はじめに
こんにちは。テクノロジカルマーケティング部の谷村です。
テクノロジカルマーケティング部(以下、テクマ部)は、 リブセンス内のデータ分析や機械学習、そのための基盤開発までデータまわりを手広くやっている部門です。
リブセンスはHR領域や不動産領域を中心として複数のメディアを運営しています。組織的にはメディア毎に事業部を編成する、いわゆる事業部制を採用しています。 メディア毎の意思決定スピードや戦略の柔軟性、等々が事業部制のメリットかと思いますが、テクマ部についてはこれら各事業を支援する形で横串の横断組織として編成されています。 横断の組織としているのは所属メンバーの専門性を高める目的や、全社状況にあわせたアサインメントを行う目的などがあります。 今回は、リブセンスがテクマ部を中心としてどのようにデータと向き合っているかをご紹介させていただきます。
リブセンスのデータ分析のこれまで
私がリブセンスに入社したのが2013年でしたが、リブセンスでは当時からデータドリブンな意思決定を大事にする文化がありました。 例えば、営業でもSQLを使うという文化、入社初日に目にして驚いたのを今も覚えています(営業さんまで、社員全員がSQLを使う 「越境型組織」 ができるまでの3+1のポイント)。
そんな中でここ数年のデータ関連のテクマ部での取り組みは、大きな流れとして下記のように進展してきました。
時期 | 概要 | 詳細・データ |
---|---|---|
~ 2014 | アドホック分析中心 | データは主に会員マスタや売上等のメディアのデータベースを中心に利用。各施策や広告効果などを多変量解析や時系列等で分析。 |
~ 2016 | 自社分析基盤の開発 機械学習のサービスへの適用 |
Web上での行動ログとメディアのデータベースを一元管理するようにDWHを整えたことで、全てのKPIを連続的に分析することが可能に。さらにユーザーに紐付いた行動ログが蓄積されたことで、レコメンドアルゴリズムや予測モデルのメディアへの組み込みが可能に。 |
2017 ~ | 機械学習のインフラ整備 UX専門のグループ立ち上げ |
データについてはアクセスログに限らず外部データを含めた取り込みを強化。各メディア毎にバラバラに開発してきた機械学習システムについて、基盤の統一を開始。 |
2015年には分析基盤となるDWHも整ったことで、個別の事業での機械学習の活用も進み、収益面でも大きな成果を残すことが出来ました。 そして昨年からは次のデータ活用フェーズを念頭に動きを開始しています。こちらの背景については後ほど説明させてください。
データに関わるメンバーの主な役割
弊社では各人を細かく職種で分けることはやっていませんが、大まかに意識している役割は下記のような形です。
役割 | 業務内容 |
---|---|
データエンジニア | 分析基盤開発・運用、データ収集、大量データの操作 |
機械学習基盤エンジニア | 機械学習システム(インフラ・コード)の開発を担当 |
アルゴリズム開発者 | アルゴリズムの実装、検証 |
データアナリスト | データサイエンスを活用したプロダクト改善の企画立案 データベースマーケティングの推進 |
UXリサーチャー/UXデザイナー | UXデザインの手法を駆使してサービスの課題・潜在ニーズの発見・解決方法の検討から実行を支援 |
正直なところ、呼称は定まっているわけではなく、役割も社内外の状況にあわせて年々変化しています。 例えば、機械学習基盤エンジニアとアルゴリズム開発者については以前は区別せずに「機械学習エンジニア」としていました。
各自のコアスキルの向上や、プロジェクトチームの編成を考える際にこれらの役割を意識していますが、現実には複数の役割を兼ねて動いているメンバーが多くなっています。
現在のテクマ部内のチーム構成
テクマ部では今年から3グループ体制で動いています。
グループ | 所属メンバー | ミッション |
---|---|---|
Data Marketing | データアナリスト UXリサーチャー/UXデザイナー |
データからユーザー価値への転換の設計プロセスを担うミッション |
Data Platform | データエンジニア 機械学習基盤エンジニア アルゴリズム開発者 |
データからユーザー価値への転換する仕組み(システム)を作る |
Infra Structure | インフラエンジニア | 全サービスのインフラに責任を持つ |
