県民健康調査で専門家ら議論

甲状腺がんに詳しい国際的な専門家グループが11日に福島県を訪れ、原発事故のあと県民健康調査を行っている県の委員会などと、調査のあり方や最新の治療法などについて議論を交わしました。
福島県を訪れたのは、WHO=世界保健機関の甲状腺がんに詳しい専門家などおよそ20人です。
代表のヨアキム・シュッツ氏は、最初に訪れた福島市の県立医科大学で、「福島のケースを学び、原発事故への対策について世界的な規模で考えたい」とあいさつしました。
一行は大学の検査施設を見学したあと、県民健康調査を行っている検討委員会と意見交換し、がんのスクリーニング検査に詳しいアメリカの専門家は、「甲状腺がんでは過剰診断のおそれが高く、倫理的な責任も大きい。スクリーニングのみならず、その後の詳細な検査や治療についてもフォローすることが大切だ」と指摘しました。
このほか各国の専門家からは、15歳以下の患者の30年後の死亡率は1%に満たず、早期発見が必ずしも有効でないという認識が広まりつつあるとか、スクリーニング検査を行うにあたっては、今後の治療法や選択肢を説明できるように医師への教育が重要だという意見が出されていました。
検討委員会の稲葉俊哉座長代行は、「スクリーニング検査のメリットやデメリットのほか、診断された人への対応や説明についてさまざまな意見を聞くことができ有意義だった」と話していました。