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キングジムの置き引きアラーム『トレネ』は2月発売。ちょい離席中を振動センサで見守り (試用レビュー)

盗れねぇ!

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Ittousai, 1月11日
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キングジムは置き引きを抑止するモニタリングアラーム『トレネ』を2月23日から一般向けに販売します。

トレネはカフェでノートPCを使うときなど、ちょっとした離席時に荷物を見守る製品。セットしたものの振動を検出すると、アラームを鳴らして周囲に注意を促します。

スマートフォン用の連携アプリを使うことで、ユーザーがトレネから離れると自動的に見守りを始め、戻ると解除するひと工夫が特徴です。

「市場調査しない会社」初のクラウドファンディングプロジェクト


トレネといえば、キングジムがはじめてクラウドファンディングサービスを使い、購入希望者を募ったことでも話題になりました。

これはスタートアップ企業のように開発・商品化資金を集めるためではもちろんなく、開発中の段階で購入希望者からのフィードバックを得て、製品の完成度を高めるため。

キングジムはファイルなど従来からの事務用品で盤石の体制を保つ一方、デジタルとアナログを融合させた文具や、執筆に特化した単機能デバイスなど、斬新な発想の商品でヒットを飛ばしてきたことはご存知のとおり。

こうした新発想の製品は需要の事前調査が難しいことから、キングジムは「市場調査をしない会社」、目を離すと何をするか分からない会社としても有名です。

しかしトレネに関してはまずクラウドファンディングサービスで公開し支援を募ることで、製品に特に強い関心を持ち、口だけでなく実際にお金を払う想定ユーザーからの反響を計る新しい試みを実施した点も注目です。

クラウドファンディングプロジェクトの結果は、目標金額の1200%超を集める大成功。資金調達目的ではないためそもそも目標金額が50万円と低かったからの数字ではあるものの、支援者つまり購入予約者からの要望で当初の iOS対応だけでなく Android 対応アプリの開発も決定するなど、精度の高いフィードバック集めにも成功したようです。

Gallery: キングジム『TRENE』(トレネ) モニタリングアラーム | 6 Photos

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具体的な動作の仕組み

開発の経緯はさておき、トレネが実際にどう動くものなのか、仕組みと仕様をまとめると、

・スマートフォン連携は見守りの自動ON / OFF と、感度など設定のため。具体的にはスマホと距離が離れるなどしてBluetooth接続が切れた / 設定値より弱くなった時点で見守りモードに入り、振動センサとアラームがオンになります。

大前提として、スマホも席に置き忘れてしまえば自動ON機能も意味がありません

この動作原理から、見守りを開始した時点でスマートフォン(を持ったユーザー)はすでに圏外に出ているため、離席中に荷物が動かされたことをリアルタイムに通知してくれる製品ではありません

(仮にBluetooth圏外でもスマホに警報を飛ばすには、トレネが自力でインターネットに接続する必要があり、それはまた別ジャンルの製品になります)。

あくまでトレネ本体のアラームが鳴ることで周囲の注意を促したり、警告することが狙いです。なので、音が鳴っても誰も気づかないような環境では本来の効果がありません。

ただし、本体上部のリング状LEDライトを定期的に発光させることはできるため、自動車の盗難防止アラームのように、いかにも触ったらヤバそう感を漂わせる心理的抑止効果はあります。


キングジムも商品説明で警告するとおり、確実に置き引き防止ができるわけではありませんが、万が一荷物を持ち去られたりいじられるリスクと、面倒くささとのトレードオフのバランスをやや安心側に寄せることは可能です。

製品コンセプトを真っ向から粉砕するような物言いにはなりますが、そもそも一般常識として、盗られると本当に大変なことになる荷物の場合、目を離さず肌身離さずが鉄則であることは言うまでもありません。

とはいえ絶対的に正しい行動でも、習慣として身につけなければ、人類最大の敵「面倒くさい」「ついうっかり」に負けてしまうのが現実。ちょっとした油断が深刻な結果になったニュースはよく耳にします。これはもう脳の進化プロセスから説明したり科学の力で立ち向かうような話で、心がけ程度で勝てないのはわれわれ皆が実感しているところです。

やや脱線しましたがトレネに話を戻すと、何かあっても自己責任で済む範囲の荷物にだけ使うのはそもそもの前提。そのうえで、治安の良いカフェなど客や店員の目と耳がある場所で、ごく短時間の離席ならば、つまりノーガードで放置してもまあ大丈夫かな、と判断できるような状況で使うならば、「それでも万が一」や「こっそり覗かれたりいじられてたらどうしよう」という不安を軽減する効果はあります。

試した印象、気付いたこと


製品版の発売前に、メーカーから借りた開発中モデルを試用した印象、気づいた点は:

・アラームの音量はアプリで設定可能。よほど騒音がある環境でないかぎり、最大にすればすぐ周囲の注意は確実に集める程度。ただし火災警報やスマホのアラームの最大音量ほど大きな音ではないため、離席している本人が気づくことは期待すべきではない。

