昨年の大晦日は、紅白歌合戦を見なかった。
感想を求めるタイプの仕事の発生に備えて、一応、録画予約はしておいたのだが、その録画も未見のままだ。おそらく、この先も見ることはないだろう。
経験上、1週間以内に再生されなかった録画の99%は一生涯視聴されない。
というのも、録画予約は、録画した番組を視聴するための予備動作であるよりは、放送中の番組をリアルタイムで見ないことを自分に納得させるための手続きみたいなものだからだ。かくして、われら21世紀のテレビ視聴者は、配信されている映像作品を視聴することによってではなく、録画済みの未視聴番組をファイルとして蓄積することで満足感を得る、読まない蔵書家みたいなものに変貌している。この先10年もすれば、録画やファイリングという旧世代による指しゃぶり行動も廃れて、コモディティ化したオンデマンドの動画素材に対して、誰も飢餓と欲望を抱いていないウソみたいにクールな時代がやってくるのだろう。
それでも、例年、紅白歌合戦については、自分が日本人であることの最後の砦を守るみたいな気持ちで、飛ばし飛ばしにではあっても、なんとかリアルタイムで見ることを自らに課していたのだが、いよいよ私も本格的に浮世離れしはじめたようで、今回は、あっさりと見過ごしてしまった。
2017年の最後の夜は、DropBoxの中に散逸して行方不明になったいくつかの画像ファイルを捜索しているうちに、いつの間にか過ぎ去っていた。
まあ、成果の乏しかった一年にふさわしい年越しだったと言えばその通りで、当方としては、なんとも申し上げようがない。
その、一年の最後の日の夜に配信された番組のひとつが、年明けになって炎上している。
現在は、炎上がひとまわりして、騒いでいた人たちがわれに返って沈黙している段階だ。
つまり、炎上そのものは既に沈静化したと言っていいわけで、振り返るには良いタイミングだ。
ということで、今回は、大晦日に放送された炎上案件についてあらためて考えてみることにする。
炎上したのは、31日の夜に日本テレビ系列で放送された『ダウンタウンのガキの使いやあらへんでSP 絶対に笑ってはいけないアメリカンポリス24時』という番組の中の一コーナーだ。
実を言うと、今回とりあげるつもりでいる「ベッキータイキック(タレントのベッキーさんに対する、タイ式ボクシングのボクサーによる回し蹴り)」案件とは別に、もうひとつ、出演者の一人である浜田雅功さん(以下出演者については敬称を省略いたします)が、映画「ビバリーヒルズコップ」のコスプレとして、顔を黒塗りにして登場したことが、別の文脈で炎上している。この件に関しても、個人的に色々と思うところがないわけでもないのだが、話題の拡散を防ぐ意味で、今回はスルーしておく。また別の機会に書くことがあるかもしれない。
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