グループ化の背景については後述しますが、ここでテクマ部の中に社内の各サービスのインフラを担当するインフラエンジニアのグループを配置しているのが弊社の特徴です。 データに関わらずインフラ全般を担当しているため、データに関わる役割での紹介は省略しましたが、部内にインフラエンジニアがいることでシステム運用経験豊富なメンバーから助言、ノウハウ共有を行ってもらえると同時に、開発時のハブの役割も果たしてもらっています。
これからのこと
リブセンスでもここ数年で、既存の仕組みをより効率的にまわすことに対してデータ分析や機械学習が有効に機能するようになっています。 これからもそのようなアプローチは継続していきますが、一方でそのような効率化のアプローチは限界を抱えていると考えています。 特に大きいのが、データそのものに変化を生み出せないことです。 人工知能という言葉も流行し、各社とも取り組みを強化されていますが、大抵の場合、ユーザーへの恩恵が大きいのはアルゴリズムの洗練よりも、どのようなデータを収集するかということと、収集したデータからどのような価値への転換を行ってユーザーに提供するかということだと思います。 既存のデータを使って効率化のためにデータを使っているだけだと、この肝心のデータが成長しません。
そこで次のチャレンジとしては、データの使い方だけではなく、データそのものから考えていくフェーズに移りたいと考えています。 取得するデータの設計であったり、どうやったらそのデータを蓄積し続けることが出来るかというデータが集まる仕組みの設計、 そしてデータから価値への変換の設計、ひいてはサービス価値の定義、そしてそれを実行できるアルゴリズムの実装と、試行錯誤しながら取り組んでいきたいと考えています。下図でいうと、緑の吹き出し部分以外への注力をより高めるイメージです。 会社としても弊社代表の村上がリアルデータエンジニアリングという呼び声で推進している取り組みになりますが、事業部門と協力して進めていきます。
上記のような背景で、テクマ部でも「データから価値への変換の設計」を行っていくことを意識してUXDを専門に取り組むグループを昨年組織しました。 さらに今年はUXとアナリストを1つのグループに配置しData Marketingグループとしました。性格の異なる分野を1つにまとめた実験的な試みですが、事業部門と共同で新しいサービスの種を見つけていけることを期待しています。
また、コンセプトが決まればデータの性質や用途によって適切なアリゴリズムを開発する必要が出てきます。しかもなるべく高速に。 そこで、これまではアドホックに各事業への機械学習を導入してきましたが、 今後はアルゴリズムの開発・検証を高速でまわせるように分析基盤に加えて機械学習の基盤の開発にも力をいれるべく、Data Platformグループを編成しました。
さいごに
少しでもリブセンス(特にテクマ部)に興味を持っていただいた方向けに追加情報です。
仕事の進め方
役割によって異なりますが、データエンジニアのように運用すべきシステムを持っている場合はチームでタスクを分割して働いています。データアナリストやUXリサーチャーはプロジェクトチームを組んで動くことが多いです。
分析ツールや環境は、タスクの特性と各人の好みでわりと自由度高くやっています。Pythonを使うメンバーもいればRを使うメンバーもいます。最近ではJuliaも使い始めたりしています。 分析基盤のDWHはAWS Redshiftを中心に構成していますが、機械学習のインフラにはGCPを選んでいます。これらについては、今後のブログでも紹介していく予定です。
日常の学習
新しい技術もどんどん出てきている領域なので、業務を通じて学習しています。リブセンス自体が勉強会が盛んな会社なのですが、テクマ内でも毎週のように勉強会を行っています。 論文輪読会や、統計モデリングの勉強会等の分析・機械学習系の勉強をはじめ、Amazon Redshiftなどそれぞれの業務にあわせた勉強会を開催しています。隣に議論出来るメンバーがいるのは楽しいです。
募集について
リブセンスでは一緒に働いていただける仲間を募集しています。 変化の激しいデータ周辺の領域ですが、それにあわせてリブセンスでは組織もミッションも変化していますので、変化を楽しみたい方にはおすすめです。
少しでも興味を持っていただけた方は弊社採用サイトから、是非エントリーお願いします!