2017-10-03

至極のドキュメンタリー映画『人生フルーツ』を再上映する名古屋の映画館

2017年1月の公開から異例の大ヒットを記録している東海テレビ製作のドキュメンタリー映画『人生フルーツ』を知っていますか？小さな映画館を中心に全国で何度もアンコール上映が行われ、公開から10ヶ月が経った今でも全国の映画館で上映されています。

『人生フルーツ』は名古屋近郊の高蔵寺ニュータウンに暮らす高齢夫婦の日常を取材し、彼らの暮らしから人生を豊かにするヒントを教えてくれる素敵な作品です。

名古屋（および近郊）では現在も上映中の映画館があり、また今週末からは名駅のミッドランドスクエアシネマでも上映されることになりました。上映中・上映予定の映画館と今後予定されている伏原健之監督の舞台挨拶の情報を紹介します。

ドキュメンタリー映画『人生フルーツ』

ドキュメンタリー映画『人生フルーツ』は2016年3月に東海テレビで放送され、第42回放送文化基金賞番組部門最優秀賞受賞したドキュメンタリー番組を劇場版として再編集したものです。東海テレビでは10年ほど前から斬新かつ幅広いテーマのドキュメンタリーを制作し、テレビで放送したり劇場版を映画館で上映するなど、ドキュメンタリー界に旋風を巻き起こしています。

『人生フルーツ』は愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンの一角で暮らす津端夫婦を追ったドキュメンタリーです。90歳の夫・修一さんは建築家で、戦後の高蔵寺ニュータウンの設計に携わっていました。あることがきっかけで修一さんは雑木林の再生に関心を寄せ、40年前に300坪の土地を購入しました。現在は妻の英子さんと二人で、時間をかけて作った雑木林に囲まれた30畳一間の平屋で暮らしています。87歳の妻・英子さんは自宅の敷地内の雑木林で野菜や果物を育て、採れた作物を使って美味しい食事を作り、夫と共に穏やかで自然に近い生活を送っています。

ナレーションをつとめるのは女優の樹木希林さん。高度成長から現在に至るまでの津端夫婦の生活、夫婦が大切にしているものをやさしい語り口で紹介していています。ドキュメンタリー映画でありながら、その枠を超えて人生を豊かにするヒントがいっぱい詰まった素敵な映画です。

コツコツコツコツ、自分でやると見えてくる

修一さんは「お金よりも人が大切」を信条に、関わった人たちに毎日10通近くの手紙を書くの日課です。手紙に添えられたイラストが味わい深く、自宅で育てている作物や雑木林の中の立て札に添えられたメッセージからも温かな気持ちが伝わってきます。

ジャガイモ、筍、梅、イチジク、アスパラガス、とうもろこし、甘夏。津端夫妻の自宅では、たくさんの野菜や果物が採れます。サクランボでジャムを作り、梅干しを作り、燻製機でベーコンを作る、できる限りのことを自分でやると何かが見えてくる。買ってくるのは簡単だけど、それでは得られない大切なものがあることを教えてもらいました。

結婚以来、修一さんの行動に不平を言うことなく、家族のために体に良いものを食べさせることを大切にしてきた英子さん。彼女のやってきたことが何を生んだのか、人生の教訓になる言葉がたくさんでてきます。ぜひ、たくさんの方に観ていただきたい映画です。