは力強く、“止め”がピシっときまって「ヤバイ」が止まらないぐらいかっこいい! たたみかけるように歌っていく感じや、ふたりの声の相性もキレイで最高です。

初挑戦となる楽曲やダンスなだけに、苦労の度合いはハンパではなかったといいます。特に、シンジとレイジはなにかとケンカしちゃいますし(レイジがダイヤ以外には素直にならないから……)、まわりで見ていた人たちも「これは無理なんじゃ」と思ったほどだったそう。そのため、内Pに学校でも一緒に行動するように言われ、休み時間のたびにシンジがレイジのクラスに来たりしていたものの、ダンスが相当むずかしいようで「シンクロしないのはオマエのせいだ」と言い合いが耐えなかったそうです。そんなふたりにダイヤとレオンがダンスレッスンに付き合うなどし、なんとか今日に至ったとのこと。でも、ライブでのパフォーマンスはパーフェクトでした。最後に、また機会があればこのユニットで新曲をしようよ、とシンジがレイジに話していたので、期待して待っています!

衣装もARPにはないスタイル。戦いというイメージの歌詞にあわせ、軍服っぽいデザインになりました。制服以外でレイジ初の袖あり衣装です。しかし、そのぶん中の布がなくなり、まさかの裸ネクタイ!

実は当初はシンジも裸ネクタイ予定だったのですが、シャツを着たほうがいいんじゃない? という意見が出て今の衣装に。「レイジなら、なんでいいんだよ」とご立腹なレイジに、一丁さんが「レイジくんはすばらしい腹筋を持ってるからじゃないですか?」とフォローすると、「じゃ、オレの腹筋はひとさまにお見せできないってことですか?」とシンジ。「オレ」と言っちゃうぐらいシンジが怒ってる! なお、シンジもシャツの裾からチラリとお腹が見えるようになっています(シンジ、初めての腹見せでは!?)

また、パンツにプリントされた数字が、デザイン画で「01」と「02」だったことでも大モメし、「00」と「01」にすることで終着したそう。ちなみに、SUPER RAREのロゴはダイヤのデザインです

A’LIVEは写真撮影OKなので、随所で撮影タイムが用意されています。SUPER RAREは今回限りのユニットかもしれないので、超貴重。シンジとレイジがポーズを決めると、レオンとダイヤもまじってきて、いつの間にかタイミングずらして回るダンスやってるし!(笑)。 なんなの、この子ら。最高か!

ちなみに、2ndライブ限定のユニットかと思われた「シンジ feat CROSS BONE」も登場。ということは、SUPER RAREもきっと継続されるはず!

2ndライブでは白いTシャツでしたが、今回は赤いTシャツに。スタンドマイクを振り回すパフォーマンスは、やっぱりかっこいい!

一度見たら次も絶対見たくなる、おもしろすぎる「課題」

バトルソングの楽しみは、勝者のパフォーマンスを見るだけではありません。むしろ、敗者こそ主役なのではないかと感じるほど盛り上がるのが「課題」です。第1公演、第2公演のバトルソングで負けたふたりが翌日の第4公演で漫才をして、第4公演、第5公演のバトルソングの敗者ふたりが第6公演で別のお笑いネタを披露するのですが、実は筆者、2日目のライブを見るのは初めてなので、課題を観覧するのも初!

第4公演で漫才をしたのは、レオン、レイジ。パフォーマーだからパフォーマンスを進化させたいとレオンが言い出し、エアバンドならぬ「エアperformers」にレイジが挑戦。レオンのようしゃないツッコミが炸裂し、あのレイジがふりまわされっぱなしです。このかわいさは、なに!? これはDVDにしてほしいです

第6公演の課題は、シンジとレオン。戌年にちなんで犬耳をつけての登場です。なぜか、課題にシンジがいると妙な安心感が……

テツandトモの「なんでだろう」をARPバージョンで披露してくれたのですが、本家よりノリノリじゃないかと思うほどの動きです。一丁さんによると、ふたりはこれに命をかけていたとのこと。特に、シンジががんばっていたそうです……やはり、師匠!

