11日午後6時55分ごろ、新潟県三条市のJR信越線東光寺-帯織駅間の踏切で、新潟発長岡行き普通電車(4両編成)が線路上に積もった新雪に阻まれ、動けなくなった。車内には満員状態の約430人が乗っており、立っている人も多数いた。車内は空調が利いていたが、乗客らは互いに席を譲り合うなどして一夜を明かした。JR東日本は夜を徹して除雪を行い、約15時間半後の12日午前10時26分に電車を動かし、立ち往生を解消した。
JR東によると、乗客のうち40代男性が脱水症状を訴え、救急車で同県長岡市内の病院に搬送されるなど計5人が救急搬送された。三条市消防本部によると、10代と20代の2人が「具合が悪い」と訴え、迎えに来た家族に保護された。立ち往生の影響で、信越線羽生田駅でも後続の特急と普通列車が動けなくなり、ホームに停車。東三条駅でも列車2本、見附駅でも列車1本が大雪のためホームに停車し、12日午前9時までに乗客全員がバスによる代替輸送などで家路についた。
現場は、新潟平野中央部の田園地帯。信越線は11日午前から大雪の影響で運休や遅延が相次ぎ、閉じ込めがあった電車に帰宅する会社員や学生らが集中。車内にはトイレがあり、停車中も空調が稼働していたが、満員状態で立って乗っている乗客も多数いた。JR東は飲料水や食料などを提供し、乗客らは自主的に椅子を譲り合うなどして一夜を過ごした。
JR東によると、立ち往生は想定以上に車両前方に雪がたまったのが原因。当初は数時間以内に運転を再開できると見込み長岡駅などから職員を派遣して人力による雪かきを始めた。しかし、積雪の速さに除雪が間に合わず、除雪車の到着も遅れた。「ふぶいている上に真っ暗な中、線路を歩くのは危ない」などの理由で乗客に車内にとどまるよう呼びかけたが、12日未明ごろから家族が迎えに来た一部の乗客に降車を認めた。
新潟地方気象台によると、新潟県内は11日、朝から積雪量が急増し大雪警報を発令。三条市の11日午後7時の積雪は77センチで、隣接の新潟市も平年の3倍超に当たる48センチに達した。JR東は12日、新潟県内を中心に信越線などで運転見合わせを決定した。
JR東新潟支社広報室は、立ち往生について「進行方向に雪が想定以上にたまり、前に進めなくなった。無理に進めば脱線の恐れがあった」としている。【後藤結有、南茂芽育、山田泰蔵】