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日本人が日米外交と呼んできたものの正体は「画一的な日本人コミュニティとアメリカ側の一部知日派との『狭いパイプ』」でしかなかった!

[2017年01月31日]

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「われわれが日米外交と呼んできたものは、画一的な日本人コミュニティと、ごく一部の知日派との『狭いパイプ』で、そこでは首相の声までもが簡単に排除される」と語る猿田佐世氏

普天間基地移設問題に対する地元・沖縄県の民意や環太平洋パートナーシップ(TPP)協定に反対する国会議員の意見など、日本政府や外務省とは異なる声を、アメリカの議会や政府関係者に直接伝えていくーー。

こうしたロビイング(政府の政策に影響を与えるための政策提言)で今、注目されているのが、2013年に設立された外交問題のシンクタンク「新外交イニシアティブ」(ND)の事務局長を務める猿田佐世(さるた・さよ)氏だ。

著書『新しい日米外交を切り拓く』(集英社クリエイティブ)では、日米外交がほんの「ひと握りの人たち」によって動かされている驚きの事実を明らかにし、日米外交のゆがみを鋭く指摘する。そして今、過激な言動で注目を集めるトランプ新大統領の誕生は、新たな日米関係を築くチャンスかもしれない。

―アメリカの政府や議会に対するロビイング活動は、最初はひとりで始めたそうですね。

猿田 国際関係学を学ぶためアメリカ・ワシントンの大学院に留学したのですが、その頃、日本では民主党の鳩山由紀夫政権が、沖縄の米軍普天間基地の移設先について「国外、最低でも県外」と訴えていました。

意外かもしれませんが、当時はこうした日本の動きに対し、日米同盟の守護神とも呼ばれるリチャード・アーミテージ元国務副長官ですら、数百人を前にしたシンポジウムで「(辺野古移設に代わる)プランBの検討が必要だ」と語っていました。つまりアメリカは「辺野古が唯一の選択肢」との考え方に固執していたわけではないのです。

ところがワシントンで発言する日本人には意見の多様性はまったくない。鳩山首相の意向は無視され、日本大使館、すなわち、日本政府が共催するシンポジウムでも「辺野古移設以外に選択肢はない」とか「鳩山首相はスチューピッドだ」とまで言い切る日本人登壇者が続き、誰も異論を唱えない状況でした。

日米外交の実態を目の当たりにして、衝撃を受けたと同時に、この不健全な状況を変えるには沖縄の人たちの声を直接、アメリカの政府や議会関係者、メディアなどに伝えることが必要だと感じました。そこから現地での活動をスタートさせたのです。


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