SUPER RAREの衣装はお揃いなのにレイジのヒールが高いことや、ダイヤが味を覚えてからA5の牛肉じゃないとよろこばないということなど、メンバーの「なんでだろう」で笑いをがっちり取っていました。しかし、ただ笑わせるだけじゃないのがふたりのすごいところ! 最後の「う」の部分にハモりを入れてきてるのです。さすがアーティスト!

初めて見た課題は、控えめに言って……最高でした! 彼らは、お笑いパートも全力。観客を楽しませることをモットーとする、すばらしいエンターテイナーだと思います。

ARPの思いを込めたエンディング曲「Start of the start」

感動あり、笑いありのA’LIVEの最後に届けられたエンディングソング「Start of the start」も新曲です。しかも、作詞作曲したのはレイジ。REBEL CROSSのロック調の曲とは正反対なおだやかな楽曲で、正直びっくりしました。「普段の生活には退屈でつらいこともたくさんあるけれど、その先にはライブのような楽しいことがあるから毎日をがんばって生きていこう」というような気持ちを込めて作ったといいます。「新しい僕を見せたくて 素晴らしい時間を過ごしたくて 精いっぱい楽しく歌って踊るよ」や「アナタの笑顔のために 僕らは今を生きられる」といったフレーズがあり、ファンのことをすごく大切に思ってくれていることが感じられ、胸が熱くなりました。さらに、レイジが学校でギターを弾きながらこの曲を作ったのかなー、学校の休み時間にもライブのことやファンのことを思ってくれるんだなーと考えると、何度聴いても泣けてきます。

ライブが大好きで、特別な場所だと思っているというレイジ。態度にはなかなか出しませんが、本当にARPのことを大切に思い、メンバーに尊敬の念を抱いているのは間違いありません。この歌詞に込められた思いは他メンバーも同じだそうで、歌っている声はみんなとてもやさしいものでした

観覧の感想と、またしても、あえて要望を言ってみる

3rdライブを筆者とともに観覧してくれた3人に感想を聞いてみました。A’LIVE初観覧のオタク女子Bさんは、MMDのようなものだと思っていたので、ここまでなめらかで人っぽい動きをすることに衝撃を受けたそう。筆者はこれまでもBさんに何度も説明していたにもかかわらずこの反応だったことを見ると、やはり実際に見てもらわないとARPの本当の魅力は伝わらないのだと再実感しました。

いっぽう、バンド活動をしているAさんは1stライブを観覧していたので、今回、ライブ感が劇的に向上していることにおどろいたそう。スタンドマイクがあればいいのにと思っていたこともすでに実現されており、次の課題は音響だね、と話していました。楽曲もよくて、アカペラで歌われた時には鳥肌が立ったほどなので、演奏の音が薄く感じるのがもったいないとのこと。これはライターの阿部さんも同意見で、せっかく歌がうまいのだから生音らしく変えていければ、よりアーティストとして理想的なのでは? ということでした。でも、阿部さん的には2ndライブよりも全体的な音響の厚み、歌のリアル感は増していたように感じたそうです。

そして、2ndライブで阿部さんが「激しいダンスをした際に上半身の動きが気になる」と話していた件は、今回は解消されたように見えたそう。観覧した席が前回よりも後方だったことも影響しているかもしれませんが、制御技術も進化しているのではないか、とのこと。また、衣装の素材感の再現力には感心したそうです。特に、REBEL CROSSふたりのレザーのパンツ、ジャケットが、動きと革のテカリが連動していてリアリティがあったということでした(双眼鏡を使って、後方から細部をチェックしていました。笑)。

全員に好評だったのがサイドモニター。

全員に好評だったのがサイドモニター。後方から客席ナメで見せるのはライブ感が高まりますし、パフォーマーがサイドのカメラに向かってアクションを起こすとアップで映るのもいい! ただ、この技術、どのようにやっているのかが超気になります。ステージ演出の部分をいつか取材したい!