・見守り開始の距離もアプリで設定可能。ただしBluetoothの電波強度を使っている関係上、厳密に何メートルと設定できるわけではない。「レベル1~5」から選択するか、実際にスマホを持って離れて「これくらいで見守りを自動開始して欲しい」ところでボタンを押して設定する。反応するために最低限離れねばならない距離は数m以上ある。

Bluetoothを使うため、距離にかかわらずスマホの電源が落ちたり機内モードになったり、アプリがバックグラウンドから終了しても圏外=見守り開始に。

見通しや壁の素材に依存するものの、実際にはおおむねカフェなどから店外に出たり、手洗いなど別の個室に移ったあたりでは見守り開始になります。

・加速度センサの感度も設定可能。静かな環境なのか、誰も触らなくてもテーブルが揺れているような場所なのかによって、3段階から設定できます。

高感度にすれば大きなテーブルが揺れた程度でもまあまあ反応する一方、下げるとかなり大きく動かさないと鳴りません。

・振動センサは単純に加速度だけを見ているわけではなく、揺れの持続時間なども考慮してアラームを鳴らすか決定している(っぽい)。

ノートPCなどの上に置いた場合、そーーーっと慎重に持てば、アラームを反応させず持ち上げることもできてしまいます。

しかし、持ち上げたトレネをまた慎重にそっとテーブルに置かねばならないため、動きとしてはかなり不審で時間もかかります。(そもそも、トレネが振動で鳴るものと知っている相手でないとあり得ない仮定ですが)。

こうした挙動をするために、トレネにはノートPCなどにテープで貼り付けて使う台座のようなアタッチメントが付属します。



荷物とアタッチメントを両面テープ等で貼り付け、アタッチメントとトレネをストラップでつないでおくことで、置き引きするにはトレネごと持ち去らねばならない状況にします。こうすれば、高感度設定で持ち去るのは至難の技になりました。

(おそらく、加速度センサが反応しないようそーーーっと持ち上げて、そーーーっと持ち去れば不可能ではないと思いますが、表面張力で盛り上がるほど注がれた水を零さないよう運ぶような難しさがあります。)

前提の繰り返しにはなりますが、アラームが鳴ろうが周囲に見つかろうが気にせず風のように持ち去ってしまう相手には無力。通行や騒音の激しい往来や空港、手に持った荷物も奪われるような治安の場所で使うものではありません。

・トレネとユーザー(スマートフォン)が離れたこと、つまり自動見守りが開始されたことを示すアプリ通知も可能。

つまり、ユーザー(のスマートフォン)は移動しないまま、いつの間にかトレネと荷物のほうが持ち去られたり、あるいは荷物を置き忘れたまま移動してしまった場合、いわゆるセパレーションアラーム的に使うことも、可能か不可能かでいえば可能です。

ただし本来想定された使い方ではないため、圏外になった途端、スマホが大きな警告音を出してくれるような仕様にはなっていません。

また置き忘れはともかく、持ち去られた場合は見守りオンになった時点ですでにかなり程度離れていると思われるため、少なくとも現状のアプリでは、圏外通知メインの使い方を期待して買うべきではありません。

・置き引き抑止だけでなく、離席中に操作されたり覗かれたりしなかったかを知る使い方も。

使用例のように天板にセットした場合、開いて操作する時点でアラームが鳴るため、カジュアルな覗き見やタンパリングの抑止にもなります。


発売は2月23日、税別6800円


トレネの一般発売は2月23日。価格は税別6800円。対応スマートフォンは iPhone が iOS 10以上、Android端末は動作確認機種のリストを参照してください。

しつこく書いたように、多分に盗難の虞れがあるような状況で守ってくれる魔法のアイテムではなく、あくまで一定の環境で一定の抑止効果を期待する製品です。

機密性の高い情報が含まれる機器はどんな状況でも肌身離さないのが鉄則ではありますが、そこまで重要な荷物でない場合、安全そうな環境ではついつい衆人環視と性善説に期待して目を離してしまう、でも離席中は不安、といった人には、実際に狙われる可能性や抑止力よりも、心理的な効果のほうが高いかもしれません。

一般的な事務機器に留まらず、広く働く人一般の生活を便利にするアイテムならば無節操に射程に収めるキングジムだけに、今後も斬新な発想の製品に期待したいところです。

なお、「カフェでついつい手ぶら離席」よりももっと深刻な状況向けには、Androidスマホを監視・記録・通知装置として使うアプリ Haven があります。
こちらはジャーナリストやアクティビスト、告発者など、それこそ諜報機関がこっそり自宅に忍び込んで盗聴マルウェアを仕込まれるような危険があるユーザー向け。かのスノーデン氏も所属する、不当な監視と戦う系の非営利団体が開発中です。

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