まだまだこれが実現すればよりよくなりそうという部分はありますが、ディティールの精巧さはたった半年でずいぶん高まった印象。技術のほうは細かい調整段階に入っていると思われるので、次に大きな変化を感じられるとすれば音響なのかもしれません。

まとめ

正直に言うと、2ndライブの時のような、あきらかに“見てわかる進化”(サイドモニターの設置など、ライブ感の演出)は少なかったかもしれません。しかし、個人的にはこれまでの中でライブとしての完成度はもっとも高いと感じています。というのも、やはり自分たちの楽曲だけでライブができる曲数がそろったことと、多様なジャンルに挑戦し、幅を広げたことは大きい。さらに、A’LIVEのコンセプト“ステージとオーディエンスの一体感”をより高める新曲や演出(冒頭のコールアンドレスポンスなど)が用意されたことも、ライブを盛り立てたと思います。また、パフォーマーたちがいい意味で緊張が解け、どんどん自然体で自由になっていることもライブの楽しさが増した大きな要因。CG技術が進化しているからかもしれませんが、MC中の動きも自由度が高くなり、“生きている感”は3回のライブ中イチだったのではないでしょうか。とにかく今回は、パフォーマンスで魅せ、聴かせてくれた! という印象がとても強いライブで、着実にアーティストとして成長していると思いました。

なお、ライブを見逃した人は2018年4月14日、15日に開催予定の「REWIND3」を見てみてはいかがでしょうか。3rdライブの映像が特別ディレクターズカット版として上映されます。筆者は実のところ、「REWIND」はリアルではないのでARPの魅力は感じられないのでは? と思っていたのですが、「REWIND2」に行ってみたところ(自腹)、特殊な技術でARが再現されるパートもあり、予想以上に楽しめました。しかも、1公演は前から2列目で、その時には「いる!」と感動したほどです。このように間近でパフォーマンスを見るチャンスでもあるので、「REWIND」もあなどれませんよ。詳細はまだ発表されていないので、公式サイトをチェックしてみてください。

【おまけ】

これまでのライブではパフォーマーたちが楽屋で描いたイラストがよく披露されていましたが、今回は1回のみ。4人が新年最初に見た「初夢」を描いてくれたので紹介しておきます。

師匠シンジは、なんと「M1」に出る夢をみたそう(左)。右は、ダイヤ。何か食べた夢だから、きっと肉だ!と描いたとのこと。つけあわせが雑、肉の上にある黒いのはなんだ!? と物議をかもしていました

レオンの描いた「象に乗っている夢」(左)は意外とうまい! と思いきや、耳がおかしい! 同じく、一見うまく見えるレイジの「一富士二鷹三茄子」(右)は、どう見ても茄子じゃなくリンゴ(笑)

また、会場内にパフォーマーの書き初めが展示されていたので、こちらも掲載しておきます。

意外と上手な字にびっくりしました。ひらがなはあまり上手くないところがリアルですね(笑)
※ひらがなはむずかしいといわれています

その他、すごくいいシーンだったのだけれど、構成の都合で入れられなかったものを追加しておきます!

いつも何かしらのブームがライブ中に起こりますが、今回はテレパシー。とはいえ、REBEL CROSSのふたり(特にレイジ)は、なかなか「みーん」とテレパシーしてくれません。しかし、ダイヤに“かわいいバージョン”の「やるじゃんLady?」を言わせる時だけはテレパシーしちゃってるのが、めちゃカワです

毎回狙っているのに撮れなかったダイヤのバック転の撮影に成功! 第6公演の最後にひとりで出てきて、「愛してるぜ!」と叫んだあと、バック転をしてくれました。やっぱり今回のダイヤは熱い!

f-jyoko

f-jyoko

リアルよりも二次元男子が大好きで、20年以上“腐活動”をしている筋金入り腐女子ライター。おもしろいモノ・コトにも目がない雑食系です。

関連記事
イベントレポート最新記事
イベントレポート記事一覧
2018.1.12 更新
ページトップへ戻る

ログリー株式会社

ご覧いただいている記事のレコメンド結果は、ログリー株式会社のレコメンドサービス「logy lift」から、あなたの読んでいる記事の内容や興味に基づいて表示されます。
また、レコメンドの結果は、サイト内の記事だけではなく、外部サイトの記事も含まれます。

logly liftでは、あなたに「もっと詳細に知りたい情報」や「欲しい情報」を適切なタイミングで提供できるよう、日々レコメンドのアルゴリズムを研究し、改良をし続けています。

プライバシーポリシーについては、こちらに公開しています。
また、レコメンドサービスに興味のある媒体社や、この枠にコンテンツを表示したい広告主の方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。